長野県中部一帯は、異例な高温に見舞われて昼間は活動を自粛したいところなのですが、そうもいっておられません。
画像は、味わい深い水(ボーフラがわきそうなやつね)をえらんで水分補給中のももちゃん。毛皮を着たまま35度をやり過ごすのにはそれなりのテクニックが必要なんだかんね、フントニモーと、このあいだ小一時間聞かされました(うそ)。
朝の仕事がひと段落、と思いきや、あっという間に午後。お昼寝をする間も無く(爆)、お客様ご到着というのが日課でございますが、来週はもう立秋。ううむ、待ちに待った秋(の気配)到来です。
ボクスターは無事に車検終了。というか、車検に先立って手を入れてしまったので、誠にアレですが、先日のリフレッシュ整備からはほぼひと月が経過。
距離にして900km弱をさまざまなパターンで使ううちにボトムエンドのトルクが目覚ましく引き上げられているのに気がつきました。
トクイチの整備は、施した直後ではなくて、このようにある程度距離と時間を経たのちに本当のところが見えて参ります。このあたりが、改造パーツを組み込んだ場合とは大きく異なる点です。
工場から出庫した段階では、解説を聞いて、ふうんそういうものか、よくわからないがまあすごそうだ(その程度かい)という程度だったのが、距離を経るに従って、クルマのフィールが徐々に落ち着いてきて、ある瞬間にハタと気がつく。
そっか〜こういうことだったのか。こりゃすげーわ、となってゆくわけです。
オメー、これだけ通いあげておいて、その程度しか理解できてないのかよ、と思われるでしょうが、日々接している自分のクルマのフィーリングの違いだなんて、そうそう体感できるものぢゃあございやせん。これでも劇的変化というものです。
というか、クルマが成長している実感が強く感じられるってのがそもそもすごいことです。前例や他の例はございません(きつぱり)。
クルマの運転には様々なシーンがありますから、そのシーンごとに色々な要素が顔を出すわけで、そういう中で徐々に、やっと理解してゆく、ってのが本当のところなわけっす。
またデンキを中心にした新しい整備は、常にヴァージョンをあげて施されておりますから、このすげーわ、は「トクイチのクルマ」に乗っている限り続く仕掛け。まるでアップルのOSみたい(爆)。
あっ、リンゴと違ってこっちは有料だったわっ(トクイチなだけにデンキが走る)!!
ところで車のミッションはクルマの印象を大きく左右いたします。
ポルシェのティプトロニックではアクセル開度が通常の範囲にある場合、2速発進をおこないますから、はっきり言ってトロい。もっさりしている(涙)。動き出しってのは特にクルマの印象に効く領域ですからして、これはツラいです。
MBのATも伝統的に2速発進ですけれど、トルクさえ出ていれば気にする必要はないですよ、というのが設計者の意図でしょう。
これが911でしたら、少なくとも3.6リットルはありますから、アイドリングトルクは十分(なはず)。2速発進をそれほど意識せずに、ススッ、と車が動き出します。
90年のカレラ2に載せられてデビウしたtiptronicのコントロール部分のお姿はこれ。右に切られたマニュアルモードがMTシフトの名残ですね。
ステアリングのスイッチでもシフトゲートでもどちらでも、ドライバーの選択というかお好みでどうぞ、ということらしい。
これが進化して
画像は、最終のMY2008のtiptronicのお姿。ポルシェでは2008年モデルがtiptronic搭載の最終ですけれど、シフトはステアリングスイッチのみでやっとくれよ、の図。初期型に比べますと、ものすごく簡素ですけれど、これこそが進化。
ギアはこっちでやっておくから、ステアとブレーキングに集中しなさい、とそういうことでしょうか。
おまけはコンセプトモデルのシフト。ううむ、MTですけれど、唸るしかない。
ぶっ飛んだデザインですが、未来的な中にどこかレトロな味わいも醸していて、秀逸。ボクスターレッドという内装色はいまだに選択可能でして、中古市場でもたまに見かける人気色っすね。
どう考えても使えないファンはご愛嬌かっ(爆)。
私の場合、VWアウディグループがいうところのDSG(Direct Shift Gearbox=ツインクラッチ)を搭載したアウディTTからの乗り換えでしたから、このポルシェ謹製のティプトロニックのお世話になるということわ、世代を遡ることになって特につらいわけですが、そこへ効いたのががトクイチの整備でした。
特にアイドリングトルクの増大は効いた。
今回のインダクションクリーニングや、バッテリー換装、タイアその他諸々の相乗効果だろうと思うのですが、発進時のススッ、が歴代最高です。
これ、入庫のたびに徐々に上がってきていたので、本当に嬉しい改善点でございます。
TIPについては、さまざまな評価があるようですけれど、考えてみますとTIP本来の姿ってのはあまり知られていないのではないか、という印象。
個人的にはアクセルオフした瞬間に5→4のシフトダウンが起きたり、ブレーキングGの使い方で好みのシフトダウンを呼び出せたり、シフトダウン時のロックアップ→ロックアップのダイレクトな感じがお気に入りです。
アクセルの踏み方で、シフトアップのタイミングを選べるのも○か。この辺りは、最初は全く見えていなかったことで、ある意味MTよりもコツがいる領域ではないでしょうか。
通り一遍の記事しか書けないセンセ方のチョーチン試乗記などではTIPの印象はトロくてかったるい印象だ、というものになりがちですが、こうしてコンディションが整い、使い方もわかって本質がみえてくると、やっぱりポルシェの作るAT(ZF製ですがなにか)だったんだ、とカンゲキする仕組み。
PDK(ツインクラッチ)搭載の981との比較はうらやましいだけで意味がありませんから、あまりしないことにしているのですが、987ボクスターの持ち味の一番は「気持ちよさ」だと思うので、ボトムからトップエンドまでトルクたっぷりのティプトロニックというのは「実現できれば」キモチ良さには効きます。
こうして、使えば使うほど調子が上がってゆく、ってのは本当にすごい、の一言。
当分大きな整備はいらないでしょう、ということですが、この気持ちよさはまさにお宝。いったいどこまでいくのでしょう。
画像の中に紛れ込んでいるのは、言わずと知れたボクスタープロトタイプ。
93年の発表でしたけれど、986の実車ではスリークな感じがなくなっているだのなんだの色々と文句言ってたくせに、ここへきて改めてプロトタイプを眺めてみると986はもちろん987にもミゴトにエッセンスが落とし込まれていて感心いたします。
個人的には、前後フェンダーのカーブや、ドア近辺の絞り込みからくるコークボトルシェイプは987が一番忠実に受け継いでいると思います。
おそらく、不評だった986のスタイリングをハンセーして、プロトをあらためて考察して取り入れたのが987のボディだったのではないか、というのが勝手な解釈。981はまたエッジが立ってしまっているので、プロトからは離れてしまいますが、まったくポルシェのモデルチェンジときたら味わい深いことですのう。
主にトランクとクラッシャブルゾーンの関係で、実車はプロトタイプに比べて肥大したと言われていますけれど、使えないプロトタイプよりも、こうして冬の鳴子温泉に湯治に行けちゃう(爆)実車の方がはるかにカッコ良いと思うのは贔屓目というものでしょうか(爆)。