7時、起床。
パン、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。
8時半に家を出て、新宿駅へ。私の乗るあずさ号は10時ちょうど発なので、9時に家を出ても十分間に合うのだが、それは京浜東北線や山手線に遅延が生じないことを前提としての話で、しかし、近頃はしょっちゅう遅延(とくに京浜東北線)が生じるので、早めに家を出たのである。
あずさ号はこの3月のダイヤ改正のタイミングですべてE353系の車輛で統一された。
前方から見ると細身だが、横から見ると「鼻ぺちゃ」で、新幹線の「ロングノーズ」とは対照的である。
手荷物はキャリーバッグとこのトートバッグ。トートバッグはいつも持ち歩くもので、容量的にはもっと小ぶりのショルダーバッグでもよいのだが、脱いだ上着を入れたり、買い物をしたりするにはトートバッグの方が便利なのである。
新宿から茅野(初日は友人のKを訪ねる)までは2時間。先日購入した関口良雄『昔日の客』を読んだり、居眠りをしたり。
駅の近くは建物が多いが、駅と駅との中間は里山と民家の風景が続く。
あと数分で茅野ということろで、荷物を持ってドアのところに移動。ふと窓から空を見ると虹色の雲が目に入った。彩雲だ。知識としては知っているがめったに見ない雲である。 虹のように弧を描いてはおらず、雨上がりでもない。
茅野に到着。
ホームに立って、改めて彩雲の写真を撮る。 学術的には彩雲にもいくつかタイプがあるらしいが、吉兆であるのは間違いない。今回の旅がよいものになることを確信する。
改札にはKが迎えに来てくれていた。彼によると、GWの始まる頃にも彩雲が観測されたらしく、地元のニュースでも取り上げられたそうだ。
いったん彼の別荘(和楽亭)に寄ってキャリーバッグを下ろす。
改めて出発。八ヶ岳連峰を前方に観ながらのドライブ。こういう風景を前にすると、ジャック・ケルアックの『オン・ザ・ロード(路上)』が頭に浮かぶ。
やがて道は耕作地帯を抜けて森林地帯へ入って行く。
茅野に来たときはいつもこの「香草庵」で昼食を食べる。
高原にはまだ桜が咲いている。
蕎麦屋らしからぬ建物だが、人気の蕎麦屋である。
前に3組の客が待っているが、大した待ち時間ではない。外のベンチで待つことにする。
Kとは高校以来の友人で、奥さんもわれわれと同じバドミントン班だった。いまは体調を崩されて療養中だが、いずれまた3人で会えることだろう。
ほどなくして個室に案内される。普段はお店の方のプライベートルームだが、繁忙期はお店の一部として使用しているそうだ。
出窓のところにおいてある鳥の作り物が目を引く。林檎をつつく雀だろうか。
写真を撮るK。
実によく出来ている。表情(目)がかわいらしい。
注文した蕎麦が運ばれてきた。私はニシン蕎麦(冷製)、Kはセイロ。
私はいつもここではニシン蕎麦(冷製)を注文する。いつもの店で、いつものメニューを注文するというのが私の流儀である。「飽きないのか?」とKは言うが、毎週なら飽きるかもしれないが、年に数度だからね。
さて、次に行こう。
カフェ「グリーンエッグ」。「香草庵」で昼食を食べたらここでお茶をするというのも決まり事である。
林の中のカフェである。
大きな桜の木がある。
すでにピークは過ぎているが、まだまだ鑑賞に堪える桜である。
マダムとご挨拶。 「いまセルフタイマーで写真を撮ろうとしているんです。ほら、あそこにカメラが」
私はケーキセット(紅茶)。
ケーキは苺のタルトをチョイス。 盛りだくさんの苺。彦麻呂なら「苺の八ヶ岳連峰や!」と叫ぶところだろう。
少食のKはドリンク(カフェオレだったかな)だけ。
さて、次に行こう。
食後の散歩は八ヶ岳農業実践大学校+八ヶ岳自然文化園で。
怪獣のような雲が出ている。
きっとGW中はたくさんの人出があったに違いない。
今日は家族連れがパラパラ。
女の子が自販機買ったエサをヤギに与えている。
柵の側でカメラを構えている私のところにも別のヤギがやってきた。ごめんよ、エサはないんだ。生えている草をちぎって与えると結構食べてくれた。
池の方へ。
蒲の穂棉が固まって水上に林立している。
鳥の巣のようなものは寄生木(ヤドリギ)である。
水仙が可憐な花を咲かせている。
ここにも大きな桜の木がある。
近くに教会があるらしい。
う~ん、足を踏み入れるのはやめておこう。
3軒目のお店はカフェ「魔法屋JIN」。たぶん開店した年からKと一緒に来ていると思う。
「JIN]という名前の由来はなんだと思います。私は、「アラジンのジンかな」とか、(当時の人気ドラマ)大沢たかおと綾瀬はるか主演の『JIN―仁ー』から採ったのかな、と考えたが、マダムに聞いたら飼い犬の名前だった(笑)。
クラシカルな内装。
紅茶の缶がいっぱい並んでいる。
私はレモングラスのハーブティとハチミツ&チーズトーストを注文。トーストはパンがふっくらサックリとしてとても美味しかった。そしてチーズトーストに蜂蜜というのも合いますね。これからここに来たときの定番にしようかな。
ポットの保温のための燃料の灯を見つめていると気分が落ちつく。
Kはコーヒーとミニケーキ(メニューにはないが、ランチのセットに付くものらしい)を注文。本当にミニだな(笑)。
マダムにわれわれの写真を撮っていただく。
さて、いったん和楽亭に戻ろう。
和楽亭に到着。
玄関には「三月やふわりと梅にうぐいすが」という一茶の句が額に入って掛けられている。Kの奥さんの書である。彼女の署は師範の腕前なのだ。
30分ほど横になってから、お隣の長円寺に行ってみる。
池の畔の石仏たち。
山々を背景に物言わず並んでいる。
でも、耳を澄ますと石仏たちの声が聞こえるようである。
何やらブツブツ言っている(笑)。
お寺を出て、田圃の方へ行ってみる。
田圃には水が引かれ、まもなく田植えが始まる。
陽が西に傾いている。
雲から光の帯(天使の階段)が下の方の町(諏訪の方だろう)に降りている。
和楽亭に戻ろう。
Kの車に乗って近所の温泉(共同浴場)へ。「望岳の湯」という名前である。
「望岳の湯」という名前である。
たしかに。
日没だ。
夕食はここの食堂で食べる。風呂から上がってから食べるつもりだったが、ラストオーダーが7時なので(ただいま6時半)、先に食事をすることにした。Kは山菜うどん。
私はいつものソースカツ丼。 1時ごろ昼食(ニシン蕎麦)を食べ、それからカフェを2軒梯子して、7時前に夕食というのはわれながら感心する。よく胃に入るものである。こういう場合、ソースかつ丼というのは味が濃いからご飯が進むのだ。
食後、ちょっと休んでから入浴。風呂から出て、冷たい物を飲みながら広間でおしゃべりをする。すぐに和楽亭に帰るよりも、こういう場所の方がおしゃべりが弾むものである(和楽亭でゆったりすると眠くなってきてしまうのだ)。
話題は「定年後の生活」。「大久保は定年後に始めたいことはあるのか?」と聞かれたので、「とくにはない。定年後に始めたいことは、いますでに始めている。定年後はそれらにもっと時間を割くことができるようになるわけだが、同時に、健康や収入は低下するわけだから、それを考えると、定年の前後で生活スタイルをガラリと変えるのでなく、いまの段階から少しずつ変えていった方がよいと思う」という持論を述べる。生活をガラリと変えるというのは案外難しいもので、そこから新たな生活ストレスが発生しやすい。独身であれば、そのストレスは自分だけのものであるが、夫婦の場合は、夫が生活をガラリと変えようとしても妻がそれについていけず、熟年離婚などに発展してしまうのだ。定年前後の生活の変化は、断絶的であるよりも、連続的であった方がよいのだ。
帰り道にコンビニ に寄って、明日の朝食を仕入れる。
10時を少し回ったあたりで、就寝。さすがにすぐには眠れなかったが、今日撮った写真の整理などをしていたら、11時には眠くなった。