画像は、ルイヴィトンのSac de Steam 。ルイヴィトンの最初のプロダクツといわれる伝説のバッグの復刻版。というか、創業時からここまで、連綿と作り続けている定番中の定番です。
1901年の発売ですから、およそ120年!ロングセラーなんてえもんぢゃねえ。
そもそもは洗濯物入れとしてデザインされたバッグ(爆)。なので、容量が大きく、カサのあるものに対しても柔軟に対応いたします。
ゆうに膝上くらいの丈がある大型バッグに柔軟性をたっぷり持たせたボディですから、厚手の毛布1枚くらいを丸々飲み込む容量を誇ります。
トランクでいえば、リモワ の中型。65Lくらいの収納力があります。
15年前にヤフオクに並んでいたのを、わざわざ、というか九州温泉行脚の折に出品者だった大分の質屋まで出向いて(よーやるわ)値切り交渉の末、手に入れた曰く付きの逸品。程度よし。
新品時の定価は39万円。それがほぼ3分の1の価格まで落ちてきていて、それでもキヨミズジャンプでしたけれど、たまらず買ってしまいますた。まあ、それくらいの価値があるだろうと思ったからです。ただの塩ビのバッグですがね(それをいっちゃあおしめえよ)
ルイヴィトンのイパーン的なイメージでゆくと、婦女子向けのハンドバッグブランドであると誤解されがちですが、こちらはレッキとした旅行向けラゲッジ専門店が出自。
バブルの頃には、そんなみんながぶら下げてるビニールのバッグ、恥ずかしくて持てねえし、と考えていたのですが、そんなのただのアサハカ。自分で所有してみて初めてわかる世界もございやした。
旅のスタイルは時代とともに移り変わっていて、それはいまも同じですけれど、そんな変遷をバッグを通してみてとることができるのです。
ファッションアイテムとしてではなく、「旅の道具」として捉えたときに光る、ルイヴィトンのいくつかの名作を仔細に観察するうちに、僕もなにかひとつくらいは持ってみよう、と考えたわけで、それがこのスティーマーさまなのでした。理解できないからといってバカにしていたのではダメで、自分で飛び込んでみた、というのが本
当のところ(アンタも好きねえ)。
数あるルイヴィトンのプロダクツの中でも旅の持ち物に特化した作品たちはその後もロングセラーとなっている、つまり名品が多く、興味深いです。
ただ、中小のバッグや小物に関してはミーハーなイメージはバブル以降、拭いがたいか(爆)。さらにモードに走り過ぎず、ちょっとオサレな感じにとどめておいて、普段使いに好適。
婦女子がちょいと頑張れば、次のボーナスで買えちゃうかも、と思わせる敷居の低さ、つまり巧妙な価格設定が奏功してニッポンをはじめ90年代末期からの中華の顧客予備軍に響いて、ブレークし続けてこられますた。
ショーンぜリゼの本店に30年前にギョー列して、店員に下等動物呼ばわりされながら買い物してたのは我々ニッポン人だったのですから、今現在並んでおられる中華を「爆買い」だなどといって嘲笑う事などできないはずです。
国内では20代前半から中年の主婦層全般にウケがよく、バブル期以降、長年のマニヤが多数存在しています。これもって新幹線に乗りますと、ものすごいBBA視線感じますもん。
あと、ご商売ですから、売れセンと言えるプロダクツのリファインやコラボレーションなども抜かりなくおこなっておられ、いまやフランスを代表するブランドとまでいわれるヤラシー存在と捉えるのは間違ってはいませんが、旅装具屋である、という捉え方ができれば全く違う印象でもって接することができます。
私はおそらく死ぬまで使うことでしょう(爆)。
久々に、そのスティーマーさまを引っ張り出してみたら、ご覧のようにベルト部分にヒビ多数っ!考えてみれば、年に多くても数回しか持ち出すチャンスがなく、あってもそれぞれ1泊がせいぜい。というのではムリもないか。実に去年の稼働は2回っきり。その程度では画像のヒビもトーゼンっす。
情けないが、仕方がない。
修復は不可能ですが、このまま放っておきますと裂けてしまいますから、そこは予防しなければなりません。ということで油脂の補給に禿げみます。
ルイヴィトンのバッグに使われているヌメ革は、色味が薄く、非常にデリケートなので、クリームの急速な浸透だけわ避けなければなりません。クリームの急速な浸透、というのはつまり塗った直後にシミになるやつ。
非常に恐ろしい事象で、ルイヴィトンオーナーはこいつを恐れるあまり、手入れそのものを怠ってしまうほどのインパクトを持ちます。
が、このヌメ革にしても、フツーの革には違いない。かりに放置すれば、私のバッグのようにひび割れて全損になるのわ変わりませんから、それなりのクリームを用意して対処すればよい。クリームの種類さえ間違えなければ、どうってことわございません。
靴用に買った、豚毛のブラシを用意して、おそるおそる塗布するのですが、なにこれは以前にも数回、挑戦しておりますので問題なし。このサフィールのデリケートナッパはこの世界ではワールドスタンダード。
おそらくルイヴィトンに顧客が油脂の補給を依頼した場合にも、外注業者の工房ではこれが使われるのではないか、と想像するのですが、それくらいの仕上がりレベルを誇ります。
解りますかね?しっとりとして、色が少し戻っている感じ。つい、やり過ぎそうになるのですが(爆)、ここは経験者。微量の塗布にとどめて様子を見ながら1ヶ月ほどかけて仕上げてまいります。
詳細後日(ヒマなのか)。