さあて、ロンドン上陸の2日後、今度はユーロスターに乗り込んで、いよいよハナのおパリ突入でございます。決してロンドン滞在が単調であるとか、飽きた、とかそういうことでわなく、ひとり旅にメリハリをつけるため。甚だ贅沢ではございますが、まったくこれ以上の目的地がありましょうかっ!
早割の運賃からゆくと、ちょうど東京と長野の往復程度の運賃でパリとの往復ができてしまうのはまったく夢のよう。ジェイソンボーンみたく、思いつきで乗ると(爆)、片道3〜4万円にもなるというコワイ路線でもありますw
ロンドンのホテルは連泊で抑えると大幅な割引が引き出せますから(今回は6泊で20%引き)、そのままにして、パリは日帰りといたしました。ロンドンの部屋は一晩留守にして、パリのオサレなところへ、というのもまたいいんですけれど、まあひとり旅ですしねえ〜。
Parisでのユーロスターの発着は Gare du Nord 。いわゆる北駅というやつです。つまりセーヌ右岸。作戦としては、去年同様一気にセーヌ川左岸(=サンジェルマン)に渡って、美食三昧ののち北駅にむけて買い物しながら、駅に帰着(って、それだけかよっ)というごくシンプルなものっす。
ルーブルをはじめとするミュゼめぐり(ロンドンと違って、パリのそれは有料だというのもあって=中華、当たり前ですけどね)やその他観光は例によって一切なし(爆)。割り切り、というか興味あることだけしかしない、というわけです。だって年1のお休みですもん。
左岸のサンジェルマン界隈には、それこそ宝石を散りばめたようなスイーツとファッション関連の名店がひしめいています。ブランドの旗艦店というのではなく、パリらしい小さいけれども、シャレたヤツ。ですからたとえばLVのお店でもこじんまりとして、小洒落ているのです。この界隈は靴と甘味好きにはまさに天国。
去年はこれら名店がぜーんぶまとまって、右岸のギャラリーラファイエット(パリのイセタン)というデパートに集合しているところに突入して、15分で買い物を終えてしまったわけですが、そんなの、じつはトーキョーでもできちゃう。今回はサンジェルマンのそこらじゅうに散らばっている店をいちいち訪ねたついでにお散歩し
ゃおうというわけっす。デタラメに近いフラ語も使いまくりで、それなりに(寛容に)きいてもらえたのは嬉しかったっす!
Gare du Nordからメトロの4でOdeon下車。目の前がサンジェルマン通りですが、どちらかというと裏通りの方が高密度なのがこのエリア。
パリの路地は非常に複雑で、直角交差がまずない。角に向かって、多いところでは6本から8本もの通りが合流しているのが普通で、そのそれぞれに名前がついているのです。ちょっとした裏路地でも斜めに交差していて、そこを通り越した瞬間に違う名前の通りに化けている、なんてのが当たり前ですから困ります。
ですからこんな時にはまずi phoneとGoogle Mapナビなわけですが、そこは私(爆)。個人的にはそんなデバイス頼みで街歩きするのなんて大嫌い。予備知識なしに乗り込んできたみたいで、カッコ悪いぢゃないですか!
というわけでひと月も前から、ストリートビューでルートをたどって、暗唱しておりますから無敵(そんなことして楽しいのかい)!
案の定、すれ違うツーリストさんたちは「全員」口半開きにして、スマホとにらめっこしながら看板に激突したりしてますぜ(爆)。フン、ザマミロ。そんなものがないと歩けないかい、とね(どっちもどっちだな)。
Pierre Herme のイスパハンと呼ばれる名作。これは中サイズのマカロンですけれど、ライチーとバラの風味を組み合わせたゲージツ作品です。苦労してロンドンに持ち帰って、買ったその日の晩に食べてみましたけれど、そりゃあうまい。バラの香りがまず口中に広がったのちに、ライチーというかライチー風味のリキュールを効かせ
たクリームがやってきて、赤ワインピタピタ。数年前にホテルニューオータニのガーデンラウンジ向かいにあるサツキというカフェレストランで1700円で売られているのをみて腰を抜かしましたが、パリでは900円程度です。観光値段なのには違いありませんけれど、今やエルメもブランド。許容範囲っす。
赤ワインもマドレーヌのLAVINIAというヨーロッパいちの品揃えであると豪語する店ですすめてもらったメドックの有名どころ。熟成を終えたメドックをお願いします、といって店員さんにお願いしたら、ちょっとダンナ、熟れたメドックならこの店に9000本以上ありますぜ、と言われてしまいますた(爆)。
あっ、これわ申し訳ない。というので、CP重視で選びたいんですけど(pas trop cher)といって、お願いしましたら、出るわ出るわ(狂喜乱舞)。候補が13くらい並んでしまうのがこの店です。
選び出したのはMoulisのこれ。お値段は2500円前後でしたけれど、ものすごいCPっす。このお店では、同じ銘柄でもヴィンテージごとの熟成度合いで値段が違えてあって、レベルが違うなと思いました。
これがエルメのマカロンの通常サイズ。一個400円弱の超高級マカロンですけど、それぞれに趣向が凝らしてあって、納得のお値段、というかむしろ安く感じます。お菓子という名のゲージツですな。
左から2番目がやはりイスパハン。エルメさんは、数年前からブレークしていて、今やANAの機内食にも登場したりするパティシエの王様のような青年(というかおじさん)ですけれど、マドレーヌのフォション出身なのだそうで。うまいことニッポンの商社にひっかかって、世界リリースののちブレーク。日本人がパリ好きだったのも
手伝ったか。今後は、ルイヴィトンに押し寄せておられる中華系に売り込んでゆくのでしょうねえ〜。エルメの月餅とか出るんぢゃね(爆)。
さらに
すでに撤退してしまった銀座のPrintemps(ポントン 爆)にもはいっていたアンジェリーナのモンブラン。銀座では2サイズあって、小さい方がたしか400円くらいで売られていましたね。
これはソフトボール大で巨大なのですが、中に詰まっている生クリームが別物で、一人でペロリ。普段、甘いものなど食べつけないこの私がですよ。800円。エルメのサンジェルマン店はごった返していました(といっても4組程度)けれど、店員も6名程度はいるので無問題。大小様々なゲージツ作品が並んでおりました。
これもまたイスパハン。ただしクロワッサンです。中にクリームが少量注入されていますが、それよりもエルメのクロワッサンというあたりがブランド好きには響く。たしか、エルメのフツーのクロワッサンはクロワッサンのコンクールで世界一になっているはず。やはりニューオータニで食えます。禅、というクラブフロアの朝食に
供されているので、1泊朝食付きで40000円ですが、ぜひW
バターが別物で、これまたスルリといきます。近所のスーパーで買ってきたKrispy Kremeの砂糖グレーズになまらされた舌がシャキッといたします(爆)。
地下鉄を降りてからエルメの店まではほんの10分ですが、僕は色々と見学しながらでしたので、小一時間かかりますた。お店によっては靴やスーツを褒めてもらったりして、結構キブン良かったっす(社交辞令ですけどね)。ここから靴屋通りとも呼ばれるRue Grennelleに進みますと
ユニクロとのコラボに走った(爆)
こちらにはイネス御本尊もいることが多いらしいです。
Aubercyのお店も靴屋通りからはすぐ。大門未知子さまご愛用のクリスチャンルブタンなどもあって、本当に賑やか、というか華やか。かといって歩く人はまばらです。みんなショーファードリブンの黒塗りのドイツ車で乗りつけているんっすよ(脱力)。エスと8、あとわタクシー限定ですね。
そして
おめあてのJohn Lobb Paris St.Germainっ!おおっ、看板がアップデートされていますぜっ!
店内もこの通り
そっけないままです(爆)。去年イエローだった部分がグレーに張り替えられていますね。でもなんだかフツー。
コレクションもどこといって変わったところはなく、昨日ロンドン店に寄ったばかりなので、これといって目新しい話題もございませんが、やはりテンチョーとの話は楽しいっす。靴を取りに来るためだけにパリに来たのかよ(あんたアホか)、といってぶったまげられました。
歓談ののち、Jodhpur1の注文を振ってみたのですが、あえなく撃沈。ううむ、やはりマボロシなのでしょうか?それにしてもplumのjodhpurってかっこよすぎ!ミュージアムカーフのまだら加減は一足づつ違うので、本当に味わい深い。1の一枚革はやはりリッチな印象。
待つことしばしで、ようやく登場でございますっ(ここファンファーレ)!
ガーン!John Lobb 2010 Deep Blue Misty Calfご降臨。このような光線下ではほぼブラックに見えていますね。
Dワイズ7000番の造形が際立ちます。端的にいってかなり細身な印象。すべてが一枚の皮で作られております。磨いてないのに、すでにこのツヤっすよっ!
ミスティカーフの質感も際立っていて、やはりこのモデルはブラック系でないと、という判断が正しかったと思う瞬間です。ううむ、シューツリーつきなので、持って帰るの重そう(そこかよ)。定番のミュージアムよりも一格上のツヤを誇ります。
detaxeの書類によれば、購入価格のちょうど10%程度が返金されるようで、実質日本国内の正規店でCity2を買うよりも安く入手できたことになります。
じつはこのJL2010。歴代イヤーモデルの中でも比較的高価なモデルでした。一枚革を超絶技巧でもって、どうにかこうにか一足の靴にまとめあげていますけれど、皮の選定から始まって、これを仕上げられる職人も限られているはず。日本国内正規販売店、店頭小売価格24万円の一足でございますが(脱力)そこからは9万円前後
安く買えたことになりました。というわけで、今回のロンパリの滞在費はすべてチャラ。あ、これは得したとか損したとかそういうお話ではございません。おもひではプライスレス、っとな。為念。
パリで買った靴でも、物品税の払い戻しはヒースローでOKです。イギリスがEUを離脱するまでの期限つきですがね。
さて、JL2010のあまりの仕上がりぶりにコーフンしてしまい、次の一足など頭に浮かばないところではございますが(本当かよ)、一応Hastingについて伺ってみました。
ああ、あれね〜、といってテンチョーはいろいろ語ってくだるのですが、プレステージでゆくとLuffieldあたりが同程度の洒落っ気を持っているけど、アナタ持ってるもんねーと仰るではありませんかっ?
まったく驚きました。アポどりした上で乗り込んだので、私の過去の履歴をきっと調べておいてくださったのだと思うのですが、それにしてもカンドー。
こんなところからもジョンロブ、ひいてはエルメスの姿勢を感じることができます!ロンドン店も少し見習って欲しいものなり(爆)。ちなみにテンチョーのアドレスは@hermesです。
Hastingはこちらでもi pad pro(店頭に導入されています)の画面上でしかやはり拝めませんですた。
このように、一部にリボンを使ってあったりするのがたまらないところです。Garnier2 などとも共通する意匠ですね。
ちなみにこの日のテンチョーの足元はJL2004(!)。
ソールを5回ほども張り替えてしまったので、原型からはずいぶん形が変わってしまいましたよ、と笑っておられましたが、すばらしい!!それとカッコよかった〜。履き込んだイヤーモデルとバリバリのフレンチトラッド。靴買うならこの店とこのテンチョーからだなっ、と改めて確信したことでございましたとさ(ビョーキだし)。
バイリクエストの折にはかならずお知らせしますよ、という店長に見送られて、固い握手のうえお店をあとにいたしますた。
ちなみに新たにコーポレートカラーとなったバーガンディのボックスは、相変わらずモデル名もなにも記載されていないただのハコ。必要ないので靴のみを引き取って、戻ってきたのはいうまでもございません。
いやあ、本当によかった!ものすごい仕上がりっす。端的にいってサイズが大きくなって、幅が細くなった(6.5E→7.0D)のですからスマートに見えるのはトーゼンとして、そのあたりがこの2010のデザインとミスティのまだら模様ありの革質で際立っているのが理解できます。
画像ではわかりませんが、昼光下ではやはり沈んだブルーです。ネイビーではなくブルーである、というのがワザ。なんかすごいわ、これ(自己満ご容赦)。どうしてJLがこれをネイビーと呼ばないのか、履いているものだけが理解できる仕組み。
さあて、思い切り荷物も増えて来たことだし、というわけでコーフン冷めやらぬまま、念願のブラッスリーに突入です。と、その前にこちら
そう、ユーメーなカバン屋さんでございますね。ただしポリエチレン製(爆)。がやはりそこはパリのブランド。色のバリエーションなんて、迷い始めたら決定に1日かかるほどの在庫量を誇りますから厄介。ピエールエルメの店を出て、右に進み、通りを渡った向こう側にあります。ほんの20mのところです。
幸い
最新コレクションの中にこのような大型トートがありましたので、買い込んでみました。パツキンの北欧系マダムのアドバイスで渋目の色合いを選び出しますた。来期にはない色目であるよし。
マチが大きく、私でしたら、今回の旅にこれひとつでも、というくらいな大容量っす。幅70cm超。え?なに100均で売ってるエコバッグみたいだって、ギャハハ〜。それをいっちゃあおしまいよっ(トラさん調)。
ここまで買ったチョコやらマカロン、靴などもすべて放り込んだ上にワイン2、3本を収納してもゼンゼン楽勝っす。
ちなみに今回の旅にもおなじみのリモワパイロットケースひとつで参りましたが、
このエルベのようなバッグは畳んでしまえるので、今回のように一時的に荷物が増えても、相変わらずバッグ1個で旅が続けられるというのは大きなメリットっす。ちなみにご愛用のリモワは今回またしても空港で大ダメージを食らって、ベコベコ(涙)。それでもだんだんかっこよくなってきました。入手からは15年経過。
さて、いよいよ
典型的なやつですよ〜。んが、どうってことわございません。入店すると、「コニチワー」とか言われて、かっくん、しそうになりそうになりますけれど(爆)ひたすらフラ語で頑張りますと、顔をしかめながらも付き合ってくださいます。そのうちに、こいつやる気だな、話したいんだな、というふうにわかってくれます。フラ語上達
のコツです(うそ)。
この日は
上はネット上からの画像ですが、タルタルのタルティーヌにしてみますた。ちょいと喉が渇いていたので、プロヴァンスのロゼをカラフェでもらって、極楽でございます。
ついさっき引き取ってきたJL2010を、ガマンできずに(爆)こっそり取り出して悦に入っておりましたら、スーツ着たテンチョーがおおっ、シブいの買ったね、というので、そこのジョンロブさ!
といったら、アンタビョーキかっと言われました。ふうん、そういう扱いなのね(爆)。ていうか、あんた知ってるんだ!握手してヨロコビを分かち合いたいところですが(爆)、満員の店内ですから、それもメーワクでしょうから、たしかにビョーキだがそれがどうしたい、と答えておきますた。
このタルティーヌに、ロゼのカラフェでざっと5000円。安くはないが、ここはパリのブラッスリーだもんね。こんなもんだ。
さて、いよいよ右岸。
メトロの12ですぐのマドレーヌ下車。ほんの30mのところにフォションの総本山がそびえておられます。入り口に「みやげ」と書かれていて、吹き出しそうになりますた(苦笑)。熱海かよ、とw
超有名なトリュフ専門店。3290ユーロ/kgのトリュフでも、とは微塵も考えずに、素通りいたしましたが、去年ラファイエットで買って食べたトリュフのタルティーヌはもういっぺん逝ってみたいところなり。
トリュフの乗った、ただのトースト一枚が今のレートでも4000円くらいはいっちゃうけどね。
この界隈には
すぐ上がココシャネルの自宅だというシャネル本店(総本山)。
で、サントノーレに出た途端に、
うへえ、スゲー。1930〜40年代の動態もいいところっすよ!フィルムノワールかいっ?それにしてもこのボディの美しさときたら。しまいこんでいない感じが秀逸。
あと、この界隈だと、それこそ玉石混交ですから、ク◉トヨタかなんかがゴンッとぶつかってくるんだよなあ〜(完全他人事)。レクサスのでかいやつなんかが並んでいたところで、こんなヘリテージの前ではただの鉄箱です。はっきりいって年季と品格が足りない。ヒョンデあたりにバンパーをガツガツやられるのがオチです。
この界隈では、すべてのブランドが旗艦店ばかり。
つまり、トムフォードの店があれば、トムフォードがそこにいるし、ベルルッティがあれば、マダムオルガベルルッティがそこにいる。シャネルでもココ様は死んぢゃったから最高経営責任者がいるし、サンローランの店もそう、そういう重みというものがあります。当たり前ですけどね。
今年は頑張って、ヴァンドームのシャルべにも寄って、
ネイビーのシルクニットタイを買いました。まあ、記念ですな(爆)。ロンドンのAnderson & Shepherd やDrake'sでもネイビーニットタイを検分してみたのですが、シャルべ様の色目の方が好みだったので買ってみますた。明るめの今年からの色合いだそうな。16000円。
ワイングラスの背後は、Gare du Nord Paris。1913発のLondon St.Pancras行きのユーロスター発車まであと50分。駅前のカフェ、Terminus Nordの路面席に座って、楽しかったパリに乾杯というわけでございます。ううむ、最高ぉ〜!!!
これから戻る先はロンドン。時差で1時間取り返して、午後8時過ぎの到着ですから、ホテルでシャワーの後、グルメバーガーにでも繰り出してやるか(またか)と考えながら、さっきまでのパリを振り返るだなんて、もうアータ(人間ダメになってますね〜)。
というわけで、長々と綴ってまいりましたロンパリ2018はこれにておしまい。
土台のところはさすがにヨーロッパ、両都市共に変わりませんが、IT方面での変化は凄まじく、スマホを持たされた個人のマナーの凋落ぶりはどこまでも落ちてゆきます。そのうちに極東の島国のように列車ホームからの転落が相次いで、ホームドア需要が伸びてくると見た(まじ)。
今後も加齢なる遠足ではしつこく出かけてこの辺りも含めて見聞したいものでございます。
加齢なる遠足は、このあと豪雪の新潟に出向いて雪国の真冬を味わう計画。それまで実務に邁進するといたしましょう!
画像は、ももちゃん近影。おみやげに差し上げた、英国産キャットフードの濃厚さがクセになったようで、あれはもうないのかい、といってせっつかれる毎日(爆)。