フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

4月5日(日) 晴れ

2009-04-06 02:03:29 | Weblog
  午前10時、起床。春休み最後の一日。
  午後、ロボット・コンテストの二次審査のための映像撮影で昨日から泊り込みで大学へ出ている息子を除く一家4人(母、妻、娘、私)で花見がてらの散歩に出る。呑川沿いに本門寺まで歩く。川沿いの桜は大方満開だが、木によってはまだ蕾をたくさんつけているものもある。今日は晴れといっても薄曇り気味なので、見上げる桜よりも、川面にせり出した桜を上から眺める方が美しい。桜の花びらの浮かんだ水面にゆったり泳ぐ黒い鯉の姿が見える。

         

         

         

  やがて本門寺のある丘陵地帯が見えてくる。白い桜と、黄色い菜の花と、名前は知らないが赤い花の咲く木のコントラストが美しい。

         

  階段を上がって本門寺の境内に入る前に「甘味あらい」をのぞいてみる。行列が出来ていたらあきらめようと思ったが、店の外に二人待っているだけだったので、その後に並ぶ。ほどなくして席が空き、カウンターに4人で並んで座る。銘々違うものを注文する。私は前回来たときと同じ贅沢あんみつと磯辺巻き(2個)のセットを注文し、やはり前回と同じく、まず磯辺巻きを食べ、次にあんみつを食べた。妻がその様子を見て、娘に、「お父さんは本当は最初にあんみつを食べて、後から磯辺巻きを食べたいのだがのだけれど、一緒に出てくるので、しかたなく磯辺巻きを先に食べているのよ」と説明すると、娘は、「私も最初に甘いものを食べて後から辛いものを食べたい派だ」と言い、そのことを店の人にわかってもらうためには、何度か、セットではなく単品で、あんみつ→磯辺巻き(3個)という注文を繰り返すといいとアドバイスを(店の外に出てから)くれたが、実は私はすでに2回ほどそういうアピールはしているのである。そのことを言うと、娘は「2回じゃだめ。わかってもらえるまで続けるのよ」とあくまでも主張する。う~ん、そういう暗黙のアピールを繰り返すよりも、セットを頼むとき「あんみつを先に、磯辺巻きを後にしてくだい」と率直にリクエストしてみる方がよかありませんかね。間接話法でわかってもらおうとするのは日本人好みの流儀だけれど、直接話法の時代なんじゃないかな、いまは。

         

         

         

  境内の桜は、一週間ほど前に来たときは三分咲き程度だったが、今日は満開だ。本堂でお賽銭を投じて、外に出てみると、みんなの姿がない。はぐれてしまったようである。あいにく今日は携帯電話を持たずに来た。いまごろ自宅の書斎の机の上で私の携帯電話が空しく振動していることだろう。みんなを探すのはあきらめて写真を撮っていると、母が私を見つけた。妻と娘は私のことは放っておいて先に進もうとしていたようである。妻は「自分が迷子になったことに気づいてないみたいね」と言った。娘は「そんなに怒るほどのことじゃないよ」と言った。そうそう、と私も思う。家族というのは付かず離れずくらいの距離のとり方がちょうどいいのだ。