フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

12月26日(火) 雨

2006-12-27 03:13:35 | Weblog
  朝から雨が降っている。小雨ではなく、本格的な雨である。雨の中を10時に予約してある近所の歯科医院へ行く。合宿に行く前あたりから左上の奥歯に痛みがあって、また歯根の治療をしてもらわないとダメかもしれないと思い、合宿から戻ってから予約を入れたのだが、痛みは昨日には収まった。でも、せっかく予約もしていることだし、年末年始で医者が休みのときに痛みがぶり返してもいやなので、診てもらうことにした。親不知が顔を出しそうなところまで来ていて、その圧迫で歯根に炎症が起きやすくなっているのでしょうとのこと。しかし抜くには時期尚早らしい。痛みが出たときのために鎮痛剤と抗生物質を処方してもらって帰ってくる。

          
                   雨降る冬の朝なり

  書斎と書庫の大掃除の続き。今日のテーマは「捨てる」。仕事がらあれこれの書類が溜まる。一定期間は保管しておくが、その一定期間のうちにそれを見直す必要が生じることはまずない。書類は思い出とは違う。必要そうに見えて、実はそれほどではないのである。一定の保管期間はそのことを確認するための時間である。確認が済んだものは、ときかく思い切りよく捨てる。熱海の海岸で寛一がすがりつくお宮を足蹴にするみたいに、情け容赦なく捨て去る。そうしないことには貴重な空間が書類で占拠されてしまう。

          
             書類は紙袋に詰め込んで捨てる。

  そんな非情な私だが、本を捨てることはできない。どんなつまらない本も、本の体裁をしているものは、気安く捨てることはできない。居間の床に置かれていた本たちを、時間をかけて、書斎あるいは書庫のしかるべき場所に再配置した。本日、捨てた本は、ただ一冊、i-Podの解説本のみ。

          
               難民キャンプ、撤収される。

          
          机上も片付いたところで、ブログを書くとしよう。

12月25日(月) 晴れ

2006-12-26 01:00:36 | Weblog
  いよいよ書斎の掃除に取りかかる。これは今日一日では終わらない。まずは窓際にうずたかくつまれた本を他所へ移さねばならない。そうしないと、第一に、窓の掃除ができないし、第二に、机に向かっていると頭の上に本が落ちてくる(角があたるとけっこう痛い)。

      
                      before

  本の移動は、肉体労働であると同時に、頭脳労働である。なぜならそこには分類という作業が伴うからである。窓際に積まれた本をそのまま書庫の空いている書架へ移すのであれば話は簡単だが、そういうわけにはいかない。窓際に積まれた本は購入した時期が比較的新しい本である。購入した本はとりあえず窓際に積んでおかれるのである。そして一定期間が経過したところで、ジャンルと利用頻度の2つの変数を考慮して、書斎あるいは書庫のしかるべき場所に配置されるのである。そのとき玉突き式に本の移動が発生する。なぜなら書斎の書架には空きスペースがほとんどないので、窓際の本の移動先を確保すためには、蔵書全体(書斎+書庫)の再配置が多かれ少なかれ必要になるからである。もちろんそれはあまり大がかりでない方が望ましい。できるだけ少ない労力で、合理的な再配置を志向しなくてはならない。あれをこっちに、それをあっちに、と頭の中で戦略を練る。しかしすんなりとは決まらない。書斎から書庫へ移す本たちが恨めしげに私を見るからである。みんなそば(書斎)にいたいのだ。
  「ごめん、少しの辛抱だ。いつかきっと迎えに行くから。」
  「そんな気休めは言わないで。わかっているわ。もう二度とあなたは私のところへは来ないって…」
  「子どもみたいに拗ねるのはやめなさい。」
  「いいえ、拗ねてやる。拗ねてあなたを困らせてやる。ねえ、私を読んで。いま、読んでちょうだいな」
  「馬鹿なことを言うんじゃない。いまお前を読み始めたら、仕事が滞ってしまうじゃないか。」
  「いまは仕事の話なんかしないで。私と仕事とどっちが大事なのよ。」
  …これって、チュートリアルの漫才のネタにならないだろうか。ほどなくして窓際に積まれていた本はすべて撤去された。

      
                      after

  しかし、本たちの落ち着き先は未定である。窓掃除の作業を優先するために、とりあえず窓際の本は居間の床の上に移動したのだ。それはあたかも難民キャンプのような様相を呈している。

          
                  今日はここで一泊  

12月24日(日) 曇り

2006-12-25 03:17:06 | Weblog
  9時起床。身支度をして、自転車で蒲田郵便局(本局)まで速達を出しに行く。4年生のMさんから頼まれている推薦状である。帰宅して、朝食をとり、それから『社会学年誌』に載せる論文の校正(初校)作業に取りかかる。誤字脱字の修正以外に、文章自体を手直しするところが何ヵ所かあって、思いのほか時間がかかった。昼食を間に挟んで、作業が終わったのが午後3時ごろ。再び自転車に乗って蒲田郵便局まで速達を出しに行く。まさに師走である。帰りにくまざわ書店に寄って、しかし、本は購入せず、隣のレコード店で、以下のCDを購入。

  モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466/ピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503(グルダのピアノ、アバド指揮のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)UCCG-5016
  モーツァルト:ピアノ協奏曲第26番ニ長調K.537/ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488(グルダのピアノ、アーノンクール指揮のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団)WPCS-21048
  モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466/ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467(アンダのピアノ、アンダ指揮ウィーン交響楽団)COCO-70779

  最初の1枚はすでにLPで持っているもののCD版だが、1000円だったので迷わず購入。LPプレーヤーは居間にあるので、聴きたいときに聴けないのだ。さっそく聴いてみたが、やはり第20番はいい。協奏曲というのは独奏者のテクニックを披露する楽曲だと思うが、同時にたくさんの音の出せるピアノが独奏楽器としては最強だと思う。オーケストラを相手にして一歩も引かないところがいい。丁々発止の緊張感が漂っている。しかも第20番は短調の曲だから、その緊張感は悲壮感と隣り合わせである。つまりはドラマチックなのだ。
  2枚目のCDは、今夜の「NHK音楽祭2006ハイライト」(後編)で取り上げられていたアーノンクール(26年ぶりの日本公演)の指揮。グルダは亡くなってしまったが、アーノンクールは今も健在である。「戴冠式」というタイトルの付いている第26番よりも第23番の方に惹かれた。
  3枚目のCDは、映画『みじかくも美しく燃え』の中で使われたピアノ協奏曲第21番の第2楽章を弾いていたアンダが、晩年(死の3年前)、第21番を再録音したものである。グルダの第21番と聴き比べてみたが、清廉という言葉がピッタリの演奏だった。これはこれで素晴らしい。

  夜、M-1グランプリを観た。去年優勝したブラックマヨネーズには驚いたが(彼らの漫才を観たのはそのときが初めてだったのでなおさらだった)、今年のチュートリアルにも、「爆笑オンエアバトル」等でお馴染みのグループであるにもかかわらず、本当に驚いた。『エンタの神様』などに出ている、その場しのぎの、くすぐり笑いとは根本的に違う、確かな話芸と緻密に練られたストーリー(構成)でグングン観客を引き込んでいく展開は見事というほかはない。フィニッシュの瞬間に、おもわず「ブラボー!」と喝采をあげたくなった(まるでクラシックの演奏会のように!)。いつの間に彼らはこんなに腕を上げたのだろう。不思議に思って、去年の大会の録画を見直してみたが(チュートリアルは去年も決勝を戦った)、徳井が福田にシュールに(偏執病的に)絡んでいく展開自体は去年と同じだったが、その絡み方がより一層おかしみをかもしだすようになっていた。「冷蔵庫を購入する」「自転車のチリンチリンを盗まれる」という日常的な出来事を素材にして、これだけ笑わせてくれるとは、いや、ほんと、驚いた。彼らの漫才を社会学の教材に使えそうな気がしてきた。

12月23日(土) 晴れ

2006-12-24 02:15:16 | Weblog
  年末最後の一週間は大掃除週間でもある。陽射しが暖かかったので、今日は1階と2階の窓ガラスと網戸の掃除をした。ここ数年、年末は風邪気味のことが多く、それを理由に窓関係は妻や息子に押しつけてきたのだが、今年は妻の方が風邪気味で、息子は大学受験で(今日も模試で出かけていた)、おまけに1階は母一人になってしまったので、どうしたって「私にやらせてください」と『プロジェクトX』の登場人物のようにすっくと立ち上がらざるを得ない。もともと私は掃除は嫌いではない。乱雑なものが秩序だっていく過程や、汚れていたものがきれいになっていく過程を目の当たりにするのは気持のよいものである。人生の喜びの一つと言っても過言ではない。おまけに、家族からは感謝され、ご近所の人たちからは「大久保さんのご主人(あるいは息子さん)えらいわねえ」と賞賛されるのである。まさに一石二鳥(三鳥か?)である。唯一のマイナスは疲れること。久しぶりの窓掃除で右腕がだるい。合宿に行っている間に学文社から『社会学年誌』の校正原稿が届いており、今日中に校正を済ませて投函するつもりでいたのだが、他の仕事とどもども明日に回されることになった。

12月22日(金) 曇り

2006-12-23 00:35:37 | Weblog
  2泊3日の鴨川セミナーハウスでの合宿(社会学演習ⅡB)から帰ってきた。「格差社会」を統一テーマとした7つの班のプレゼンテーションはそれぞれに創意工夫があり、興味深かった。もともと潜在能力のある学生たちなので、課題を説明すれば、あとは始動のきっかけとチームワークである。途中で、各班の進行状況を報告してもらったとき、どの班もスロースタートだったので、はっぱをかけた。私が指示を出したのはその1度だけである。その後は向こうから相談があったときにアドバイスをするだけでよかった。合宿のあれこれのことも幹事チームがしっかりやってくれたので、私としてはこれまでの演習の中で一番楽であった。まとまりのよいクラスであったが、会うは別れのはじめ、本日をもって解散である。来年、私は3年生の演習(調査実習)は担当しない。しかし君たちはどの演習クラスに所属することになってもちゃんとやっていけるはずである。

      
                   演習室風景

      
               演習室風景(別の角度から)

          
                寄せ書き(どうもありがとう)