フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

11月20日(水) 晴れ

2013-11-21 11:18:13 | Weblog

      9時、起床。

    朝食はとらず、10時半に家を出て、大学へ。

   11時半から大学院の社会学コース会議。「たかはし」のお弁当を食べながら。

   元現代論系の助手で、この4月から立正大学の専任講師になった関水徹平さんからご著書をいただく。関水徹平・藤原宏美『~はてしない孤独~独身・無職者のリアル』(扶桑社新書)

   SNEP(スネップ)とは、孤立した(Solitary)、無職の(No Employment、)人たち(Persons)という意味だが、詳しくは、「20歳~59歳の、結婚したことがなく、学生でもなく、家族以外との付き合いがない、孤立状態にある無業者」と定義されている。経済学者の玄田有史が提唱している概念である。

   家庭(結婚家族)や学校や職場という集団に所属せず、人付き合いもない(あるいは希薄)という状態を社会的な孤立(solitary)として定義しているところが1つのポイントであるが、もう1つのポイントは、フリーターやニートが若者のカテゴリーであったのに対して、ここでは年齢の上限を59歳に設定して中年を含むカテゴリーにしていることである(59歳で止めたのは、60歳を越えると年金で生活を支えられる可能性が出てくるから)。

   玄田が総務省の「社会生活基本調査」のデータから計算したところ、2011年時点の20~59歳の総人口6461万人のうち、未婚で無業の人は約256万人で、そのうち「孤立している」(家族以外との接触のない)人=スネップは162万人とのことである。20~59歳人口の約2.5%に相当する。

   少し注釈が必要なのは、「孤立している」(家族以外との接触のない)ということをどのように測定(判定)しているのかというと、総務省の調査の実施された2006年10月14日~22日の間に、「一緒にいた人が家族以外に連続2日間以上いなかった」ということで判定している点である。ここには、電話やインターネットでの他者との相互作用は含まれておらず(あくまでもリアル空間での対面的な相互作用が重視されている)、医者の診察など仕事上の行為としての相互作用は含まれていない(インフォーマルな対人的相互作用が重視されている)。だから実感としては、この162万人という数字は、多少割り引いて考えた方がよいと思うが、それでも、社会問題として認識すべき数字であることは間違いないだろう。

    本書は4章構成。

    第1章 スネップの登場とその社会的背景(関水)
    第2章 スネップ・潜在的スネップの現実(藤原)
    第3章 コミュニケーションと孤立(関水)
    第4章 15年の引きこもり支援から見たスネップ問題(藤原)

    共著者の藤原宏美さんは不登校や引きこもりの子どもを対象にした訪問サポート活動をする団体「トカネット」の代表。社会学者と現場の活動家とのコラボによる分かりやすく興味深いスネップ問題入門書である。

    7時、帰宅。夕食は親子丼。

    『リーガルハイ』第7話をリアルタイムで観る。今季は数本のTVドラマを観ているが、リアルタイムで観ているのはこれだけ。