約2週間にわたってトカラ列島の温泉を取り上げてきましたが、これらの記事を読んで訪れてみたくなった酔狂なあなたへ、アクセスや島内事情などいろいろな面でハードルが高いトカラ列島を、ズブな素人でも訪れることができるよう、今回の記事では私の実体験をもとに旅行のプランニングや滞在中の行動で役立つ(かもしれない)How to を書き綴ってまいります。
なお観光地や各島の概要については、既に詳しく説明されているサイトがありますのでGoogleで検索してそちらをご覧いただくとして、ここでは個人的に気付いた旅行の技術面のみをメモしてゆきます。
●アクセス編
(1)フェリー「としま」・客室編
トカラへの唯一のアクセス手段が、週に2往復しか運行されないフェリー「としま」。離島とはいえ飛行機はありません。船の概要については村のホームページをご覧くださいね。まずは客室について。客室には、雑魚寝の2等客室、2段寝台の指定寝台、1等客室の3種類が用意されています。
2等客室。最も安い等級です。他の航路の2等客室でもよく見られるレイアウトであり、カーペットの床に枕と毛布が用意されています。一人分のスペースは結構狭いため、慣れていないと長時間の滞在はキツいかもしれず、耐えきれずに甲板や食堂で時間をつぶす客の姿も見受けられます。
こちらは指定寝台。ひとつの部屋に2段の寝台が左右に2つずつ(計8人分)分かれて配置されており、両方の寝台の間にテレビが1台設置されています。スペースにはとてもゆとりがあり、カーテンを閉めればプライバシーも確保できます。また蓋つきの棚に荷物も収納できます。神経質の人は指定寝台がおすすめ。ちなみに私は初日に往路と、最終日の復路でこの指定寝台を利用し、島と島の移動は長くても1~3時間程度でしたので、2等客室を選択しました。
(2)フェリー「としま」・チケット編
旅程立案に当たり、週2便しかないフェリーの乗船に際しては予約が必要なのかどうか、事情が分からない我々にとってはかなり不安ですが、結論から言えば、余程のこと(たとえば悪石島でボゼのお祭りが開催される日など)がない限りは、予約なしで当日いきなりチケットを購入しても問題ないみたいです。でも指定寝台や1等はキャパに限りがあるため、鹿児島発の指定寝台や1等に限っては事前に電話で予約することができます。実際に私も往路の指定寝台は電話予約をし、乗船当日に窓口で券を購入しました。なお予約のあるなしにかかわらず、鹿児島港での乗船券の販売は、出港当日の9:00~17:00および19:00~23:30です。
一方、各島で乗船券を買い求める場合は、島のコミュニティーセンター(役場の出張所)で購入することになります。島によって発券時間が異なりますので、宿泊先の方に聞いてください。また何らかの事情により島で乗船券を買えなかった場合は、船内でも購入可能です。
こちらは鹿児島港の発券所および待合室。
乗船券と指定寝台のチケット。鹿児島発は発券時に寝台が指定されますが、島発の場合は、乗船した後、船内の受付で指定を受けます。
(3)フェリー「としま」・船内滞在編
鹿児島から各島までの長い船旅、ずっと指定された客室でじっとしているのはかなりツラいものがありますから、船内をウロウロしてみましょう。
乗客にとっての憩いの場である食堂。お土産も買えます。テレビも2台あって、航行中でもBSが視聴可能です。自販機ではビールも売ってますよ。島にはお店が無かったり、またはあっても値段が高かったりするので、自販機でビールを大量購入してから島へ降りてゆくお客さんがいらっしゃいました。なお深夜などは営業していません。
食堂で食べられる食事は冷凍食品です。画像のものは高菜チャーハン。セルフサービスです。食堂以外でも自販機が設置されており、ソフトドリンク・アイス・カップラーメンなどが購入できます。
また一部の階のトイレにはシャワー室も設置されています。
フェリーの受付(案内カウンター)。何かあればこちらへ相談を。なお島から乗船した場合は、等級を問わず、乗船してからこの受付で座席(寝台)の場所を指定してもらってください。
この受付カウンターには村発行の観光パンフや各島の地図(コピー)が用意されていて無料でもらえるほか、各島の出張所で捺せる記念スタンプが全島分用意されており、島を巡らなくてもこの島で全部のスタンプをコンプリートできちゃいます(それでいいのか?)。
受付カウンターのそばには、フェリーの現在地を電球で表示する「航路表示盤」があり、いまどこにいるかがわかります。この画像の場合は、上り便(鹿児島行)がちょうど屋久島と口永良部島の間を抜けて北上していることを示しています。ということは…
船から両方の島が見られるはずですので、実際に甲板に出てみると、本当に二つの島がはっきりと眺められました。画像左(上)は屋久島(のはず)、右(下)は口永良部島です。
運が良ければ、このように船の上からイルカが見られるかも。この時は悪石島と小宝島の間で、イルカたちがフェリーの両側でピョンピョンと華麗にジャンプしてくれました。でもあっという間にイルカは姿を消すので、カメラにその姿をおさめるのは至難の業です。
こちらはカツオドリ。いかにも南方らしい鳥ですが、この鳥は船に驚いて海から飛んでくるトビウオを狙っているため、船と並行して飛んでおり、撮影は容易でした。
トビウオは人間が食べたっておいしいわけでして、フェリーの甲板では開きにしたトビウオを干していました。のどかな船ですね。
●プランニング案
(1)フェリーの運行パターン
週2往復しかないフェリーですが、実際に旅程を立案しようと思って、村のホームページを開いて運行表を見ても、初めての人間には、そこに記されているお意味がさっぱりわかりません。入港日や出港日ってどういう意味なのでしょう?
そこで拙ブログではフェリーの運行パターン(曜日)について、以下のように表現し直してみました。
※2014年5月一部修正
・鹿児島→トカラの場合(下り便)
・トカラ→鹿児島の場合(上り便)
通年、このパターンで運行されます。運行表で記されていた入港・出港って、鹿児島港を基準にした表現だったんですね。1隻のフェリーが都合3日かけて往復しているだけなので、週2往復とならざるをえないわけです。なお船の検査や県の行事(選挙など)によって運行曜日が異なる場合がありますので、かならず運行表でチェックしましょう。
ちなみに私が利用した日は、安定した高気圧に覆われ続けていたので、外洋とは思えないベタ凪の状態でほとんど揺れることはありませんでした。でも天候によっては相当揺れることがあるそうですから、体調に自信のない人は酔い止めの薬を事前に用意しておくことをおすすめします。また、鹿児島港の出航はオンタイムでしたが、あまりに海が静かで順調な航行となったため、各島へは時刻表より15~30分ほど早く到着しました。また鹿児島港に戻った日も、やはり全行程にわたってベタ凪だったため、定刻より30分早く鹿児島へ入港しました。一方、天候が荒れたら数時間単位で遅れたり、あるいは寄港できずに島を通過する場合もあるらしく(島によってはうねりに弱い港もあります)、当然ながら欠航も多いそうです。従いまして、計画通りに旅行が遂行できる可能性はかなり低いと想定しておいたほうが良いでしょう。
ついでに言えば、どんなに順調な航海であっても、鹿児島に戻ってくるのは夜8時18:50です。新幹線なら博多行最終の「みずほ」新大阪行に乗り継げますが、その日のうちに飛行機へ乗り継ぐことは100%不可能かなり困難です。よって、鹿児島へ戻る日には市街のホテルへ泊らざるをえません泊まることを前提にプランニングした方がよいでしょう。
※2013年7月の運行時刻変更により、本記事を投稿した時より状況が変わりましたが、投稿時の状況は取消線を付けた上でそのまま残しておき、現在の状況も一緒に紹介しておきます。
鹿児島港から下り便に乗り込むお客さんたち。客層としては、島民や工事・公務関係者が多く、観光客の大部分は太公望で、私のような純粋な観光目的の人間は少ないようです。
船を舫る作業は島民のみなさんのお仕事。船が入港する度に、島の人は総出で港へやってきます。
トカラの島では畜産業が盛んであり、当然ながら牛の出荷もフェリーで行います。画像左(上)は平島で、右(下)は小宝島で、牛が専用の檻に入れられてフェリーに載せられる様子です。
(2)具体的なプランニング
繰り返しますが、フェリーは週に2往復しかありませんから、一回の旅程で複数の島を巡ろうとする場合、鹿児島から近い島から、あるいは遠い島から順々に訪問していこうとすると、とんでもない日数を要してしまいます。でも下り便が運行される翌日には上り便が運航されるので、この法則を念頭に置き、遠い島と近い島を行ったり来たりすれば、効率よく複数の島を巡れます。具体的には、
このように島が並んでいるとすると、
金曜:鹿児島23:50発の下り便に乗船
土曜:C島に到着、そして宿泊。
日曜:C島から上り便に乗船してA島へ(A島にて宿泊)
月曜:終日A島
火曜:A島から下り便でB島へ(B島にて宿泊)
水曜:B島から上り便で鹿児島へ戻る(20:30着)
木曜:鹿児島空港から飛行機で帰る
こんな感じで、1週間あれば3つの島を巡れます。上記プランが最も効率的かと思われます。1週間も休めないよ、という方は訪問する島の数を1~2つに限定しないといけません。
●島内の移動
公共交通機関はありませんから、自分の足に頼るか、宿で車(有料)を借りるほかありません。なお車の多くは軽自動車でマニュアルですから、AT限定免許の人は運転できないかと思います(中之島にはAT車もわずかにありますが)。また、自転車を持ち込む人もいるようですが、どの島も急な坂ばかりですから、あまり役に立たないかもしれません。こうした地理的事情のためか、レンタサイクルもありません(宿によっては原付を貸してくれる場合があります)。
●宿泊
トカラ列島に観光協会はありません。旅行会社と提携している宿があるという話も聞いたことがありません。このため自分で調べて電話で予約することになります。一応役場でも諸々の相談にのってくれるそうですが、島の人や旅行者に聞いたところによると結構事務的みたいですので、村のホームページなどを見て、自分で調べて手配した方がいいかもしれませんね。どの宿とも1泊3食付で7000~8000円が相場です。
どの島ともキャパシティーの少ない民宿ばかりで、しかも工事業者や公務関係者が優先されることが多いようでして、旅行者に対しては商売っ気が無く、けんもほろろに断られることがザラです。実際に私も何軒かの宿で断られました。でも実際に宿泊すると、どの宿でもとても親切に歓待してくれますよ。
なお、宿のキャパが小さいことなどを理由として、各民宿とも事前の予約が求められます。予約ができても相部屋となる場合もあります。もし希望する島の宿泊予約が取れなければ、島に到着しても宿が確保できないばかりか、他の島へ移ることもできませんので、その時点で旅程は破綻してしまいます。従って手配をする前に、別の島を訪れる旅程を何パターンか想定しておいたほうが良いかと思います。また、とりあえず現地に行ってから宿を探そう…という発想はかなり危険です(宿にあぶれる可能性が非常に大です)
なお宿を予約しておけば、入港に合わせて宿の方が車で港まで迎えに来てくれます。船から島に降りて、辺りをキョロキョロしていれば、宿の方が見つけてくれるでしょう。
●お金
島にATMはありません。クレジットカードも使えません。予め現金を多めに用意しておく必要があります。尤も、現金をたくさん持っていても、島で盗難事件に遭う可能性はほとんど低いので(フェリー船内を除く)、保管の面はほとんど心配ありません。
郵便局は口之島・中之島・宝島にあるので、郵貯の通帳を持参すれば引き出しが可能です。また後述するように店や自販機が殆どないので、共同浴場などで小銭が必要な場合は、あらかじめ船内で飲料を購入するなどして、くずしておきましょう。
●食生活
外食できる店は皆無です。このため島の宿はどこでも1泊3食が基本です。島内を散策していても、お昼には宿へ一旦戻りましょう。なお事前に宿へ連絡すれば、食事を抜いたり、あるいは弁当を追加したりすることが可能です。フェリーの入港時間によってお昼ご飯をどうするか迷う場合もあるかと思いますが、上述のようにフェリーの食堂は素っ気ない冷凍食品ですから、宿でいただくことをおすすめします。
意外とうっかりしてしまうのが飲み物事情。日本国内だったら、大抵はどんな場所にも飲料の自販機があるため、暑い夏で汗をダラダラ流しても、いつでも気軽に水分補給することができますが、トカラの島には自販機は1~2台しかなく、島によってはありません。集落からちょっとでも離れると、飲料が入手できなくなります。このため水筒やペットボトルの携行が欠かせません(水道は飲めます)。
画像左(上)は平島の自販機、右(下)は宝島の自販機と売店です。各島とも中心的集落に1~2台程度しかありません。頻繁に商品補充することもできないため、売り切れのものも多かったりします。
小宝島唯一の自販機は故障中でした。
お店から直接食材や飲料類を入手しようとしても、営業時間も取扱品目も限定的ですし、場合によっては店が無いこともあります。従って、どうしてもこれだけは欠かせない、という品物があれば、鹿児島出発前に予め用意しておきましょう。
物によってはフェリーの売店を活用する方法もあり、実際に島の人は入港時にダッシュでフェリーへ入って、売店や船内の自販機で希望のものを買い求める光景を頻繁に目にしました。ちなみに夏はアイスがバカ売れです。
●健康
各島とも僻地診療所があり、基本的な診療は可能のようですが、薬局は無いので、必要な薬があれば事前に用意する必要があります。なお、真夏の炎天下に屋外を歩くような人は(バカな私以外は)いません。ほとんど自殺行為です。
●通信
携帯はドコモしか使えません。なおドコモにはレンタルサービスがあり、使用前日の15時までに申し込めば、翌日には自宅や勤務先などへ届けてくれますよ(申込にはクレジットカードが必要)。歩いて島を散策して途中で迎えに来てもらう場合や、天候悪化などにより旅程変更を余儀なくされ宿泊予定の民宿にキャンセルなどを申し出る場合など、島で携帯電話が必要となる場面は結構多いかもしれません。
インターネットに関しては、村が通信事業者となってネット環境を整備しており、各島で利用が可能となっています。島の方や旅行者から伺った話によれば、役場の出張所などへお願いすれば、ネット接続されているパソコンが利用できるみたいです。また宿によっては無線LANを飛ばしているありがたい施設もあります。私が宿泊した宿のうち、小宝島のパパラギ、平島の大峰荘では無線LANが使えました。
●お土産
トカラのお土産としては
なお観光地や各島の概要については、既に詳しく説明されているサイトがありますのでGoogleで検索してそちらをご覧いただくとして、ここでは個人的に気付いた旅行の技術面のみをメモしてゆきます。
●アクセス編
(1)フェリー「としま」・客室編
トカラへの唯一のアクセス手段が、週に2往復しか運行されないフェリー「としま」。離島とはいえ飛行機はありません。船の概要については村のホームページをご覧くださいね。まずは客室について。客室には、雑魚寝の2等客室、2段寝台の指定寝台、1等客室の3種類が用意されています。
2等客室。最も安い等級です。他の航路の2等客室でもよく見られるレイアウトであり、カーペットの床に枕と毛布が用意されています。一人分のスペースは結構狭いため、慣れていないと長時間の滞在はキツいかもしれず、耐えきれずに甲板や食堂で時間をつぶす客の姿も見受けられます。
こちらは指定寝台。ひとつの部屋に2段の寝台が左右に2つずつ(計8人分)分かれて配置されており、両方の寝台の間にテレビが1台設置されています。スペースにはとてもゆとりがあり、カーテンを閉めればプライバシーも確保できます。また蓋つきの棚に荷物も収納できます。神経質の人は指定寝台がおすすめ。ちなみに私は初日に往路と、最終日の復路でこの指定寝台を利用し、島と島の移動は長くても1~3時間程度でしたので、2等客室を選択しました。
(2)フェリー「としま」・チケット編
旅程立案に当たり、週2便しかないフェリーの乗船に際しては予約が必要なのかどうか、事情が分からない我々にとってはかなり不安ですが、結論から言えば、余程のこと(たとえば悪石島でボゼのお祭りが開催される日など)がない限りは、予約なしで当日いきなりチケットを購入しても問題ないみたいです。でも指定寝台や1等はキャパに限りがあるため、鹿児島発の指定寝台や1等に限っては事前に電話で予約することができます。実際に私も往路の指定寝台は電話予約をし、乗船当日に窓口で券を購入しました。なお予約のあるなしにかかわらず、鹿児島港での乗船券の販売は、出港当日の9:00~17:00および19:00~23:30です。
一方、各島で乗船券を買い求める場合は、島のコミュニティーセンター(役場の出張所)で購入することになります。島によって発券時間が異なりますので、宿泊先の方に聞いてください。また何らかの事情により島で乗船券を買えなかった場合は、船内でも購入可能です。
こちらは鹿児島港の発券所および待合室。
乗船券と指定寝台のチケット。鹿児島発は発券時に寝台が指定されますが、島発の場合は、乗船した後、船内の受付で指定を受けます。
(3)フェリー「としま」・船内滞在編
鹿児島から各島までの長い船旅、ずっと指定された客室でじっとしているのはかなりツラいものがありますから、船内をウロウロしてみましょう。
乗客にとっての憩いの場である食堂。お土産も買えます。テレビも2台あって、航行中でもBSが視聴可能です。自販機ではビールも売ってますよ。島にはお店が無かったり、またはあっても値段が高かったりするので、自販機でビールを大量購入してから島へ降りてゆくお客さんがいらっしゃいました。なお深夜などは営業していません。
食堂で食べられる食事は冷凍食品です。画像のものは高菜チャーハン。セルフサービスです。食堂以外でも自販機が設置されており、ソフトドリンク・アイス・カップラーメンなどが購入できます。
また一部の階のトイレにはシャワー室も設置されています。
フェリーの受付(案内カウンター)。何かあればこちらへ相談を。なお島から乗船した場合は、等級を問わず、乗船してからこの受付で座席(寝台)の場所を指定してもらってください。
この受付カウンターには村発行の観光パンフや各島の地図(コピー)が用意されていて無料でもらえるほか、各島の出張所で捺せる記念スタンプが全島分用意されており、島を巡らなくてもこの島で全部のスタンプをコンプリートできちゃいます(それでいいのか?)。
受付カウンターのそばには、フェリーの現在地を電球で表示する「航路表示盤」があり、いまどこにいるかがわかります。この画像の場合は、上り便(鹿児島行)がちょうど屋久島と口永良部島の間を抜けて北上していることを示しています。ということは…
船から両方の島が見られるはずですので、実際に甲板に出てみると、本当に二つの島がはっきりと眺められました。画像左(上)は屋久島(のはず)、右(下)は口永良部島です。
運が良ければ、このように船の上からイルカが見られるかも。この時は悪石島と小宝島の間で、イルカたちがフェリーの両側でピョンピョンと華麗にジャンプしてくれました。でもあっという間にイルカは姿を消すので、カメラにその姿をおさめるのは至難の業です。
こちらはカツオドリ。いかにも南方らしい鳥ですが、この鳥は船に驚いて海から飛んでくるトビウオを狙っているため、船と並行して飛んでおり、撮影は容易でした。
トビウオは人間が食べたっておいしいわけでして、フェリーの甲板では開きにしたトビウオを干していました。のどかな船ですね。
●プランニング案
(1)フェリーの運行パターン
週2往復しかないフェリーですが、実際に旅程を立案しようと思って、村のホームページを開いて運行表を見ても、初めての人間には、そこに記されているお意味がさっぱりわかりません。入港日や出港日ってどういう意味なのでしょう?
そこで拙ブログではフェリーの運行パターン(曜日)について、以下のように表現し直してみました。
※2014年5月一部修正
・鹿児島→トカラの場合(下り便)
月曜23:00出航→火曜の早朝からお昼にかけて各島へ→奄美・名瀬宝島止まり(奄美には行きません)
金曜23:00出航→土曜の早朝からお昼にかけて各島へ→奄美大島・名瀬港まで行きます
金曜23:00出航→土曜の早朝からお昼にかけて各島へ→奄美大島・名瀬港まで行きます
・トカラ→鹿児島の場合(上り便)
水曜朝7:00宝島始発早朝3:00奄美・名瀬出港→同日朝からお昼にかけて各島を出発→同日20:3018:50鹿児島到着
日曜早朝3:00奄美大島・名瀬出港→同日朝からお昼にかけて各島を出発→同日20:3018:50鹿児島到着
※2013年7月より全便が名瀬まで行くようになり、鹿児島港の出発および到着時間も変更されました
日曜早朝3:00奄美大島・名瀬出港→同日朝からお昼にかけて各島を出発→同日
※2013年7月より全便が名瀬まで行くようになり、鹿児島港の出発および到着時間も変更されました
通年、このパターンで運行されます。運行表で記されていた入港・出港って、鹿児島港を基準にした表現だったんですね。1隻のフェリーが都合3日かけて往復しているだけなので、週2往復とならざるをえないわけです。なお船の検査や県の行事(選挙など)によって運行曜日が異なる場合がありますので、かならず運行表でチェックしましょう。
ちなみに私が利用した日は、安定した高気圧に覆われ続けていたので、外洋とは思えないベタ凪の状態でほとんど揺れることはありませんでした。でも天候によっては相当揺れることがあるそうですから、体調に自信のない人は酔い止めの薬を事前に用意しておくことをおすすめします。また、鹿児島港の出航はオンタイムでしたが、あまりに海が静かで順調な航行となったため、各島へは時刻表より15~30分ほど早く到着しました。また鹿児島港に戻った日も、やはり全行程にわたってベタ凪だったため、定刻より30分早く鹿児島へ入港しました。一方、天候が荒れたら数時間単位で遅れたり、あるいは寄港できずに島を通過する場合もあるらしく(島によってはうねりに弱い港もあります)、当然ながら欠航も多いそうです。従いまして、計画通りに旅行が遂行できる可能性はかなり低いと想定しておいたほうが良いでしょう。
ついでに言えば、どんなに順調な航海であっても、鹿児島に戻ってくるのは
※2013年7月の運行時刻変更により、本記事を投稿した時より状況が変わりましたが、投稿時の状況は取消線を付けた上でそのまま残しておき、現在の状況も一緒に紹介しておきます。
鹿児島港から下り便に乗り込むお客さんたち。客層としては、島民や工事・公務関係者が多く、観光客の大部分は太公望で、私のような純粋な観光目的の人間は少ないようです。
船を舫る作業は島民のみなさんのお仕事。船が入港する度に、島の人は総出で港へやってきます。
トカラの島では畜産業が盛んであり、当然ながら牛の出荷もフェリーで行います。画像左(上)は平島で、右(下)は小宝島で、牛が専用の檻に入れられてフェリーに載せられる様子です。
(2)具体的なプランニング
繰り返しますが、フェリーは週に2往復しかありませんから、一回の旅程で複数の島を巡ろうとする場合、鹿児島から近い島から、あるいは遠い島から順々に訪問していこうとすると、とんでもない日数を要してしまいます。でも下り便が運行される翌日には上り便が運航されるので、この法則を念頭に置き、遠い島と近い島を行ったり来たりすれば、効率よく複数の島を巡れます。具体的には、
鹿児島 A島 B島 C島 ・・・
このように島が並んでいるとすると、
金曜:鹿児島23:50発の下り便に乗船
土曜:C島に到着、そして宿泊。
日曜:C島から上り便に乗船してA島へ(A島にて宿泊)
月曜:終日A島
火曜:A島から下り便でB島へ(B島にて宿泊)
水曜:B島から上り便で鹿児島へ戻る(20:30着)
木曜:鹿児島空港から飛行機で帰る
こんな感じで、1週間あれば3つの島を巡れます。上記プランが最も効率的かと思われます。1週間も休めないよ、という方は訪問する島の数を1~2つに限定しないといけません。
●島内の移動
公共交通機関はありませんから、自分の足に頼るか、宿で車(有料)を借りるほかありません。なお車の多くは軽自動車でマニュアルですから、AT限定免許の人は運転できないかと思います(中之島にはAT車もわずかにありますが)。また、自転車を持ち込む人もいるようですが、どの島も急な坂ばかりですから、あまり役に立たないかもしれません。こうした地理的事情のためか、レンタサイクルもありません(宿によっては原付を貸してくれる場合があります)。
●宿泊
トカラ列島に観光協会はありません。旅行会社と提携している宿があるという話も聞いたことがありません。このため自分で調べて電話で予約することになります。一応役場でも諸々の相談にのってくれるそうですが、島の人や旅行者に聞いたところによると結構事務的みたいですので、村のホームページなどを見て、自分で調べて手配した方がいいかもしれませんね。どの宿とも1泊3食付で7000~8000円が相場です。
どの島ともキャパシティーの少ない民宿ばかりで、しかも工事業者や公務関係者が優先されることが多いようでして、旅行者に対しては商売っ気が無く、けんもほろろに断られることがザラです。実際に私も何軒かの宿で断られました。でも実際に宿泊すると、どの宿でもとても親切に歓待してくれますよ。
なお、宿のキャパが小さいことなどを理由として、各民宿とも事前の予約が求められます。予約ができても相部屋となる場合もあります。もし希望する島の宿泊予約が取れなければ、島に到着しても宿が確保できないばかりか、他の島へ移ることもできませんので、その時点で旅程は破綻してしまいます。従って手配をする前に、別の島を訪れる旅程を何パターンか想定しておいたほうが良いかと思います。また、とりあえず現地に行ってから宿を探そう…という発想はかなり危険です(宿にあぶれる可能性が非常に大です)
なお宿を予約しておけば、入港に合わせて宿の方が車で港まで迎えに来てくれます。船から島に降りて、辺りをキョロキョロしていれば、宿の方が見つけてくれるでしょう。
●お金
島にATMはありません。クレジットカードも使えません。予め現金を多めに用意しておく必要があります。尤も、現金をたくさん持っていても、島で盗難事件に遭う可能性はほとんど低いので(フェリー船内を除く)、保管の面はほとんど心配ありません。
郵便局は口之島・中之島・宝島にあるので、郵貯の通帳を持参すれば引き出しが可能です。また後述するように店や自販機が殆どないので、共同浴場などで小銭が必要な場合は、あらかじめ船内で飲料を購入するなどして、くずしておきましょう。
●食生活
外食できる店は皆無です。このため島の宿はどこでも1泊3食が基本です。島内を散策していても、お昼には宿へ一旦戻りましょう。なお事前に宿へ連絡すれば、食事を抜いたり、あるいは弁当を追加したりすることが可能です。フェリーの入港時間によってお昼ご飯をどうするか迷う場合もあるかと思いますが、上述のようにフェリーの食堂は素っ気ない冷凍食品ですから、宿でいただくことをおすすめします。
意外とうっかりしてしまうのが飲み物事情。日本国内だったら、大抵はどんな場所にも飲料の自販機があるため、暑い夏で汗をダラダラ流しても、いつでも気軽に水分補給することができますが、トカラの島には自販機は1~2台しかなく、島によってはありません。集落からちょっとでも離れると、飲料が入手できなくなります。このため水筒やペットボトルの携行が欠かせません(水道は飲めます)。
画像左(上)は平島の自販機、右(下)は宝島の自販機と売店です。各島とも中心的集落に1~2台程度しかありません。頻繁に商品補充することもできないため、売り切れのものも多かったりします。
小宝島唯一の自販機は故障中でした。
お店から直接食材や飲料類を入手しようとしても、営業時間も取扱品目も限定的ですし、場合によっては店が無いこともあります。従って、どうしてもこれだけは欠かせない、という品物があれば、鹿児島出発前に予め用意しておきましょう。
物によってはフェリーの売店を活用する方法もあり、実際に島の人は入港時にダッシュでフェリーへ入って、売店や船内の自販機で希望のものを買い求める光景を頻繁に目にしました。ちなみに夏はアイスがバカ売れです。
●健康
各島とも僻地診療所があり、基本的な診療は可能のようですが、薬局は無いので、必要な薬があれば事前に用意する必要があります。なお、真夏の炎天下に屋外を歩くような人は(バカな私以外は)いません。ほとんど自殺行為です。
●通信
携帯はドコモしか使えません。なおドコモにはレンタルサービスがあり、使用前日の15時までに申し込めば、翌日には自宅や勤務先などへ届けてくれますよ(申込にはクレジットカードが必要)。歩いて島を散策して途中で迎えに来てもらう場合や、天候悪化などにより旅程変更を余儀なくされ宿泊予定の民宿にキャンセルなどを申し出る場合など、島で携帯電話が必要となる場面は結構多いかもしれません。
インターネットに関しては、村が通信事業者となってネット環境を整備しており、各島で利用が可能となっています。島の方や旅行者から伺った話によれば、役場の出張所などへお願いすれば、ネット接続されているパソコンが利用できるみたいです。また宿によっては無線LANを飛ばしているありがたい施設もあります。私が宿泊した宿のうち、小宝島のパパラギ、平島の大峰荘では無線LANが使えました。
●お土産
トカラのお土産としては
塩・漁醤・筍水煮・トビウオ関係・島らっきょう・島バナナ関係(バナナそのものやコンフィチュールなど)
などが挙げられるでしょう。でも島内にお土産屋さんはありません。宿でオリジナルグッズを販売していることもありますが、希望のものが手に入るとは限りません。島ならではのお土産はフェリーの売店で販売しているほか、鹿児島市内の十島村役場の隣にある「結プラザ」でも販売しており、後者の方が品揃えは豊富です。ちなみに、某島で伺った話によれば、船内の売店に卸すと思いっきりマージンをもっていかれてしまうので、船では販売したくない、とのことでした。