ニュージーランド移住記録:日記「さいらん日和」

2004年に香港からニュージーランドに移住した西蘭(さいらん)一家。子育て終了、仕事もリタイア。好きに生きる記録です。

ロイド・モリソン

2012-02-13 | 経済・政治・社会
2月10日、NZ唯一の公共事業コングロマリット、インフラティルの創業者、ロイド・モリソン氏が54歳という若さで逝去しました。

長年、白血病の闘病を続けながら、NZの財界、政界、アートシーンに多大な影響力を及ぼしてきた真のカリスマでした。


社会も経済もとかく第一次産業に依存するNZにあって、第三次産業でここまで成功を収めた民間企業は数少なく、特に国有企業や自治体企業が大半を占める公共交通事業での成功は特筆に価すると思います。


インフラティル傘下のNZバス

ウェリントンでの通勤時のバスの行列は感動的な眺めでした。
オークランドも真剣に過度なマイカー依存を脱しないと・・・・


インフラティルは海外進出にも積極的で、海外でも空港管理事業を進めています。最近ではオイルメジャーのシェルがNZを撤退するに当たり、NZ公的年金と50%の対等出資で製油事業権益から全国網のガソリンスタンドまで全事業を買収し、現在これらのスタンドは「Z」に生まれ変わりました。

インフラティルが出資することになった、国内唯一の製油所マースデン


類稀な企業家に率いられた、類稀な企業。インフラティルにはモリソン亡き後も、NZの財界に次々と新風を吹き込んでいってほしいと思います。


ウェリントンに行ってきたばかりのせいか、あの街の秩序と革新、首都という権威の象徴にしてリベラルな、古くて新しい感覚がまた、モリソンを育み、支え、羽ばたかせたのかな、と思ってしまいます。

モリソンはウェリントンという街の顔のひとつだったと思います。



オークランドも独自の鉄道建設に向けて(国の支援が期待できないため)、消費税やガソリン税の引き上げなど、あの手この手を検討せざるを得なくなっていますが、民間と手を携え、効率的で現実的な公共交通機関網を築いて行ってほしいと思います。
(負担するのは結局のところ、固定資産税を納める市民なので


中道右派の政府と中道左派の市との確執は時間と労力の無駄でしかなく、オークランドの交通事情が急激な人口増で爆発寸前であることは、市と市民だけの問題を越えていると思います。


例えば、市の中央を貫く国道1号線は紛れもなく国の資産であり、ハーバーブリッジもその一部です。橋の老朽化は積年の問題で、これを市の問題とする国の姿勢はあまりにも無責任ではないでしょうか。オークランド以北の物流はすべて、この橋と市西部の迂回路だけに頼っているのですから。
(オークランド以北には国際物流のための港も空港もありません)


中央と地方の政治的「ねじれ」を超えて、国内最大都市の交通インフラを21世紀に耐える状態にすることは、市だけでなく国全体の経済を牽引していくのではないでしょうか。特に経済的遅れが目立つノースランドへの道をより拡大することは、地方格差を是正することになると思います。


オークランドにもモリソンのような熱い情熱を秘めながら、地に足のついたリーダーが、登場してほしいと切に願います。



傑出したリーダーに謹んで哀悼の意を捧げます。

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