文化逍遥。

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わたしのレコード棚―ブルース47、William Moore

2018年02月07日 | わたしのレコード棚
 ウィリアム・ムーア(William Moore)に関しても資料が少ないが、CDの解説などによると1984年ジョージア州生まれで、8歳頃にヴァージニア州タッパハノック(Tappahannock)という所に移住。その後は、亡くなる1951年(1955年説あり)までそこで理髪店などをしながら客にも音楽を演奏する、という生活をしていたらしい。もともと南部の田舎などでは、理髪店で客を飽きさせないように歌ったりギターを弾いたりする伝統があったとも聞いている。


DOCUMENTのオムニバスCD『Ragtime Blues Guitar』。この中に1928年シカゴでの録音8曲が入っている。その時、パラマウントに16曲録音したらしいが、実際に発売に至ったのはこのCDに収録されている8曲で全てらしい。ジャケットの写真が誰かはわからないが、おそらくウィリアム・ムーアもこんな感じで、理髪店で演奏していたように思われる。

 わたしがブルースギターを習い始めた1970年代の終わり頃には教材が少なく、ステファン・グロスマンの教則LP『How To Play Blues Guitar』が数少ない教材だった。その中に、ウィリアム・ムーアの『Old Country Rock』が取り上げられている。教則LPの演奏はギター・デュオで、一本はチューニングをドロップDにし、かなり洗練された感じになっている。が、原曲はスポークン(喋り)の入った素朴なものだ。そのスポークンを入れている人は不詳だが、内容はかなり性的な解放感に満ちたもののように聴こえる。「この町の者達ゃ、みんなロックが好きさ。おとなも、こどもも、若いのから年寄りまでね・・」とつづく。
 グロスマンの教則LPには、「ブラインド・ブレイクの『ウェスト・コースト ブルース』の精巧な模倣です。」とある。しかし、ムーアの曲はキイDで、ブレイクの『ウェスト・コースト ブルース』はCだ。スポークンはかなり似ているが、基本的なギターのモード(押さえ方)が違い、聴いた感じは違う曲のようで「精巧な模倣」と云えるのかどうか疑問に思うところだ。

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