温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

トカラ列島 平島 あかひげ温泉

2012年08月25日 | 鹿児島県
 
連続して取り上げてきましたトカラ列島の温泉めぐりも、今回の平島でラストとなります(日程の関係で口之島と諏訪之瀬島は巡れませんでした)。平島の温泉施設は一軒しか無く、その名は「あかひげ温泉」と称します。あかひげと言っても、山本周五郎の小説でも黒沢明の映画でもなく、十島村の村鳥である「アカヒゲ」のことです。この温泉は源泉温度が低いために燃料で加温しており、その関係で入浴できるのは週3日の夕方のみです。このため外来者にとってはハードルが高そうに思えますが、その営業日はフェリー上り便の入港曜日と合っていますので、実はそんなに苦労することではなく、島に到着した日に利用すればよいだけの話です。加温するため営業日が限られていたり、その日がフェリーの入港曜日と合っている点は、同じく源泉温度が低い宝島の「友の花温泉保養センター」と全く同じですね。
浴場はコミュニティーセンター(役場の出張所)に内包されており、正面玄関の左側に勝手口のような温泉専用の入口があります。


 
下足場の上部壁面には寄付者の名札が並んでいます。また靴箱の上には料金箱が置かれています。他の島の共同浴場と同様に無人ですので、自己申告で料金を支払います。



なお私が宿泊した民宿「大峰荘」の玄関にも料金箱が設置されており、ここで支払ってもOK。


 
脱衣所はこじんまりしており、至ってシンプルな構造ですが、よく手入れが行き届いており清潔です。扇風機が設置されているのは嬉しいですね。



洗い場と浴槽があるだけの、飾り気のないタイル貼りの実用本位な浴室ですが、やはりこちらもメンテナンスがよく、とっても清潔です。


 
室内には左右に分かれて洗い場が設けられており、シャワー付き混合栓が計5基設置されています。自分たちの共有財産を大切に使ってゆこうという意識の顕れなのか、腰掛や桶がきちんと整頓されており、先客のお爺さん二人も自分で使った備品類をきちんと元通りに戻してから退室していきました。素晴らしいマナーです。


 
台形を横にしたような形状をしている湯船は4~5人サイズで、この湯船には「お湯」「お水」「温泉」という3つの蛇口が設けられており、「温泉」から加温された源泉が注がれています。加温こそされているものの、循環消毒などは行われておらず、加温した上での放流式となっています。
泉質名としては単純温泉ですが、金気が多いのか赤みを帯びた黄土色に弱く濁っており、その濁りのために浴槽の底が霞んで見えます。金気味(鉄とは異なる味)と土気味、そして重炭酸土類泉を加温した時に現れる独特の臭みとゴム系の表現が難しい不思議な油臭がそれぞれ感じられます。加温の塩梅がよく、利用時はちょうど良い湯加減でした。



浴室内には水色タイルの空っぽの槽がありました。この槽の用途は不明。そういえば宝島の「友の花温泉保養センター」にも同じものがあったっけ…。


低温の温泉を温めて提供していること、公民館的な建物、限定的な営業時間、青い空っぽの小さな槽があること、手入れがよく行き届いていて綺麗、赤っぽく濁ったお湯など、宝島の「友の花温泉保養センター」に似ている要素を有しているこの温泉は、同温泉と兄弟関係にあるといっても良いかもしれませんね。綺麗で気持ち良い温泉に浸かって、数日間に及んだトカラでの旅の疲れを癒すことができました。こんなお風呂を維持し続けている島の方々に感謝です。


平島1号
単純温泉 27.8℃ pH7.0 溶存物質454.7mg/kg 成分総計464.8mg/kg
Na+:72.3mg(53.05mval%), Mg++:10.3mg(14.36mval%), Ca++:30.9mg(26.01mval%), Fe++:4.7mg(2.87mval%),
Cl-:105.2mg(54.00mval%), SO4--:44.7mg(16.91mval%), HCO3-:97.8mg(29.09mval%),
H2SiO3:81.2mg,

鹿児島県鹿児島郡十島村平島川之上293

火・木・土の17:00~21:00
200円
備品類なし

私の好み:★★

コメント
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