ニュージーランド移住記録:日記「さいらん日和」

2004年に香港からニュージーランドに移住した西蘭(さいらん)一家。子育て終了、仕事もリタイア。好きに生きる記録です。

夏休み企画第2弾:ウェリントンのジーランディア

2012-02-18 | 旅行
このまま行ったら2月も終わってしまいそうなので、今日は意を決して
夏休み企画第2弾のウェリントン編を締め括ろうと思います。
(帰ってきてから早3週間・・・いくらマイペースブログとはいえ~


今回のウェリントン旅行で一番行きたかったのが、ここ、

ジーランディア



そうは言っても、行ってみるまでどんなところなのかよく知らなかった、
アバウトな私

子どもたちに至っちゃ、
ジーランディア=ウェリントン動物園
ぐらいなアバウトさ。
(全然違います



ボタニック・ガーデンからテクテク歩くこと約20分。

1900年に造られた古~いトンネル
1世紀以上経っても、現役です。


中にはちゃんと、歩道ができています。

さすが全てのロード・ユーザーに優しいウェリントン。


トンネルを抜けるとカロリという地区に。

ここからジーランディアは目と鼻の先。


歩道のかわいいキウイやその他の生き物のプリントについて行くと~




到着~




ジーランディアとは、ウェリントンのど真ん中にある広大な森で、
NZが誕生した8000万年前の姿を500年で再現しようとする壮大な計画。


8000年前じゃなくて、8000万年前って、
どんな~



かつて存在していたと言われるゴンドワナ大陸(アフリカ、南アメリカ、南極、NZやオーストラリア、インド、アラビア半島などの元になったと考えられている超大陸)が、現在の五大陸に分裂して行く中で、

NZ は1億3000万年ほど前に南極やオーストラリアと離れ、


8000万年前に誕生したそうです。



その後もNZは洋上の孤島として、長い長いひとりぼっちの旅に出ます。
2300万年前に海面に出ていた全ての部分が水没したといわれ、
動物というものは全て滅んだと考えられています。

しかし、NZは復活します。
300万年後の2000万年前に再び一部が海上に姿を現しました。


1600万年前にはワニなどが生息していたようです。

オーストラリアみたい!
水に強い生き物はよかったんでしょうね。


500万年前にさらなる地殻変動で山々が隆起し、

200万年前には氷河期があり、再びいろんな生き物が滅んだようです



しかし、その間もたくさんのトリや彼らに付着した種子がオーストラリアからNZに渡ってきました。トリは哺乳類という天敵のいない環境の中で飛ぶ必要がなくなり、徐々に羽が退化して、走鳥類と呼ばれるキウイで有名な「飛べないトリ」が誕生しました。


その中で最大だったのが今は絶滅してしまたモア。

高さが3mほどあった巨大なトリで、他の島から移住してきたマオリにとり、絶好のタンパク源でした。


マオリの入植は、

人間だけでなく、


ネズミを始め、

動物の入植でもありました


さらにイギリス人が入植してくると、
家畜から植物までありとあらゆる外来種がNZを変えてしましました。
(スズメまで1867年に導入されたんだそうです!)


その変化は、

留まるところを知らず、


現在も続いています。





そこで立ち上がったのがジーランディアで、
8000万年前のNZをウェリントンのど真ん中にに蘇らせようというのです。


NZは特殊な誕生の経緯から、動植物の固有種が8万種以上あり、

同じような大きさのイギリスはヨーロッパに近いこともあり2種類のみ。
数字で比較されると、いかにNZが特別な場所かわかります。



計画が壮大ですから、やることも壮大です。

入り口からしてコレです。


万里の長城のような、

長い長ーい柵


柵を造る前に徹底的に駆除された害獣ポッサム

展示されていたこの写真
「本気」
を感じました。
ジーランディアは広大な敷地内の四つ足を全て駆除して造られました。



この柵は地中深く造られた特別なもので、飛べないトリをイヌ、ネコ、ポッサムなどの動物から守るためのもので、ネズミなどが穴を掘っても柵の内側に入れないように地中にも仕掛けがあります。ネコがジャンプしても超えられないように、地表の柵の先端にも仕掛けがあります。


これを延々、




ボランティアたちの力で築いたのです。

スゴい~


ジーランディアはボランティアの情熱と支援なくしてはありえない場所。

このパンフも、ベンチや遊歩道の階段一段一段への寄付を募るもの。


ベンチを寄付すれば、

こうしてここを訪れる人がひと息つく場所ができるわけです。


1890年に生まれ1973年に没したジェシー・サーモンドさんを記念して。

いつか、何かを記念して、私も寄付をしてみたいなぁ~



環境を整備するだけでなく、固有種の育成にも励んでいます。

タカヘの幼鳥の飼育
人間がエサをあげてしまうと、親と勘違いされかねないので、
親鳥によく似た指人形のクチからエサを与えているところ。
涙ぐましい努力
こうして育った幼鳥が親になったとき、子育てができるように・・・


タカヘの成鳥

1948年に再発見されるまで100年以上、絶滅したと考えられていたトリ。


背中の羽が油絵のように美しい、大きなトリです。

2500万年前にオーストラリアから飛来したサギが先祖といわれています。


これも固有種カカ

オウムの一種


足が手のように器用に動く、

人間臭いトリです
なんだったら字でも書けそうなほど 自由自在な動き。


生きるミニ恐竜、

トゥアタラ

爬虫類系を「ほしい」と思ったことは生涯一度もないのですが、
トゥアタラは「家にいたらなぁ~」と思う可愛さでした。



園内にはたくさんの遊歩道があり、予想外に歩きました。

橋の上で熱心に双眼鏡をのぞく善(14歳)



「木が見える~
と歓喜の声。




そりゃ、そうっしょ!

目の前、これですから


こちらも負けじとのぞく、

18歳


なぜか突然、
誰の足が長いか
という、意味不明の競争に

善の後でしっかり参加している父親


よくわからない、お三人さんたち

ゾロゾロ~


よくできた釣り橋でした。

当然3人はピョンピョン飛んで揺らしてましたけど~



歩いた後は湖の畔に下りて、電動の小舟に乗りました。

とことん環境に配慮しています。


人造湖ですが、

今ではすっかり風景に溶け込んでいます。


湖畔に営巣するトリが間近に見られました。

トリも大きいけれど、巣も大きい~


これはヒナなのかな?

天敵がいないので、どこでも営巣できるんでしょうね。


1本の木や隣同士の木など、近いところに集団で巣作りするそうです。

マンションみたい


10人も乗ればいっぱいの舟

さすが電動、とても静かでした。


アヒルもよく見る種類ではなさそう。

羽の色がきれいです。


ジーランディアのシンボル、バルブの塔



建設された頃の姿。

後が禿山なのに愕然としました。


今は、

緑一色です


本当はもっともっと歩きたかったのですが、普通の靴では無理だし、
飛行機の時間もあって断念



最後はカフェへ。

ここでの飲食もジーランディアの運営の資金源になります。


大きなテラスで湖やバルブの塔を見ながらランチ

ハイティーができる日もあるそうで、それもいいなぁ。


子どもたちのフィッシュ&チップス

魚がリアルな形でした。


温めてもらったら、真っ黒クロスケになってしまった

私のクロワッサン・サンド


夫のバーガー

(バーガーばかり食べているのがブログでバレバレなタカさん




500年でかつての姿を再現するということは、今生きている私たちはもちろん、何代も先の子孫ですら、その姿を目にすることはできませんが、
「そういう夢のような計画があってもいいよね。」
と思います。


今の生活は結果を求めることばかりですが、
「自分で結果を見ることができない事に携わるのもいいものだなぁ」
と久々に思いました。前回思ったのは新婚旅行で21年前に訪れた、
バルセロナのサグラダ・ファミリアで、でした。


生きているうちにガウディーの偉業の完成を見ることができなくても、
十分だ
と思い、カード払いばかりであまり現金を持っていない旅行でしたが、
残りの旅行がなんとかなりそうな分を残して、現金を寄付してきました。


ジーランディアもサグラダ・ファミリアを思い起こすような、
情熱と滅私の精神を感じました。

ここもまた、ウェリントンに来ることがあったら必ず再訪します。




今回をもって、延々続いた、夏休み企画第2弾も終了です。
長い間ありがとうございました

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする