トムフォードのTF5116は、オサレなウエリントンめがね。画像のような、小ぶりでクラシックな基本の造形にモダンなディテールを配したトラッドなタイプです。数年前に廃盤となってしまい、直接の後継モデルも発表されていないので、買いたくとも買えない、非常に惜しいモデルです。
トムフォードはトラッドを重んじるタイプのデザイナーではありませんから、過去の遺物、として葬り去られてしまったモデル、というわけですが、個人的にはアクが強く、誰にでも似合うわけではないあたりが特にお気に入り。
気がつけば購入からはほぼ10年ほどが経過してしまいました。
え?そんなに難易度が高い眼鏡が、アンタに似合うのかい、って?
トムフォードというよりも、役所の戸籍係かい、と言われておりますがなにか(爆涙)。
コホン、気を取り直して、この5116では、ブラックのモデルにのみ、画像のようなハデーなゴールドの鼈甲調の裏地が貼られているのですが、ある日お手入れをしていたら、肝心の部分がミゴトに割れてしまいました(涙)。ううむ、一番脆い部分だとはいえ、考えられない品質です。
経年劣化で、柔軟性が無くなっていたのか。さすがイタリア製だけあるわ~、と感心していたのですが、かなりなお気に入りなだけになんとかしたい。ここまで、数十本は買いまくってきたなかでもこいつはシリーズの全色を買い漁ったほどのお気に入りだったのです。もちろんすべて使用中です。
というわけで、近所の眼鏡屋へ、とも思ったのですが、たぶん眼鏡屋も外注に出すのがわかっているので、盲目的にマージン払うのよりは、自分で納得した先に、とかんがえて、ネットで検索しますと、それこそ無数に眼鏡修理屋さんがあるではありませんか。
修理屋、とくに眼鏡のそれにはお世話になったことがいちどもないので、どんなものかな、と思って、画像を添付して問い合わせてみますと、ごく簡単に復元できる、というので、産地として有名な福井県鯖江にある工房にお任せすること一週間。
ロウ付け、とポリッシュで画像のようによみがえりますた。費用、4500円プラス送料。
じつはヒビが入ったまま使っても、特段の支障はなかったのですが、気分的にアレでしたので、完全復元を目指しました。現行で生産されていれば買い換えるところですが、それができない、というのが旧モデルの悲しさですが、愛着がある一本なだけに大切に使って行くつもりです。
なんといっても、この「裏地に凝る」を地でいっているあたりがお気に入り。ストイックなブラックのウェリントンにみせておいて、じつはエナメル調の鏡面仕上げ。そこへピンクゴールドのTを象ったエンブレムに、裏面のド派手ゴールド系鼈甲仕上げ、と。いかにもトムフォードらしいではありませんか。
修理なって送り返されてきた5116は、それなりにポリッシュしてあったのですが、私レベルですと、完全鏡面でないと満足できない(ヘンタイ)わけで、ポリッシュには住友のハード2を動員。「本物の」鏡面仕上げを施して差し上げたのは言うまでもございません。4500円は、購入価格の10分の1。まずはお安い復元費用だと言えるでしょう。