8時半、起床。目玉焼きとご飯の朝食。ブログを更新し、10時半に家を出る。少し歩き出してからマフラーをしてくるのを忘れたことに気づく。引き返そうかと思ったが、時間がないので(11時半からの会議にぎりぎり間に合うかどうか)今日はマフラーなしで行くことにする。工学院キャンパスに木を植える作業は今日も続いている。その写真を撮っていたら、「先生!」と声をかけられる。歯科衛生士の武蔵村山さんである。12月末で退職した職場の鍵を返しに今日は来たのだという。もしマフラーを家に取りに帰っていたらここで彼女と再会することはなかったろう。当然のことながら、お腹はまた一段と大きくなっている。最近はお汁粉を家で作って毎日のように食べているそうだ。妊婦さんは体重が増えないようにしないといけないと聞いているが、大丈夫なのと尋ねたら、そうなんですよ、お医者さんからも叱られてしまいましたと言って、武蔵村山さんは笑った。
11時半から基本構想委員会。「たかはし」のお弁当を食べながら1時過ぎまでやる。次の会議まで1時間ほどあるので、「フェニックス」へ行って珈琲を飲む。会議から会議へ少しの空き時間もないままに渡り歩くことが多いので、こういうひと時があるとホッとする。忙中閑有りというやつである。持参した中村光夫編『私小説名作選』(集英社文庫)の中の尾崎一雄「虫のいろいろ」を読む。尾崎の代表作として有名だが実は未読で、今回初めて読んだ。タイトルは「ファーブル昆虫記」みたいだが、蜘蛛や蚤や蠅といった身近な虫たちの観察から人間の生死ということに考えが及んでいく、たとえていえば志賀直哉の「城崎にて」の庶民版といった趣がある。
2時半から主任会・教授会打合せ。その後、夕方まで細かい打合せをいくつかこなして、夕食を「maruharu」にとりにいく。野菜サンドと珈琲を注文し、生協で購入した小沼丹の短編集『銀色の鈴』(講談社文芸文庫)の中の表題作を読む。主人公の大寺さん(小沼の分身)が最初の妻を亡くしてから再婚するまでを描いた味わい深い作品。いい文章というのは、同語反復だが、本当にいい。
10時半、帰宅。サッカーのアジアカップ準決勝、日本対韓国戦を観始めたら、目が離せない展開になり、最後まで観る。1点リードの延長後半終了直前に失点してPK戦になるという悪い流れを断ち切って、よくぞ勝った。敗れた韓国の選手が日本の選手と互いの健闘をたたえあう姿はとてもよかった。