温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

老神温泉 金龍園

2012年08月11日 | 群馬県
 
老神温泉で以前から気になっていた「金龍園」で立ち寄り入浴してきました。


 
夕方の忙しい時間帯に訪問してしまったのですが、作務衣を着たスタッフの方が快く立ち寄り入浴を受け入れてくれました。大変失礼ながら、外観からは鄙びている宿を想像していたのですが、中に入ってビックリ、綺麗で立派な玄関や帳場まわりには良い意味で想像を裏切られました。市松模様の床が美しいですね。



日本旅館らしい飾りも随所に見られました。


 
帳場のすぐ前にある階段で2階へ上がり、すぐ左に折れ、音階という概念を超越したカラオケの歌声が響いてくる大広間を脇を通った廊下の突き当りに、薄萌葱色の暖簾がかかった浴室エリアの入口があります。暖簾の下にはサービスの麦茶が用意されていました。


 
薄萌葱色の暖簾をくぐると、湾曲した狭い廊下に3つある浴室の入口が面していました。まず右手手前が女風呂、その次の左手に混浴露天風呂、そして一番奥が混浴内風呂です。混浴内風呂には紺色の暖簾が掛かっていましたので、実質的には男湯として扱われているのでしょう。混浴の内湯と露天は裸のまま行き来できますが、女湯と露天風呂はこの廊下を通り過ぎることとなるため、両者を移動する際は一旦着替えた方が良さそうです。今回私は混浴内湯と露天の2つに入浴しました。


 
各浴室には群馬県内に聳える山が浴室名として付けられており、混浴内湯(大浴場)は「皇海の湯」です。安易に上毛三山(赤城・榛名・妙義)ではなく、地元の名峰から名前を採るところは流石です。どうでもいいことですが、皇海の読みをカタカナ表記にして「スカイの湯」と書いてみると、地方都市にあるビジネスホテルの展望風呂みたいになっちゃいますね。
脱衣室は結構広々としており、洗面台は2台、必要最低限のものは揃っています。



露天風呂は混浴ですから、「淑女がご入浴中の場合」は、紳士はこの籠にある湯浴み着を巻いて醜い裸体を晒さないようにしましょう。


 
浴室は「大浴場」と称するお風呂では一般的にみられるような造りで、ガラス窓に面して二分されたL字形の浴槽が据えられています。また、洗い場にはシャワー付き混合水栓が4基設置されています。
窓の外に見えるのは露天風呂です。


 
赤茶色に染まる湯口からは激熱のお湯が源泉溜りに落とされており、この源泉溜りを覆っているタオルによって湯の華が濾されています。内湯に使われているこの源泉は老神の7号源泉であり、見た目は無色透明で、薄らと砂消しゴムのような匂いを帯びる硫黄っぽさと僅かな芒硝らしさが感じられますが、大雑把に感想を表現する方だったら無味無臭と言っちゃいそうなほど知覚面が薄く、浴感に関してもツルスベでも引っかかりでもなく、掴みどころがないため表現が難しいため、ごく普通のお湯と大して変わらなかったかもしれません。一応完全掛け流しとのことですが、源泉温度が高いので、私の利用時は相当加水されていたのかもしれません。でもお湯から伝わる鮮度感は抜群であり、いくら知覚面が弱いからと言っても、このお湯が正真正銘本物の温泉であることを実感できました。


 
2分割されている浴槽のうち、激熱の源泉が注がれる湯口直下にある三角の浴槽は当然ながらやや熱めですが、他方の下流側浴槽(窓直下の槽)は万人受けするような適温が保たれていました。二つの浴槽を仕切る壁には3つほどの穴が開いており、ここからお湯が流れてゆくようです。お湯は湯口を源流として、二つの槽を上流側から順に流れ、下流側の槽のステップにある穴のあいたSUS板から排湯されてゆきます。上流側の浴槽は縁が高いため、ここに人間が入ったとしてもこの槽からオーバーフローすることは無く、かならず下流側の槽から溢湯する仕組みになっていました。このような造りは洗い場をオーバーフローでビショビショにさせないようにする配慮なのかもしれません。



さてこちらは混浴露天風呂「白根の湯」の入口です。混浴内湯(男湯)からですと裸のままで露天へ行けますが、女湯の場合は一旦通路に出てからこちらの入口を通ってゆく必要があります。大した距離じゃないので、ひと気が無ければ裸のまんまでササっと移動しちゃえば良さそうですが、混雑時間帯はそうもいかないでしょうね。


 
露天風呂は日本庭園風の造りで、谷に向かって視界が開けており、対岸には餃子の満州のキャラが目立つ「東明館」が聳え立っており、そしてその後背には緑の深い山々が広がっています。


 
露天風呂にはちゃんとした脱衣用の棚などは無いのですが、女湯から来る方、そして内湯を経ずにダイレクトに露天へ来るお客さんのために、脱衣用の籠が用意されており、また休憩用の腰掛も設置されています。なお洗い場もありませんが、一応ボディーソープの類は用意されています。


 
浴槽は岩風呂となっており、内湯同様に浴槽は2分割されています。源泉は岩組みの湯口からVU管を通して浴槽の底へお湯を届かせています。湯口側の槽はやや熱めの湯加減ですが、内部では茶色と灰色を混ぜたような色の薄い膜状の湯の華がたくさん舞っており、あるいは沈澱しており、湯船に身を沈めると全身湯の花まみれになって、いかにも老神のお湯に入っているような気分に浸れます。一方で隣の湯船は湯加減こそ丁度良いものの湯の華はそれほど多くありません。露天風呂で使われているのは8号と10号の混合泉であり、見た目は無色透明、砂消しゴム的な硫黄の匂いや味が薄らながら明瞭に認識できます。


 
ところでこちらのお宿をを道路から見ますと、車が止まっているガレージの真上に露天風呂が位置していることがわかります。基本的には庭木などによって目隠しされていますが、一番端っこにある非常階段の真上に立つと道路から丸見えになっちゃいますので、恥ずかしがり屋の方はあまり階段の方へ近寄ってはダメですよ。

癖の無い質感ながら鮮度感がはっきりしている7号泉の内湯と、眺めが良くて開放的な造りで、老神らしい大量の湯の華が楽しめる混合泉の露天風呂、どちらも甲乙つけがたいお風呂であり、幸いにして両方とも独り占めで利用することができたため、そんな状況も相俟って、両方のお湯を行ったり来たりしながら、思う存分老神のお湯を楽しめました。スタッフの方の感じも良かったので、今度は宿泊してみたいなと思った次第であります。


内湯
7号泉
アルカリ性単純硫黄温泉 59.1℃ pH8.5 動力揚湯 溶存物質0.52g/kg 成分総計0.52g/kg
Na+:132mg(81.87mval%), Ca++:23.0mg(16.35mval%),
Cl-:100mg(39.56mval%), SO4--:144mg(42.29mval%), HS-:3.2mg(1.36mval%),
H2SiO3:63.0mg, 遊離H2S:0.0mg,
加水加温循環消毒なし

露天風呂
8号泉・10号泉の混合泉
単純温泉 47.1℃ pH7.2 動力揚湯 蒸発残留物0.45g/kg 成分総計0.48g/kg
Na+:111mg, Ca++:23.4mg,
Cl-:94.6mg, SO4--:126mg,
H2SiO3:63.7mg, 遊離H2S:0.0mg,
加水加温循環消毒なし


群馬県沼田市利根町老神592  地図
0278-56-3021
ホームページ

日帰り入浴時間
平日12:00~20:00(利用時間約120分)、休日12:00~20:00(利用時間約90分)、休前日12:00~14:00(利用時間約90分)
平日550円、休日・休前日1050円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★


コメント (1)
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