文化逍遥。

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わたしのレコード棚―ブルース6、Scrapper Blackwell

2011年05月05日 | わたしのレコード棚
 スクラッパー・ブラックウェル(Frances Hilman Blackwell)は、1903年キャロライナ州(南か北かはっきりしない)に生まれ1962年にインディアナ州で撃たれて死んでいる。ピアニストのリロイ・カーなどのバックで絶妙なギターを弾いた。’35にカーが死んだ後しばらくして音楽活動をやめるが、’58年に「再発見」されてすぐれた録音を残している。時代が逆行するかたちになるが、再発見後の録音から紹介したい。


 1961年7月インディアナポリスでの録音。AceというヨーロッパのレーベルのLP(CH255)だが、オリジナルリリースはBluesville1047。実はわたしは、このLPに出会うまでは戦前にも単独での録音があることを知らず、ブラックウェルのことをすぐれた伴奏者としてしか認識していなかった。「一人でもやれるのか?」といった程度の気持ちで買ったのだが、聴いてビックリ、認識一変。ギターもピアノも一流の腕前でヴォーカルもしぶい。特にギターの奏法は低音側と高音側のバランスにすぐれ、わたしにとっては大切な一枚となった。


 こちらはdocumentのCD5275。’59年のインディアナポリスでのライブ録音12曲と、’60年の同地でのスタジオ録音10曲を収録したもの。ライブではブルックス・ベリー(Brooks Berry)という女性が3曲でヴォーカルを担当している。


 P-vineからでた戦前の録音で、二枚組CD5771/72。一枚目には、主に単独での録音25曲。二枚目にはリロイ・カーはじめ様々なミュージシャンとの共演25曲を収録していて聴きごたえ充分。左の写真で、立ってギターを構えているのがブラックウェル、座っているのがリロイ・カー。
 「ハードピッキング」という言葉がある。ギターの弦を、かなり強くはじき返すを弾き方を表現したものだが、エレキギターが普及して以降は強くはじかなくても良いので、すっかり影を潜めている。特にシカゴブルースでは、ブラックウェルを境に「ハードピッカー」は少なくなっていったように感じる。しかし、個人的には、1音1音に気持ちを込めて強く弾く奏法はとても魅力があり引きつけられる。わたしも、そんなプレーヤーになりたくて、スクラッパー・ブラックウェルが残した演奏をお手本にすることが多い。

2022/4加筆改訂

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