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わたしのレコード棚―ブルース61、Muddy Wates

2018年09月10日 | わたしのレコード棚
 ブルースのみならず、広くポピュラー音楽にまで影響する音楽活動をしたマディ・ウォーターズ。ザ・バンドの解散コンサート(1976 年11月25日カリフォルニア州サンフランシスコ)を映画化した『ラスト・ワルツ』にも出てきて「Mannish boy」を歌い会場から喝さいを受けていたので、ロックファンにも馴染みがあるだろう。それゆえにか、ブルースファンからは、ブルースの持つ深みの欠ける演奏と受け取られ、ミュージシャンとしての晩期は否定的な評価も受けたようだ。が、個人的には、様々なミュージシャンと交流を持つ中で、新たな地平を切り開いてゆく試みはけっして悪い事とは思われない。たとえ、それが失敗に終わった、としてもだ。その試みが次の世代、あるいは世代を超えて受け継がれ、多様な文化を受け入れられる素地が出来るのなら、それはそれで良いのではないだろうか。
 本名マッキンリー・モーガンフィールド(McKinley Morganfield)、生まれは1915年4月4日ミシシッピー州ローリングフォーク(Rolling Fork)、亡くなったのは1983年4月29日でシカゴだった。シカゴに出てきたのは1943年5月で、翌1944年にはエレキギターを入手したらしい。


 日本フォノグラムから1976年に出たLP二枚組。解説は高地明氏。1948年から1964年までのチェスレーベルでのセッション22曲に、1960年のニューポートジャズフェスでのライブ2曲(下のLPと同じ)を加えた、初期の24曲を収めた名盤。自身のスライド奏法ギターを中心に、ミシシッピーの香りとシカゴの都市の混濁した雰囲気が混ざり合ったブルースは、やはりブルースファンにとっては宝物といえる録音。出来れば、ライブの2曲以外、スタジオ録音分22曲は録音年代の順に編集して欲しかったが、まあしょうがないか。


 1960年7月3日、ニューポートジャズフェスティバルでのライブ録音。国内盤P-ヴァイン814。ピアノにオーティス・スパン、ギターにパット・ヘア、ハーモニカはジェームス・コットン、など。ジャケットの写真でも話題になった一枚。


 1963年シカゴでアコースティックな楽器を使った録音で、やはりチェスが1964年にリリースしたLP1483。ただし、これはMCAが後に再発したLP。バックは、ギターにバディ・ガイ、ベースに名手ウィリー・ディクソン、ドラムスにクリフトン・ジェームス。日本のブルースファンには、あまり評判が良くなかったようだが、個人的には好きな一枚。

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