文化逍遥。

良質な文化の紹介。

国立演芸場12月中席

2016年12月22日 | 落語
12/17(土)、久々に寄席に行ってきた。


 三宅坂にある国立演芸場の中席。

 この日、新作落語の三遊亭白鳥は休演で少し残念だったが、中入り前の三遊亭歌司は『蜘蛛駕籠』、真打ちの柳家さん喬は『幾代餅』で、古典落語を堪能出来た。客席は、全体に6割程度の入り。最近は落語ブームとも言われるが、テレビに出ているようなタレント化した噺家さんの人気のようで、本格的な古典落語を聴かせる地味だが実力のある噺家さんはあまり人気が無いようだ。
 今回、音楽パフォーマンスの「のだゆき」さんという若い女性には感心させられた。ピアニカ(鍵盤ハーモニカ)やリコーダーを使ったヴォードビルに近いもので、限られた楽器でも表現力のあるしっかりした演奏だった。リコーダーの演奏では、大きさの異なる2本を同時に吹くのだが、それぞれを片手で持っているので限られた音した出せないのに楽器の性質を引き出せるような編曲をしていた。おそらく、クラシックの音楽理論を学んだ人なのだろう、と思い少し調べてみたら東京音楽大学大学院修了ということだった。寄席の芸は大衆芸能として低く見られることもあるかもしれないが、音楽の豊かさを聴く人に伝えるのはホールでも寄席でも全く関係ない。むしろ、普段生演奏に接することの少ない人達に生きた音を届けられることは、ホールでのコンサートよりも意味があるとも言える。最近では下座さんにも音大出の人がいて新たな芸風を吹き込んでいるようだし、彼女のように寄席の芸を底上げしていけるような芸人さんがもっと増えると良い、と願っている。

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