9時、起床。ウィンナーソーセージ、トースト、紅茶の朝食。昼前に家を出る。
3限は「現代人間論系総合講座1」。3回シリーズの私の担当の最終回。次回からの担当の安藤先生が前の方の席で聴講されていたのとで、ときどきアドリブで話を振る。安藤先生が答えに窮する質問もあったようで、「無茶振りするなぁ・・・」とぼやかれ、学生がクスクス笑う場面もあった。先日、私が担当している基礎演習のクラスで、オンデマンドの基礎講義で面白かったコンテンツについて尋ねたところ、漱石と「猫」の関係について論じていた安藤先生の講義が一番人気だった。今度、学生たちがインタビューに伺いますので、安藤先生、よろしくお願いしますね。講義の後、熱心な学生が質問に来て、教室の外で(次の先生の授業が始まるので)、しばらく相手をする。学生と話をすることは私にとっては何でもないことだが、学生にとってはそうではない。自分自身が学生の頃もそうだったはずだが、学生から教員へだらだらと移行する過程で、そういう感覚を忘れてしまった。緊張気味に、あふれ出る言葉を整理するのに四苦八苦しながら話す学生を目の前にすると、その忘れていた感覚が蘇る。
遅い昼食を「メーヤウ」でとる。ここで注文するのはタイ風レッドカリーかインド風ポークカリーと決まっているが、今日は前者。ほどよい辛さと深い味わい。大根と牛蒡の食感もいい。
5限は研究室で卒論指導。一文生2人、二文生2人の計4名。隔週で2人ずつ報告をしてもらう。今回は二文生のNさんとFさん。前期は各自のテーマに関連した文献のレビューが中心になるが、まずはレビューのやり方について指導する。全体の目次を示し、各章の要旨を紹介し、とくに興味深かった(自分のテーマとの関連性の強い)章については詳しく紹介し、ポイントとなる箇所、不明や疑問の箇所、文献に刺激されて自分で考えてみたことや調べてみたことについて話し、最後に、次に取り組む文献について予告する・・・という手順を踏むとよい。取り上げた文献が卒論を書き進めていくための養分としてしっかり消化・吸収されなくてはいけない。30分延長して6時半まで行う。帰りがけに教員ロビーに寄ったら西洋古典学の宮城先生がいらしたので、しばし雑談。
夜、『トウキョウソナタ』と『イエスタデイズ』のDVDを観る(明日の午前10時までに返却しないとならないのだ)。『トウキョウソナタ』は評判どおり見応えのある作品だった。家族崩壊の瀬戸際までいった(いや、瀬戸際を半歩ほど越えていたかもしれない)一家が、最後の最後に踏みとどまって、新しい(やり直しの)歩みを始めるまでの物語。ラスト、音大付属の中学を受験する次男が試験会場で弾くピアノ曲「月の光」(ドビッシー)が実に印象的。「胸にしみる」というはこういうときに使う言葉だろう。『イエスタデイズ』は本多孝好の小説が原作。映像作品としては凡庸だが(TVの2時間ドラマでもいけそう)、ストーリーは楽しめた。癌で余命いくばくもない父親と不仲だった次男の和解の物語。父親の依頼を受けた次男が、父親が若いころに別れた恋人の行方を追いかけるうちに、若い頃の父親と彼の恋人に出会うというSFじみた展開なのだが、本多孝好の小説の読者にとっては驚くほどのことではない。音大のピアノ科の学生だった恋人を演じるのは原田夏希。美しい女優である。32年後、つまり現在の彼女を演じる女優が誰なのか、ハラハラしながら観ていたが、高橋恵子だった。納得。いいキャスティングである。クリームソーダが過去と現在をつなぐ重要なアイテムになっている点も、クリームソーダ好きとしてはたまらない(原作にはないエピソード)。「好きな人が好きなものを好きになったの」と原田夏希はクリームソードを飲みながら言った。「いい歳をした大人がクリームソーダなんておかしいでしょ。でも、好きなの」と高橋恵子は言った。そうか、そうか、と私はうなづいた。
3限は「現代人間論系総合講座1」。3回シリーズの私の担当の最終回。次回からの担当の安藤先生が前の方の席で聴講されていたのとで、ときどきアドリブで話を振る。安藤先生が答えに窮する質問もあったようで、「無茶振りするなぁ・・・」とぼやかれ、学生がクスクス笑う場面もあった。先日、私が担当している基礎演習のクラスで、オンデマンドの基礎講義で面白かったコンテンツについて尋ねたところ、漱石と「猫」の関係について論じていた安藤先生の講義が一番人気だった。今度、学生たちがインタビューに伺いますので、安藤先生、よろしくお願いしますね。講義の後、熱心な学生が質問に来て、教室の外で(次の先生の授業が始まるので)、しばらく相手をする。学生と話をすることは私にとっては何でもないことだが、学生にとってはそうではない。自分自身が学生の頃もそうだったはずだが、学生から教員へだらだらと移行する過程で、そういう感覚を忘れてしまった。緊張気味に、あふれ出る言葉を整理するのに四苦八苦しながら話す学生を目の前にすると、その忘れていた感覚が蘇る。
遅い昼食を「メーヤウ」でとる。ここで注文するのはタイ風レッドカリーかインド風ポークカリーと決まっているが、今日は前者。ほどよい辛さと深い味わい。大根と牛蒡の食感もいい。
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5限は研究室で卒論指導。一文生2人、二文生2人の計4名。隔週で2人ずつ報告をしてもらう。今回は二文生のNさんとFさん。前期は各自のテーマに関連した文献のレビューが中心になるが、まずはレビューのやり方について指導する。全体の目次を示し、各章の要旨を紹介し、とくに興味深かった(自分のテーマとの関連性の強い)章については詳しく紹介し、ポイントとなる箇所、不明や疑問の箇所、文献に刺激されて自分で考えてみたことや調べてみたことについて話し、最後に、次に取り組む文献について予告する・・・という手順を踏むとよい。取り上げた文献が卒論を書き進めていくための養分としてしっかり消化・吸収されなくてはいけない。30分延長して6時半まで行う。帰りがけに教員ロビーに寄ったら西洋古典学の宮城先生がいらしたので、しばし雑談。
夜、『トウキョウソナタ』と『イエスタデイズ』のDVDを観る(明日の午前10時までに返却しないとならないのだ)。『トウキョウソナタ』は評判どおり見応えのある作品だった。家族崩壊の瀬戸際までいった(いや、瀬戸際を半歩ほど越えていたかもしれない)一家が、最後の最後に踏みとどまって、新しい(やり直しの)歩みを始めるまでの物語。ラスト、音大付属の中学を受験する次男が試験会場で弾くピアノ曲「月の光」(ドビッシー)が実に印象的。「胸にしみる」というはこういうときに使う言葉だろう。『イエスタデイズ』は本多孝好の小説が原作。映像作品としては凡庸だが(TVの2時間ドラマでもいけそう)、ストーリーは楽しめた。癌で余命いくばくもない父親と不仲だった次男の和解の物語。父親の依頼を受けた次男が、父親が若いころに別れた恋人の行方を追いかけるうちに、若い頃の父親と彼の恋人に出会うというSFじみた展開なのだが、本多孝好の小説の読者にとっては驚くほどのことではない。音大のピアノ科の学生だった恋人を演じるのは原田夏希。美しい女優である。32年後、つまり現在の彼女を演じる女優が誰なのか、ハラハラしながら観ていたが、高橋恵子だった。納得。いいキャスティングである。クリームソーダが過去と現在をつなぐ重要なアイテムになっている点も、クリームソーダ好きとしてはたまらない(原作にはないエピソード)。「好きな人が好きなものを好きになったの」と原田夏希はクリームソードを飲みながら言った。「いい歳をした大人がクリームソーダなんておかしいでしょ。でも、好きなの」と高橋恵子は言った。そうか、そうか、と私はうなづいた。