フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

7月9日(土) 小雨のち曇り

2016-07-10 16:03:34 | Weblog

8時半、起床。

ガーリックトースト、サラダ、紅茶の朝食。

9時半に家を出て、大学へ。今日は早稲田社会学会の大会がある。

京浜東北線が何かのトラブルで遅延して、10時30分開始の一般報告に少し遅れて会場に着く。

昼休みは理事会に出席して、会計の決算について幹事として報告をする。昼食は会議中に出た「たかはし」のお弁当(写真はなし)。

午後のシンポシジウムには、研究室で急ぎに雑用を片付けてから、途中から参加。

シンポジウム終了後、総会。理事会のときと同様、会計の決算について幹事として報告。

懇親会は失礼して帰る。

西の空の月の近くに明るい星が見えた。

8時、帰宅。

風呂から出て脱衣所の体重計に乗ったらこの一ヶ月で1キロほど減っていた。暑さで食べる量が多少減っているのだろう。

豚しゃぶ(冷製)、冷奴+納豆、味噌汁、ご飯の朝食。

たくさん食べても大丈夫なような気がした。 

本日購入した新書と文庫本。

深海菊絵『ポリアモリー 複数の愛を生きる』(平凡社新書)

我が国は一夫一婦制をとっている。それは法律で定められている。しかし恋人については一対一であることを法律では定められていない。しかし一般的通念として「二股三股」はダメとされている。本書はその一般通念への問題提起の書である。ただし不倫や浮気のススメではない。不倫や浮気は隠れておこなわれるが、著者のいう「ポリアモリー」は複数の人を同時に愛することを公言してはばからないものである。白日の下での「二股三股」なのである。近代社会は愛情至上主義社会であるが、同時に純愛主義(一途な愛)でもある。その意味で、「愛する人が同時に複数いてなぜいけないのか?」という問いは、問い自体がタブーになってきたところがある。近代社会の根幹を揺るがしかねない問いだからだ。それだけに興味深い考察が繰り広げられている。

著者は一橋大学大学院社会学研究科の博士課程に在学中の方である。著者へのインタビュー記事は⇒こちら

森林原人『セックス幸福論 偏差値78のAV男優が考える』(講談社文庫)*書下ろし

AV女優の書いた(あるいはインタビュー形式の)本は何冊かあるが、AV男優の書いた本は珍しいのではないだろうか。

「僕の仕事は、セックスを人に見せることが本文であるAV男優です。二十歳から初めて三十七歳の今に至るまで、八千人と一万回以上セックスをしてきました。多い日で十八人。三日として空くことなくセックスしています。もちろん、その大半が仕事ですが、彼女やセフレともセックスしてきました。僕は気持ち良いことが大好きで、だから、セックスが大好きです。セックスのない人生なんて考えられません。・・・(中略)・・・傍から見たら、セックス漬けといわれる言われるような人生で、やっていることや言っていることからも、頭がおかしいんじゃないかと思われがちです。」(7-8頁)。

たしかにちょっとバカっぽい文章である。「複数の人を同時に愛すること」がタブーであるのと同様に、セックスについてあけすけに語ることもタブーとされている。だからセックスについてあけすけに語る人はバカっぽく、下品に見える。これは同じく本能的な欲求である食欲が「料理」「グルメ」などの衣装を着てテレビや雑誌で盛んに語られているのと対照的である。著者は性欲が食欲や睡眠欲と何が違うのかを考えて、こう答えている。

「それは、食欲、睡眠欲、性欲、このうち、性欲だけが他者との関わりを求めるからです。・・・(中略)・・・人の集まりが社会なのですが、そこで好き勝手に性欲を他者に向けたら、社会の調和が成り立たなくなります。よって、社会の中にいる限りは理性が求められます。理性をもって性欲を抑制し、秩序を保とうと社会では考えられています。どんな形にしろ性欲を前面に出すと社会秩序を乱すんじゃないかという予感から不安を生み、場合によっては排除される方向に行きます。」(9-10頁)

この辺の考察は全然バカっぽくない。「偏差値78」の片鱗が感じられる。実際、彼は大学で心理学を勉強したようである。

「僕は僕がしていることをわかっています。性的方面の理性は乏しいかもしれませんが、我を見失っているわけではありません。セックスが好きという思いが人より強いだけです。もしかしたら正直なだけとも言えるかもしれません。僕の人生は快楽に突き動かされた享楽的な生き方であるだけであり、それに対して卑下する気はありません。生まれてきたことに感謝するように、自分の人生がこうで良かったなとありがたく感じます。」

本書はそういう著者が書いた幸福論である。一読の価値は十分にある。

【業務連絡】「多元的自己論」に関心のあるが学生には『ポリアモニー 複数の愛を同時に生きる』との併読を勧める。