フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

5月8日(水) 晴れ

2019-05-10 20:46:17 | Weblog

8時半、起床。

トースト、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

水曜日は会議日。9時半に家を出て、大学へ。 

五月晴れである。 

10時40分から学位委員会。 今日は審議の件数が少なく、短時間で終わる。

研究室で雑用を片付けて、ランチタイムの混雑の終わる1時ごろに昼食を食べに出る。

「たかはし」に行く。 定食ならここである。

今日は二重弁当を注文。 

色とりどりだが、最初に食べるのはエビフライとほぼ決まっている。食事をするとき「好きなものから食べる派」か「苦手なものから食べる派」かはよく話題になるが(「苦手なものは食べずに残す派」というのは想定されていないようである)、私はあえていえば「好きなものから食べる派」である。「あえて」と断ったのは、私はとくに苦手なものがないからである。エビフライを最初に食べるのは、中終盤にとっておいてお腹がよくなってから食べるよりも、空腹感のあるうちに食べた方がより美味しく感じるからである。ちなみに今日は二番目は卵焼きであった。やっぱり好きなものに箸が行くようである。

食事を終えて、その足で西荻窪に行く。

北口の商店街にある「FALL」という雑貨店でカフェ仲間の清水直子さんの作品展が今日からなのだ。こういう場合、私はできるだけ初日に顔を出すようにしている。景気づけになるし、なにかを買って帰ろうというときに作品の数が多いからだ。

風情のある商店街である。

「FALL」の看板が出ている。ここに来るのは3度目くらいだろうか。すべて清水さんの展示会がらみである。 

 

清水さんはお皿やカップも作るが、「FALL」での展示会はいつもオブジェの作品が中心である。今回のタイトルは「Wishper」(ささやき)である。 

女性と猫。妻が居間のソファーに座って本を読んでいると、ハルがこんなふうになついてくる。

4人のコーラス。 

埴輪みたいである。 

これは何ですかと清水さんに尋ねたら、雲をイメージしたもので、水を張った深皿の中において、ここに切り花を立てたりして使ってほしいとのことだった。なるほどね。 

糸電話を持たせたら、『半分、青い』のスズメとリツになりますね。 

若いころの草間彌生を思わせる。 

ボートで川を渡る脱獄囚みたいだ。 

絵本を読む親子かな。 

 結局、女性と猫の作品を購入することにした。

店内の一角にブックコーナーがあった。 

夏葉社の本が並んでいる。この出版社の名前は記憶にあった。 

この3月末から4月初めにかけて松本に行ったとき、ブックカフェ「栞日」で購入した『山の上の家』(庄野潤三の作家案内)がこの出版社から出ている本だったからである。採算にとらわれずによい本を出している小さな出版社である。 

関口良雄『昔日の客』(復刻本)を購入する。むかし大森にあった古書店『山王書房』の主人が書いた随筆集である。味わいのある文章を書かれる方で、聞いたところでは、復刻前は数万円の値がつく人気の古書であったそうである。 

もう一冊、「FALL」店主の三品輝起さんの本『すべての雑貨』もお近づきのしるしに購入させていただいた。 

署名もいただいた。

 清水さん、三品さん、今日はよい買い物をさせていただきました。

店を出るとき、三品さんが私と清水さんの写真を撮ってくださった。 

また中央線沿線散歩の折にでも立ち寄らせていただきますね。 

カフェで一服していこう。「FALL」の向かいにギャラリー・談話室「しみず」という店があった。「しみず」と聞けばもちろん私は「清水幾太郎」を連想する。しかも「談話」という文字から、清水が戦後深くかかわった「平和問題談話会」や、清水が学習院大学を辞めて新宿大京町のマンションの一室に設けた研究室で、「清水研究室談話会」を連想した。よほどここで一服していこうかと思ったが、今日はぜひ入ってみたいカフェが別にあった。 

ここである。うっそうとした森の中に人をいざなうようなカフェである。 

カフェの名前は「びあん香」。半地下にある。 

マダムが一人でやっているお店である。ブレンドコーヒーと自家製ケーキを注文。 

珈琲よりだいぶ遅れて出てきたのがこのケーキである。スポンジケーキの上にのっているバラの花はアイスクリームで作られている。マダムがカウンターの向こうで何やらやっているのはわかったが、そうか、アイスクリームでバラを造形していたのだ。これは職人芸的といえる完成度の高さだ。「溶けないうちにお召し上がりください」と言われたが、しばし、眺めていた。 

再び大学へ。4時半から現代人間論系の教室会議がある。今日はあれこれ議題があって、2時間ほどかかった。 

8時近くに帰宅。

夕食は冷豚しゃぶ、納豆と冷奴、味噌汁、ご飯。 

新玉ねぎと大葉の上に湯通しした豚肉をとのせてカツオ節かまぶしたもの。ポン酢で食べる。 

深夜、明日の支度を終えて、関口良雄『昔日の客』の冒頭の一篇「正宗白鳥先生訪問記」を読む。実にいい文章だ。文章を読む楽しみを純粋に感じさせてくれる文章である。

2時、就寝。