温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

花野温泉 たぬき湯

2012年08月29日 | 鹿児島県
 
鹿児島市内の千年団地から花野方面へ向かう途中に架かる千年橋近くの大規模な温泉スーパー銭湯「たぬき湯」を利用してきました。当初は前回取り上げた「大黒温泉」を出た後に中央駅方面へ戻るつもりでしたが、花野口バス停でバスを待っている時、目の前に「たぬき湯」の看板を発見し、携帯で調べてみたらどうやらこのバス停から徒歩10分程度で辿りつけそうだったので、どんなところか行ってみることにしたのです。
建物の前の駐車場には、平日のお昼時だというのにたくさんの車が停められており、早い時間から既に多くのお客さんで賑わっていることが窺えます。玄関前には八百屋やお花屋さんなどの露店が並んでいました。


 
玄関に入ると、両側には「願かけ龍」と称する龍の絵や不動明王の仏像など、宗教めいたものが祀られています。この施設って何かの宗教関係なんですか?



下足場から上がってすぐの正面にある券売機で料金を支払います。3台も設置されているので、てっきり食堂の食券販売も兼ねているのかと思いきや、3台とも入浴関係だけなんですね(子供料金や各種割引、入浴道具の販売などもこのベンダーで扱うためにたくさんのボタンを使うようです)。


 
スーパー銭湯らしく、ちゃんと食堂が完備されています。またフロント前にはいろんな食品類や入浴道具関係が売られていました。このフロントの左側が女湯、右側が男湯の入口です。


 
鰻の寝床のように奥へ長い板の間の脱衣所。この日はとても暑かったため、床置形のエアコンも柱に取り付けられた扇風機もフル稼働でした。室内には大きなカゴがたくさん積まれている他、ロッカーも多く用意されていますが、いずれも有料(100円)であり、また故障中も箇所が多かったのがちょっと残念なところ。ドライヤーは洗面台に2台ありますが、こちらもやはり有料(20円)です。



浴室はとっても広くて開放的です。大きな浴室の手前側、右側、そして奥という三方に洗い場のカランがズラリとならんでおり、浴室入口すぐのところには掛け湯枡が設置され、中央から左側の窓付近にかけて、プールのような主浴槽が据えられています。主浴槽の一部ではジェットバスや電気風呂などの装置が運転されています。更には主浴槽の奥には水風呂が付随していました。また、主浴槽と浴室左側の窓の間は寝転びゾーンとなっており、枕の代わりにウレタン板やビート板を持参したお客さんがトドと化していました。


 
洗い場には押しバネ式のカランと固定式シャワーの組み合わせが計27組設置されています。館内表示によればカランもシャワーも源泉100%なんだそうでして、洗い場の各ブースにも朱色の地に白字で源泉と書かれたプレートが自慢げに掲示されていました。



主浴槽には石のタヌキが置かれたモニュメントのような湯口が設けられており、量がやや少ない旧源泉と、大量に供給されている新源泉の二つのお湯が浴槽へ向かって注がれていました。両方のお湯の知覚を比べてみましたが、違いはあまりわからず、双方とも無色澄明で微かに重層的なほろ苦さこそ有するもののほぼ無味無臭でした。更にはもうひとつ塩ビのパイプからかなり熱いお湯も出ていましたが、これが新旧どちらの源泉なのかは不明です。館内表示によれば掛け流しの湯使いを実施しているらしく、私の実感でもその表示に偽りはないようでした。



露天ゾーンに出ると、まず目に入ってくるのが室内の打たせ湯です。勢いの違いで強弱が1本ずつあるそうですが、元々この打たせ湯室にはサウナがあったようです。


 
こちらは水風呂とお湯の露天浴槽。打たせ湯側(この画像ですと奥側)が水風呂で、その隣(同じく手前側)が温泉槽です。また、これとは別に一段高くなったところにも水風呂が設けられており、あまりに立派な造りなので、てっきりこれが露天の主浴槽なのかと勘違いしてしまいました。この立派な水風呂槽の冷水供給口には氷のような透明なオブジェが置かれており、ビジュアル面でも冷たさを演出していました。なおこの水風呂に隣接して、こちらの施設ご自慢の洞窟サウナがあります。


 
室内・露天を問わず、この施設で目につくのが温泉や水に関する説明文の数々です。
まず温泉の泉質についてですが、上画像のように大きく「明礬系の弱アルカリ泉」と表示しています。また浴室内やホームページなどではお湯の色を「エメラルドグリーンのきれいな色」と表現しています。でも泉質は明らかに単純泉でして、分析表を見ても明礬に該当するような物質はあまり見当たりませんし、色に関してもエメラルドグリーンなのはタイルの色に影響されているからであり、お湯自体は思いっきり無色透明です。

また別の説明プレートではこんな文言が…
「この地は大変波動(気)のよい場所(中略)思って願って行動にうつして下さい(中略)脳がその様な働きを始めます(中略)すべてなるんだの信念で強く念じて行動して下さい。すべてがきっと良い結果をもたらずはずです。化学(ママ)的にもこの事は証明されております」
信じて行動すれば必ず実現することは、科学的にも証明されているですって? マジですか? 玄関の両側の置物と言い、この文言と言い、この温泉施設からは私が苦手なスピリチュアル系の臭いがプンプンします。


 
ついでですから、もうちょっと突っ込んでいきましょう。温泉水と地下水の違いについては、温泉療法士の肩書や名前とともに、このように説明されています…
「採れる深さにあります。地下水は深さ20~30m、温泉水は深さ約1,000mから採ります(以下略)」
ええっ! 温泉水と地下水の違いって、単に深さの問題だったんですか…。いやはや知りませんでした(棒読み)。ま、たしかにこの温泉ではそのような相違点があるのでしょうけど、ちょっと書き方が曖昧ですね。

また水風呂で使われている水に関しては…
「たぬき湯の水は古代の岩しらす、樹木の堆積によって自然のろ過が充分にできた素晴らしいミネラルウォーターです。公的検査でも何一つ不純物がない水、まさに神からの恵みです」
と、ここでも水を擬人化させるとともに神仏を崇めるかのような表現が登場しているのですが、それはともかく、ここの水風呂は本当に気持ち良いのです! お風呂と同様、水風呂の水も、水道と天然水や地下水では、入ったときの感覚が全然違うわけですが、こちらの地下水は冗談抜きにして本当に質が良いため、爽快感が半端じゃありません。この日はとても暑かったので、温泉槽よりも水風呂に入っていた時間の方が長かったような気がします。正直なところ、温泉はあまり特徴のなく捉えどころのない浴感ですし、浴室もいろんな設備こそあるものの温泉らしい風情はあまり感じられせんが、水風呂はピカイチでして、これに入るだけでも十分に訪問価値があるかと思います。


 
この温泉はアクセス面にも恵まれており、「千年橋」バス停から徒歩1~2分という好立地です。しかもここを通るバスの本数もそれなりにあり、天文館や中央駅から乗り換えなしでアクセスできちゃいます。


甲突川左岸84号及び甲突川102号の混合泉
単純温泉 51.5℃ pH8.2 溶存物質0.805mg/kg 成分総計0.805mg/kg
Na+:216.3mg(95.92mval%),
Cl-:36.5mg(11.00mval%), HCO3-:471.3mg(82.48mval%),
H2SiO3:46.3mg,

天文館や鹿児島中央駅などから、いわさきバス「千年橋」バス停下車、徒歩1~2分
鹿児島県鹿児島市伊敷町4467  地図
099-229-2607
ホームページ

6:00~24:00(受付23:00まで)
360円
ロッカー有料(100円)、ドライヤー有料(20円)、シャンプー類の備付なし(販売あり)

私の好み:★★
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする