フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

6月16日(金) 小雨、昼には上がる

2006-06-17 02:14:25 | Weblog
  今日は私が教育実習協力教員になっている二文生のYさんの実習最終日。午前11時45分からの研究授業を見学するべく、11時過ぎに家を出て、矢口中学に出向く。4階の1年1組の教室は窓から廊下へ気持のいい風が通り抜けていた。授業は地理で、6つの班が日本の各地方の特色について調べた結果の報告会。50分の授業で6つの班の報告はきついのではないかと思っていたら、案の定、5つ目の班の報告中にチャイムが鳴った。しかし、Yさん少しも慌てず、休み時間も使って、最後の班の報告も急かせることなく終わらせた。各班の報告内容へのコメントもユーモアを交えて的確なものであった。お疲れ様でした。
  昼食はかねてより決めていた武蔵新田商店街の山縣屋の鰻重。一体築何年だろうと思わせる古く草臥れた木造の店であるが、鰻重の値段は、3100円(寿)、2500円(松)、2100円(竹)と決して庶民的とはいえない。小考し、松を注文する。店先で鰻を焼くおやじさんは愛想のない怖い顔をしている。お茶をもってきてくれたお婆さんは話好きである。この組み合わせは悪くない。しばらくして運ばれてきた鰻重はなかなかのものであった。焼き方は丁寧で、タレは下品なところがなく、御飯もふっくらと炊けている。鰻は標準的な大きさで、派手さはないが、やるべきことをきちんとやっているという主人の自信を感じさせる鰻重であった。
  ところで、最近、川越に住んでいる私の妹がこのフィールドノートをよく読んでいて、私の食生活についてあれこれ心配してくれているらしい。曰く、外食が多いのではないか。曰く、カロリーの高いものを取りすぎではないか。曰く、食費がばかにならないのではないか。さくら、お兄ちゃんのことなら心配はいらないよ(寅さんの口調で)。先日、病院で血液検査をしたばかりだが、すべての項目で正常値を示していて、お医者さんも「素晴らしいです」と感心していた。たとえば、中性脂肪は77mg/dl(正常値は60-135)だし、総コレステロールも198mg/dl(正常値は120-230)だ。家にいる日でも昼食を外に食べに出ることが多いのは、一種の気分転換なんだ。池波正太郎の名エッセイ『散歩のとき何か食べたくなって』(新潮文庫)はお兄ちゃんにとってバイブルのような本だが、散歩の途中の飲食は散歩という至福の行為の必要不可欠の構成要素なんだ。もちろん小遣いに占める食費の割合は小さくないが、お兄ちゃんは酒を飲まず、賭け事をせず、女遊びもしないから、書籍代と食事代、すなわち精神の養分と身体の養分にかけるお金は十分に(十二分にとはいえないが)あるのだ。さくら、お前も滋養のあるものをしっかり食べて、梅雨とそれに続く夏の日々を元気で乗り切っておくれ。