「さる道2012」に乗り込む前に、少々学んでおかねばなりません・・・ATのレキシというか開発の道程を資料がそろう限り読み漁ってみたのですが、これが面白いなんてえもんぢゃない。
ミッションの開発に携わっていた経験を持つ北海道のU教授から、断片的な知識だけは授かっていたのですが、お互いに忙しく、みっちり講義を受ける(爆)などという機会のないまま、世間話のなかで断片的に積み重ねて参りました。が、興味はあるものの、トルコンATに関してはそれこそ聞きかじりレベル。今回の勉強会に際しては書籍類(ザッシも含む)を捨てられない体質のおかげで(爆)、本棚や押入れから発掘された、これはと思われる関連図書が優に10冊を超えてしまいました。
古くは87年刊行の『あなたがやってる!間違いだらけのAT車テクニック/黒沢元治(!)』などというレア本から、ご存知ポールフレール著「BOXSTER STORY」ストーリー(なんと3500円!当然アマゾンマーケットプレイスで1000円ちょぼで購入)まで、参考図書にだけは困らない、というわけです。
というわけで何日もかかって各図書を紐解いてまいりますと、ボクスターに搭載のA87/01と呼ばれるティプトロニックギアボックスにはロックアップ時のスリップ制御なる高度なコンピューター制御が搭載されている、との記述発見・・・ロックアップはいまや常識といえるAT内部のメカニズムとして認知されていますが、その制御だなんてお話になるとなかなか・・・
以下ポールフレール著「Boxster Story」より抜粋
トルクコンバータによるトルク増大作用が得られなくなるまでエンジン回転が高まると、ロックアップクラッチがエンジンのフライホイールとギヤボックスのインプットシャフトを直接結合する。これにより、トルクコンバータのスリップによる伝達効率の低下を防ぐことができる。またロックアップが働くとスロットル操作に対する車の反応がより機敏となり、MTに近い感覚になる・・・
とまあ、これがロックアップの概要。以下、更に抜粋
しかし、トルコンをバイパスするとクランクシャフトのトルク変動(レシプロエンジンには付き物で、特に低回転時に顕著)を緩衝する作用が得られず振動や騒音の軽減の点で不利になる。そこでロックアップ機構はクラッチを単に解除・結合するだけでなく、必要に応じてわずかにスリップさせることで、伝達損失を最小限にとどめながらクラッチの解除から結合への滑らかな移行と、振動や騒音の軽減を図っている(いわゆるスリップ制御)。
抜粋ここまで
・・・どひゃ~、これこれ。このあとに各ギアでの解除と結合、さらにスリップ制御がなされる速度域が詳細に記述されているでわありませんか!
いかおまけ(爆)
1速:ロックアップなし
2速:~24kmh:解除 29~35kmh:スリップ制御 35kmh~:結合
3速:~24kmh:解除 29~48kmh:スリップ制御 48kmh~:結合
4速:~35kmh:解除 37~48kmh:スリップ制御 48kmh~:結合
5速:~43kmh:解除 48~58kmh:スリップ制御 58kmh~:結合
ううむ、じつにこれがTIP-Sの発進直後のマナーに関連する制御だったわけです。快適な低速フィールと引き換えにダイレクト感にいまひとつ欠ける、というわけですが、こうしてロックアップクラッチの苦労(爆)を知ってみれば、これもまた納得できるというものです。『いまとなっては旧型のトルコンだから』といって片付けるのは簡単ですが、それはなにも知らないのと同じ。こんごはロックアップクラッチに感謝しつつDレンジに身をゆだねるといたしましょう(そうくるか)。