10時、起床。鶏肉と牛蒡の炊き込みご飯、大根の味噌汁の朝食。春らしい日差しだ。
午後、大学へ。途中、丸善丸の内店の4階ギャラリーに寄って、落札した牛島憲之の版画2点の代金を支払い、作品を受け取る。梱包してもらっている間、ギャラリーで開催中の「森本計一展 パリの街角を描く」を観る。パリ市民の日常を描いて生活=人生の喜びを感じさせる作品たちだ。モデルの一人一人は必ずしも喜んではいないのだが、そういう日々を愛おしく感じる感覚が画家の視線に感じられるのだ。私がとくに気に入ったのが「授業前」という作品。大学教師と思える白髪の男性が、カフェのテーブルで資料に目を通している姿を描いたもの。わが身をふり返って、授業前にカフェでひとときを過ごすという余裕はない。だから「いいな」と思う。私の場合は、電車の中で講義資料に目を通して、余白に書き込みをする(コメントや時間配分)というのが、通常の姿である。それで学生が出席カードの裏に「今日、先生を地下鉄の中でお見かけしました。一心不乱に資料に何か書き込みをされていましたね」と書いてきたりする。「一心不乱」である。楽屋裏を見られてしまったようで恥ずかしい。昼食を書店内のカフェでとる(早矢仕ライスと珈琲)。
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キャンパスの桜も見ごろを迎えていた。スロープでは各種のサークルが新入生の勧誘を行っている。サークルの名前の書かれたプラカードを先頭にして学生会館へ向う新入生たちの列も見られた。キャンパスの歳時記的風景である。
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事務所で用事を済ませてから、「現代人間論系総合講座1」と「日常生活の社会学」で使用する36号館382AV教室を開けてもらって、講義のリハーサルをする。リハーサルといっても話をするわけではない。プロジェクター、プラズマディスプレイ、パソコン、DVD、VHS、MD、書画カメラ、照明、音響・・・そうした機器類のチェックである。AV教室の教卓はさまざまな機器類が集積して、さながら飛行機のコックピットのようになっている。授業の進行中に機器の操作でストレスを感じたくないので、この時期のリハーサルは私にとっては必須で、同時に、「さあ、新学期だ」という気持ちに自分自身をもっていくためにも必要な儀式である。
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リハーサル中に携帯電話が鳴った。出ると安藤先生(文化構想学部教務主任)からである。私の演習「現代社会とセラピー文化」の定員をあと5人増やしてはもらえないかという依頼であった。「無理です」といったんは断ったものの、他でもない安藤先生からの依頼であるし、ここで一つ貸しを作っておけばあとできっと何かいいことがあるだろうと考え直し、リハーサルを終えてから、教務室に安藤先生を訪ねて、定員5名増の件を了承する。自分の思い通りにいかないのが人生であるが、それで誰かが喜んでくれるのであれば、少しぐらいの無理はしようというものである。あくまでも「少しぐらいの」ですけどね。
午後、大学へ。途中、丸善丸の内店の4階ギャラリーに寄って、落札した牛島憲之の版画2点の代金を支払い、作品を受け取る。梱包してもらっている間、ギャラリーで開催中の「森本計一展 パリの街角を描く」を観る。パリ市民の日常を描いて生活=人生の喜びを感じさせる作品たちだ。モデルの一人一人は必ずしも喜んではいないのだが、そういう日々を愛おしく感じる感覚が画家の視線に感じられるのだ。私がとくに気に入ったのが「授業前」という作品。大学教師と思える白髪の男性が、カフェのテーブルで資料に目を通している姿を描いたもの。わが身をふり返って、授業前にカフェでひとときを過ごすという余裕はない。だから「いいな」と思う。私の場合は、電車の中で講義資料に目を通して、余白に書き込みをする(コメントや時間配分)というのが、通常の姿である。それで学生が出席カードの裏に「今日、先生を地下鉄の中でお見かけしました。一心不乱に資料に何か書き込みをされていましたね」と書いてきたりする。「一心不乱」である。楽屋裏を見られてしまったようで恥ずかしい。昼食を書店内のカフェでとる(早矢仕ライスと珈琲)。
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キャンパスの桜も見ごろを迎えていた。スロープでは各種のサークルが新入生の勧誘を行っている。サークルの名前の書かれたプラカードを先頭にして学生会館へ向う新入生たちの列も見られた。キャンパスの歳時記的風景である。
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事務所で用事を済ませてから、「現代人間論系総合講座1」と「日常生活の社会学」で使用する36号館382AV教室を開けてもらって、講義のリハーサルをする。リハーサルといっても話をするわけではない。プロジェクター、プラズマディスプレイ、パソコン、DVD、VHS、MD、書画カメラ、照明、音響・・・そうした機器類のチェックである。AV教室の教卓はさまざまな機器類が集積して、さながら飛行機のコックピットのようになっている。授業の進行中に機器の操作でストレスを感じたくないので、この時期のリハーサルは私にとっては必須で、同時に、「さあ、新学期だ」という気持ちに自分自身をもっていくためにも必要な儀式である。
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リハーサル中に携帯電話が鳴った。出ると安藤先生(文化構想学部教務主任)からである。私の演習「現代社会とセラピー文化」の定員をあと5人増やしてはもらえないかという依頼であった。「無理です」といったんは断ったものの、他でもない安藤先生からの依頼であるし、ここで一つ貸しを作っておけばあとできっと何かいいことがあるだろうと考え直し、リハーサルを終えてから、教務室に安藤先生を訪ねて、定員5名増の件を了承する。自分の思い通りにいかないのが人生であるが、それで誰かが喜んでくれるのであれば、少しぐらいの無理はしようというものである。あくまでも「少しぐらいの」ですけどね。