温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

白布温泉 西屋旅館

2012年08月01日 | 山形県
 
白布温泉の老舗旅館「西屋旅館」で立ち寄り入浴してきました。小野川温泉の宿泊客限定に販売される「夢ぐり手形」はこの白布でも利用することができるので、その手形で入浴させていただきました。同じ白布でも東屋は和風モダンといった趣ですが、こちらは実にトラディショナルな外観であり、母屋の茅葺屋根はとっても風情があります。


 
シックで重厚感のある玄関。訪問時、土間には水が打たれていました。入浴を乞うと快く受け入れてくださいました。玄関の細いスリットの間を土足のままで抜けて中庭へと向かいます。


 
母屋を抜けると、そこにはこれまた古風な造りの浴室棟が建っていました。中庭には小川が流れていますが、これはお風呂から溢れ出たお湯が流れをつくっているものなんですね。


 
宿泊客は宿泊棟または母屋から廊下を歩いて浴室棟へと向かうわけですが、その廊下の下を、浴室から溢れ出た大量のお湯が流れてゆき、上述のように庭を流れる小川へ姿を変えてゆくのであります。浴室へ入る直前にこんなものを見せられると、否が応でもお湯へ期待を膨らんでしまいますね。とても素敵な演出です。



廊下の片隅には木を細く削った花が飾られていました。


 
総木造の脱衣室。室内には「あつめの温泉です。なんども掛湯して入浴して下さい」と書かれた札が立てかけられています。なるほど、熱いのか。


 
お風呂は男女別の内湯が一室ずつ。上モノは総木造であり、白木の美しい壁、そして歴史の重みが伝わってくる立派な梁や柱には思わず見とれてしまいました。建物の上方は窓も仕切りもないため、山から吹き降りてくる風が入ってきて、半分露天風呂のような環境でした。


 
湯船や床にはいかにも職人が鑿で切り出したような瀝青色の石材が敷き詰められており、総木造の上屋と相まって非常に落ち着きのある重厚感が醸し出されていました。
仕切りの向こうで落とされる打たせ湯からは大量の源泉が供給され、それらのお湯は恰も洪水のように石造りの浴槽や床を覆い尽くして表面を洗い…



そのお湯が溢れ外へと流れてゆきます。浴室と廊下を仕切る格子戸が実に秀麗です。


 
白布と言えば打たせ湯ですね。3本あるうち、一番手前は加水されていて浴びやすい湯加減ですが、他2本はかなり熱め(脱衣所内にも説明あり)。お湯は無色透明、硫黄の味と匂い、そして石膏の味と匂いがそれぞれはっきりと感じられ、打たせ湯の樋や後述の上がり湯枡には石膏の析出が現れています。湯中には白布らしい純白の湯の華が舞い、湯船の底にもたくさんの湯の華が沈澱しています。圧倒的な湯量の中に身を沈め、歴史あるお湯を思う存分堪能させていただきました。東屋のような露天風呂こそありませんが、むしろこの湯屋の中で湯あみした方が昔ながらの温泉風情に包まれて落ち着けます。



打たせ湯の隣には掛け湯用の小さな枡もあるのですが、ここに注がれるお湯はかなり熱め。なお室内にカランはなく、洗い場自体もかなり狭い造りになっています。昔ながらのお風呂のスタイルです。



湯上りに、焼失した中屋(西屋と東屋の間)の裏手へ行ってみました。上屋は完全に烏有に帰してしまいましたが、土台とともにお風呂の跡が残っており、雨水が溜まった湯舟ではカエルがケロケロ鳴いていました。更にその先の崖へと視線を移すと…


 
源泉がふんだんに湧出しており、コンクリで固められた山肌の上を大量のお湯が湯気を立てながら流れ落ちていました。逆さにしたペットボトルが並んでいますが、これってお湯を均等に分配するためのもの?


白布1・2・3号
カルシウム-硫酸塩温泉 56.8℃ pH7.8 蒸発残留物1262mg/kg 溶存物質1244mg/kg
Na+:52.3mg, Ca++:287.1mg,
SO4-:692.1mg, HCO3-:89.1mg, HS-:0.8mg,
H2SiO3:106.0mg, 遊離H2S:0.1mg,
常時山水を加水、循環濾過消毒なし


JR米坂線より山交バス・白布天元台(白布温泉)行で白布湯元バス停下車。
山形県米沢市大字関町1527
0238-55-2480
ホームページ

立ち寄り入浴時間12:00~15:30
500円
シャンプー類・ドライヤーあり、貴重品帳場預かり

私の好み:★★★
コメント (2)
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