文化逍遥。

良質な文化の紹介。

わたしのレコード棚ー『Songcatcher 』

2020年12月17日 | わたしのレコード棚
 2003年秋、渋谷の道玄坂の路地裏にあった小さな映画館に『歌追い人』という映画を観に行った。その時に、映画館で購入したCD『Songcatcher』を最近聴き直していて、その良さを改めて感じたので書いておくことにする。


 有料パンフレットの表紙。アメリカ映画で、製作年は2000年。原題は『Songcatcher』。監督・脚本は、マギー・グリーンフィールド。音楽監督・作曲・トラディショナルな曲のアレンジ等は、監督の夫でもあるディヴィット・マンスフィールド。主演はジャネット・マクティア。
 映画の舞台となっているのは、1907年ノースカロライナ州のアパラチア山脈の奥深く。一人の女性音楽学者が、失われていたと考えられていた古いアイリシュ・ミュージックに出会う。それらを、困難を伴いながらも録音・採取しようとする姿を通じて、バラード(物語り歌)を中心にしたオールドタイム・マウンテン・ミュージックと呼ばれるアイルランドやスコットランドに起源をもつ音楽のすばらしさや、当時のアイルランド移民に対する偏見・差別、更には女性や同性愛に対する偏見をも映画の中で語り進めてゆく・・。


 これが、映画の中で使われた音源6曲に、エンディング曲のエミルー・ハリス、さらにドリー・パートンなどが歌うオールドタイム・マウンテン・ミュージックを加えた全16曲を収録したCD。2001年にVanguardから発売されている。
 ブルーグラスやカントリーミュージックの起源といえるマウンテン・ミュージックだが、ポピューラーになるにしたがってその素朴さが失われるのは、ある意味必然なのだろう。しかし、そこからさかのぼってオリジナルな民間伝承された民俗音楽の良さを再認識出来れば、それはそれでよいのではないだろうか。このCDを聴き直して、そんなことを考えた。
 


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