フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

5月12日(日) 晴れ

2019-05-17 09:35:36 | Weblog

7時、起床。

和楽亭の朝は早い(Kは6時には起きている)。

朝食は昨夜コンビニで買っておいたカレーヌードルとサラダ。 

食後、近所を散歩。 

夕方と朝では石仏の表情も違って見える(かな)。 

長円寺の境内には樹齢400年の栃の木がある。

 

栃の木は栃木県の県木である。セイヨウトチノキはマロニエとも呼ばれ、昔の歌謡曲にはよく登場した。

田圃にはもう人が出て働いている。 

水を引いた田圃の土をかきまぜている。田植えの前にやっておくべき作業なのだろう。私が写真を撮っていると、「今日は写真を撮るにはいい日だ。お寺さんに泊まってるんですか?」と声を掛けられた。畦道では知らない人間同士も挨拶を交わすのである。

8時半ごろ安楽亭を出る。出発前に庭先でKとの写真を撮る。 

茅野の駅前に置かれている「縄文のビーナス」(左)と「仮面の女王」。もちろんれレプリカで、本物は手のひらに乗るサイズである。「縄文のビーナス」は国宝であるが、私は「仮面の女王」の方がかっこいいと思う。Kとはここでお別れ。彼はこのまま車を運転して相模原の自宅に帰る。お世話になりました。奥さんによろしく。また会おう。 

8時49分発の松本行き(普通)に乗る。

日曜日だからなのか、時間帯のせいなのか、車内はガラガラである。 

50分ほどで松本に到着。 

 建物の間から雪を頂いた山々が見えるところが松本ならではである。

未だチェックインはできないが、ホテルのフロントに荷物(キャリーバッグ)を預ける。街歩きは身軽でなくてはならない。 

中通り。タレントらしき人(名前は知らない)が人力車に乗ってテレビ番組の撮影が行われている。 

10時開店の「chiiann」に顔を出す。松本カフェめぐりの始点と終点はここと決めている。 

この日最初の客である。GWは大忙しだったようだ。 

ケークサクレのセット(ドリンクはりんごジュース)を注文。 

時間的に昼食ではない。スイーツとも違う(甘くはない)。朝食の延長という感覚。 

 1時間ほど滞在して、顔出しNGの奥様の恒例の「手振れ」に見送られて店を出る。

違うパターンでも(笑)。明日も来ますね。 

中通りを歩く。

 街中にはあちこちにベンチがある。座りたいようなベンチを見つけると、ついつい座ってします。

ここはお店の前の(順番を待つための)ベンチではなく、商店街の組合の事務所の前におかれたベンチで、純粋に一服するためのベンチである。 

ここはお店の前のベンチだが休業日あるいは開店前なので遠慮なく座る。

 「グレインノート」に立ち寄る。

GW中に開催されていた田中一光の作品展「青の主題による変奏曲《第9変奏》」で展示されていて、マダムに取り措いてもらっていたカップ&ソーサーを購入する。

一の橋を渡り、女鳥羽川の向こう岸へ。 

コンフィチュールのお店「Che Momo」。家へのお土産はここで購入と決めている。 

お隣の和菓子屋「宝来屋」は今日は開いていた。ラッキー。「しばらくお休みされていましたが、お身体はもうよろしいのですか?」と奥様に声を掛けると、ニッコリされた。ホテルで食べるようにあん団子とみたらし団子、それとあんこを豆餅でくるんだ鉄砲巻を購入。 

 女鳥羽川を二つ先の橋ところまで歩き、ちょっ中に入ったあたり。この辺に「栞日」の分室(GWにオープン)があるはずである。 

女鳥羽の泉。市内にはたくさん湧水がある。 

造り酒屋がある。よい水のあるところ、よい酒ありということだろう。

 「栞日」の分室を探してキョロキョロしていると、なにやら料理屋さんらしい古民家があった。ちょうど女将さんらしい方が出てきたので、「何のお店ですか」と尋ねたら、お蕎麦屋さんとのこと。

お店の名前は「満」(みつ)。「そば」とはどこにも書かれていない。分室に寄った後にここで昼食をとろうかと思い、「お昼は何時までやっていますか」と聞いたら、「予約のみの店なのですが、お蕎麦だけでしたらご案内できます」とのこと。敷居の高い店のようだが、蕎麦ならそんなにバカ高いということはあるまいと思い、案内されるままに店内に入る。

静謐という言葉がピッタリの空間である。せいろを一枚と一品料理のメニューから鴨の柳川を注文する。鴨の柳川は初めて食べた。どじょうの柳川と同じように鴨肉と牛蒡、そして季節の山菜(わらび)を玉子でとじたものである。メニューには二人前で出ていたが、一人前で作ってくれた。代金は全部で2000円でお釣りが来た。決して高くはない。次回はちゃんと予約をしてコース料理をいただいてみたい。(料理の写真撮影はNG)

「栞日」分室は酒屋さんの隣にあった。この建物の二階である。誰かがベランダで作業をしている。作家さんだろうか。 

オープニングの展示会は「現在民藝館展」(L.PACK) 。

一階は食堂が入る予定で、まだ工事中である。 

二階に上がる。 

面白い空間である。 

 展示品をみながら、さきほどベランダで作用をしていた方にお話をうかがう。

私が作家だんだろうと思っていたのは誤解で、一階に開店予定の「山山食堂」のご主人であった。 

お名前はタカハシヒデキさん。あの有名な俳優と同じ名前だが、字は違うらしい。本当は分室と同時に開店するはずだったのだが、食堂の方の工事が遅れてしまって申し訳ありませんとおっしゃっていた。どんな食堂になるのですかと聞いたら、アジフライとか鯖の味噌煮とか普通に美味しい定食を出したいとのことだった。アジフライ、私、大好きです。期待していますね。 

分室を見てから「栞日」へ。入り口を入ったところの大きなテーブルで菊地さんがパソコンを広げて仕事をしていた。「分室、見てきましたよ」と挨拶。

飲み物とドーナツの注文をしてから2階へ上がる。レジをしている店員さんは前回来たときと同じ方だと思うが、茶髪になっていたので、印象が違う。「同じ方ですよね?」と尋ねると、「はい、同じだと思います」と答えてくれた。 

お気に入りの窓際のデスクが空いていたので、心の中で「ラッキー」とつぶやきながら座る。まあ、2人(以上)で来る客はここには座らないだろう。 一人で来た客も、部屋の中央にある2人用の丸いテーブルが、ソファに座る人が多い。ここが空いていることが多いのは、ここがあまり人気のないテーブルだからだろう。私が変わっているのかもしれない。

 さきほどの茶髪の店員さんがアイスジンジャーとドーナツを持って来てくれたので、昨日見た彩雲の話をして、あなたも見ましたかと聞いてみた。「ずっと店内にいたので、見ることができませんでした」とのこと。スマホで撮った彩雲の写真を見せてあげると、「初めて見ました、こんな雲。きれいですね」と驚いていた。 

今日は「栞日」にはショートステイ(1時間足らず)。明日、本格的にここで時間を過ごすことにする。

ホテルでチェックインの手続きをして、「グレインノート」で買ったカップや「モモ」で買ったコンフィチュールのビンをカバンから出す。30分ほどベットで昼寝をしてから、今日の最後のカフェ「ガルガ」へ向かう。

 「ガルガ」は市民芸術館の裏手の民家の庭の蔵を利用したギャラリーカフェである。

月吾替わりで2階のスペースで作家さんの展示会をやっている。今月は、いつもとは違い、「ふるさと民芸品展」というタイトルで、地元長野のあるいは地方の民芸品を展示している。

とりあえず店主さんご夫婦に挨拶をして、リンゴジュースで喉を潤す。 

2階のギャラリーには三春駒とか熊の彫り物とか子どもの頃から馴染みのある民芸品にまじって、宮田嵐村という大正生まれの作家が創作した「道神面」というお面が目を引いた。

被ってみた。「13日の金曜日」のジェイソンみたいである。

 

よく見るとわかると思うが、男女の性器がモチーフになっている。さかのぼれば埴輪もそうだが、民芸品にはそいうものがけっこう多い。人間の根源としての性、生殖、エロス、そして村落共同体としての豊穣の祈りということだろう。岡本太郎が「道神面」を見て称賛したそうだが、さもありなんと思う。価格は5000円なので、購入することも考えたが、どこに飾っておくのか(研究室か、自宅の居間や書斎か)を考えると、難しいかなと考えて断念した。

 「道神面」をイラスト化した手ぬぐいと三春駒のポストカード、そして1階のショップに置いてあった小池千恵さんの練り込みの皿を購入した。

時刻は6時半。チキンカレーの「小」を注文して、早めの夕食とする。 

 10時半に松本に来ると一日がけっこう長い。たくさんの馴染みの店を回ることができた(でも、全部は無理だ)。

夜はホテルの部屋にこもってテレビを観ながら(『集団左遷』とか)写真の整理やブログを書いたりして過ごす。夜の街に繰り出すということはしない(私は酒を飲まないから)。せいぜいコンビニに行くくらいだ。

1時、就寝。