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わたしのレコード棚―ブルース46、Lonnie Johnson

2018年02月03日 | わたしのレコード棚
 ロニー・ジョンソン(Lonnie Johnson)は、ブルースファンからはジャズ系のギターリスト、ジャズのファンからはブルースマン、という印象に受け取られているようだ。そのためか、その実力が正当に評価されていないミュージシャンの一人、と言える。
 生まれは、資料によって異なるが、1894年2月としているものが多い。その他、1889年とか1900年としている資料もあるが、生地はニューオリンズで間違いないようだ。亡くなったのは、カナダのトロントで1970年6月16日。亡くなる前年にトロントで車にはねられ、それ以降事故の後遺症で体調が悪化し亡くなったという。

 とにかく音楽的な才能に恵まれていた人で、ニューオリンズという音楽に囲まれたような街の中で、最初に習ったのはヴァイオリン、その他バンジョー、マンドリン、ピアノなど次々にものにしていったらしい。共演した演奏家も多く、盟友ともいえるエディ・ラングはもちろんのこと、ルイ・アームストロングやデューク・エリントンなどジャズのプレーヤー、その他ブルースマンも多い。
 ギターのチューニングは、主に6弦と5弦を1音下げ、それぞれDとGにしている。これを、わたしは敬意を込めて「ロニー・ジョンソン・チューニング」と呼んでいる。このチューニングの為、曲のキイはDあるいはG系がほとんどだ。スケール(音階)は、ブルーノートに巧みにメジャー音を加えた、時代を先取りしたものだった。弦をチョーキングしても、この人だと洒落たジャズの雰囲気が醸し出る。甘い声だったこともあり、都市の酒場などでは大いに受けただろう。逆に、その洒脱さが重いテーマの曲には向かないこともある。下の2枚目のCDには、「Back Water Blues」という洪水をテーマにした曲が入っているが、これなどは高いテクニックや甘い声が邪魔になっていて、曲のテーマが薄れてしまっている。才能に恵まれすぎた悲哀か。これだけの音楽性を持った人でも1950年代には音楽で生活できず、他の仕事をしていた時期もあるらしい。いずれにしろ、この人が後のギターリストに与えた影響は大きいことに異を唱える人はまずいないだろう。


コロンビアのLP、『Stepin' ON The Blues』。1925から1932年まで、初期の録音を集めた名盤。特に、エディ・ラングとのギターデュオは聴きどころだ。


これはP-VINEのCDで、BluesvilleというレーベルのLP1011と1024をカップリングしたもの。全21曲。1011が1960年4月の録音11曲で、Elmer Snowdenがギターで、Wendell Marshallがベースでサポートしている。1024は、同年12月の10曲で単独での録音。


StoryvilleというレーベルのLP、4042。1963年10月に、コペンハーゲンで、ピアノにオーティス・スパンを迎え、エレキギターを使った録音。ロニー・ジョンソンは、かなり早い時期にエレキギターを手にしており、1938年頃にはすでに使っていたらしい。スパンの音域を広く使ったピアノも冴えている。

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