文化逍遥。

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『緑はよみがえる』2014年イタリア映画

2016年05月23日 | 映画
 5/21(土)岩波ホール。監督・脚本はエルマンノ・オルミ。音楽はパオロ・フレスによるバンドネオン。



 1917年冬、第一次世界大戦末期、イタリア・アルプスの雪に覆われた最前線の塹壕での一夜。前進しようとすれば狙撃兵に狙われ、絶え間なく照明弾があげられて砲撃は正確さが増してゆく。そんな状況の中で、兵士は自問するように問いかける。それは、監督自身の観る者へ向けたメッセージでもあり、遺言でもあるかのようだ。

 人が人を許せないのなら、「ひと」とはいったい何なのか。

 戦争によって焼かれた樹木の緑はやがてよみがえるだろう。そのとき、かつて過酷な戦いがあった事は忘れ去られてしまうのだろうか。

76分の短めの映画だが、装飾を切り捨てた映像とセリフにより、観る者にはその問いの重さが増すようにも感じられる。
 第二次世界大戦時、ナチス・ドイツからの迫害を逃れようと多くの人がヨーロッパ・アルプスを越えた。そして今また、中東からの難民が逆方向から同じ山々を越えている。山脈の美しさとは裏腹の現実。あえて、この地を選んだ映画は、過去と今とを映し出す。

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