8時半、起床。
クロワッサン、サラダ、コンソメスープ、牛乳、蜂蜜の朝食。
午後、散歩に出る。2時を回ると、中休みに入ってしまう店が多いが、駅ビルの飲食店街には中休みがないので、ありがたい。西館7階の「麦とろ茶屋」で彩野菜せいろ麦とろセットを注文。
腹ごなしの散歩。沿線の道を川崎方面へ歩く。
タイヤ公園に到着。
タイヤ公園といえば劇団獣の仕業。(強引か・・・)
第8回公演「空騒ぎ」のお知らせです。2年前の「オセロ」に続くシェイクスピア劇。7月19日(土)、20日(日)の2日間。詳しくは下記サイトで。
http://kemono.xxxxxxxx.jp/8th/8th.html
散歩を終えて、「テラスドルチェ」でひと休み。
この店のアイスコーヒーは美味しい。
川上弘美『ニシノユキヒコの恋と冒険』(新潮文庫)を読む。
川上弘美という人の文章の上手さには本当に舌を巻く。たとえば、男が付き合っている女に飽きる瞬間というものを女の側からとらえた次の文章なんかは、なぜこんなふうに書けるのかと、つくづく感心してしまった。
「そして、ユキヒコはわたしに飽きた。
そういう言葉を使うのはつらいけれど、やはりその言葉がいちばんぴったりとする。
ユキヒコはわたしに飽きた。
「あんドーナツが僕は好きだ」とユキヒコが言ったときに、それがわかった。
「あんドーナツは、わたしはちょっとなあ」とわたしは答えた。ユキヒコはベッドの背もたれに寄りかかって、雑誌を読んでいた。わたしはじゅうだんに座って、ぼんやりと深夜映画を見ていた。白黒の、かなしい映画だった。ユキヒコのあまり好きでないタイプの映画。アクションと踊りが足りないよ、この映画、そうユキヒコが言いそうな、映画。
ユキヒコは、いつの間にか、またなめらかになっていた。例の、なめらかなうわの空。ユキヒコは、ついに、わたしに飽きたのだ。
「メロンパンなら、どう?」
「メロンパンは、なんだかかなしい」
答えながら、わたしは鼻をかんだ。涙が、ひとつぶかふたづぶ、出たのである。ユキヒコがもうわたしに傾斜していない、ということがわかって、わたしはパニックに陥っていた。けれどもまだ間に合うかもしれなかった。涙なんか流している場合じゃない。まだ、間に合うカモシレナイ。間に合う?でも、何に?
「マナミ」とユキヒロは言った。落ち着いた声で。
その後にどのような言葉が続くのか、わたしは聞きたくなかった。マナミ、別れよう。マナミ、今度の日曜は都合が悪くなっちゃったんだ。マナミ、おまえにもう関心が持てない。わたしは耳をふさぎたかった。けれどわたしはゆっくりとユキヒロの方を向いて、ほほえんだだけだった。
「なあに」
「カレーパンなら、悲しくないでしょ?」
そうね、とわたしは答えた。笑いながら(ユキヒロの大好きなカレーの入ったパン。わたしの大好きなユキヒロ。わたしをもう大好きではないユキヒロ)。
ユキヒコは、自分がわたしに飽きたことを、まだ知らなかった。知らせてやるもんか、とわたしは思った。もしかしたらわたしの勘違いかもしれない(イチルのノゾミ)。
「なんで泣いているの」とユキヒロが聞いた。わたしは、いつの間にかおおっぴらに泣き出していたのだ。うかつにも。
「映画、かなしくて」
「そんな悲しい映画、どうしてわざわざ見るのかなあ」
ユキヒコはのんびりと言って、雑誌に戻った。わたしはもう一度鼻をかんだ。そのあとは、もう二度と泣かなかった。見ると、ユキヒコはいつの間にか寝入っていた・・・(中略)・・・。
かわいそうなユキヒコ、と思いながら、わたしはユキヒコの腕をさわっていた。かわいそうなわたし、とはなぜか思わなかった。かわいそうなユキヒコ、としか思わなかった。やがてユキヒコがわたしを捨てるんだろうに。やがてユキヒコの方がわたしから去るんだろうに。わたしを捨てたあとのユキヒコが、わたしから去ったあとのユキヒコがかわいそうでならなかった。ただただ、かわいそうで憐れだった。」(84-86頁)
ちなみに映画では、このマナミという女の役は尾野真千子がやっている。はまり役だと思う。
陸橋を渡ってジムへ行く。いつもより5分長く、50分間、クロストレーナーを漕いで、690キロカロリー相当を消費する。
帰宅する前に「phono kafe」にちょっと寄る。
6時を回っていたが、先客は二人いて、一人は常連の元炭鉱夫さんだった。そのあと、男性の一人客が続けて入ってきたので、私はリンゴジュースで喉を潤しただけで、長居はせずに席を立った。
夕食は豚のばら肉とニンニクの茎の炒め物。
ゼミ4期生のWさんからメールが来て、北海道からAさんが研修で東京に来ているので、今度の週末に2人で研究室に顔を出そうと思いますと言ってきた。卒業=就職から3か月目に入って、そろそろそういう頃かと思っていた。