今日、息子が近所の内科医院で麻疹の予防注射を打ってもらった。あちこちの大学で麻疹がこれだけ流行している以上、先手を打って自衛するしかない。もちろん小さい頃に予防接種はしているわけだが、その効果は10年くらいしか持続しない。われわれが子供の頃であれば、その10年間に、麻疹のウィルスにさらされて免疫力が自然に強化されたのだが、最近はウィルスにさらされる頻度が落ちたために、免疫力が強化されていない若者が増えているらしいのだ。
夕方から一家で娘の出ている芝居、劇団母子ともに健康「メシかフロか」を観に、荻窪のメガバックスシアターに出かける。「あったか家族グランプリ」というTV番組があって、参加希望の葉書を出して当選した者たちが5人一組のチームとなり(この5人は予選当日初めて控え室で顔を合わせる)、1時間ちょっとの打ち合わせと稽古だけで、本番(あたたかい家族を演じる)に臨まなくてはならない。芝居はそうした芝居の中の時間と同じ速度で進行する。つまり暗転によって場面が変わったり時間の経過が省略されることはない。5人が控え室で顔を合わせてから本番までの全過程がリアルタイムで演じられる。そうすると当然、冗長に感じられる場面も出現するわけだが(たとえばダンボールとガムテープで舞台用のちゃぶ台やテレビをみんなで作る場面)、まったくの赤の他人同士がしだいに(というよりも最後に)家族らしくなっていく過程をそれらしく見せるためには必要な冗長さであるともいえる。いま、「家族らしくなっていく」と書いたが、それは必ずしも感動的なフィナーレを迎えるという意味ではない。そのように受け止めた観客はいたかもしれないが(たとえば私の母)、むしろ話は逆で、赤の他人同士とあったかな家族という、一見、対極にある2つのものが、実は、ぎこちない演技のぎこちなさがほんの少し違うだけなのだということに観客は思い至る。そういう仕掛けになっているのである。娘は「一見コミュニケーション能力が高そうで、実はその笑顔の下に暗い暴力性を秘めている若い女」という十八番の役柄を好演していた。怖い、怖い。公演は13日(日)が最終日。14:00からと18:00から。
夕方から一家で娘の出ている芝居、劇団母子ともに健康「メシかフロか」を観に、荻窪のメガバックスシアターに出かける。「あったか家族グランプリ」というTV番組があって、参加希望の葉書を出して当選した者たちが5人一組のチームとなり(この5人は予選当日初めて控え室で顔を合わせる)、1時間ちょっとの打ち合わせと稽古だけで、本番(あたたかい家族を演じる)に臨まなくてはならない。芝居はそうした芝居の中の時間と同じ速度で進行する。つまり暗転によって場面が変わったり時間の経過が省略されることはない。5人が控え室で顔を合わせてから本番までの全過程がリアルタイムで演じられる。そうすると当然、冗長に感じられる場面も出現するわけだが(たとえばダンボールとガムテープで舞台用のちゃぶ台やテレビをみんなで作る場面)、まったくの赤の他人同士がしだいに(というよりも最後に)家族らしくなっていく過程をそれらしく見せるためには必要な冗長さであるともいえる。いま、「家族らしくなっていく」と書いたが、それは必ずしも感動的なフィナーレを迎えるという意味ではない。そのように受け止めた観客はいたかもしれないが(たとえば私の母)、むしろ話は逆で、赤の他人同士とあったかな家族という、一見、対極にある2つのものが、実は、ぎこちない演技のぎこちなさがほんの少し違うだけなのだということに観客は思い至る。そういう仕掛けになっているのである。娘は「一見コミュニケーション能力が高そうで、実はその笑顔の下に暗い暴力性を秘めている若い女」という十八番の役柄を好演していた。怖い、怖い。公演は13日(日)が最終日。14:00からと18:00から。