文化逍遥。

良質な文化の紹介。

2018年フランス・ベルギー映画『再会の夏』

2020年01月31日 | 映画
 1/29(水)、千葉劇場にて。監督は、ジャン・ベッケル。英題は『The Red Collar』で、「Collar」は襟のことだが、ここでは勲章の頸飾(胸に付けるときのリボンのようなもの)を意味していると思われる。



 ストーリー自体に特筆することはない。設定された時代は、第1次世界大戦後の1919年で、場所がフランスでの片田舎。出征した恋人を待つ若い農婦と、その恋人であり一兵卒として戦場で心にも体にも傷を負った農夫、その元兵士を戦争が終わったにもかかわらず軍法会議にかけるべきかを判断するためにパリから派遣された少佐。それらの人間や村の人々を通して戦争と、それに伴う苦しみ、深い傷、異常な戦場が描かれる。
 第1次世界大戦では日本も参戦するが戦場からは遠く、第2次世界大戦の時のような傷跡が身近に残っているわけではないので実感が湧かないのが正直なところだ。しかし、ヨーロッパでは、それまでの常識では考えられないような状況に陥り、精神を病む兵士が続出した。戦車や重火器などが本格的に投入され、塹壕(Trench)という特殊な状況の中に兵士たちは長く置かれ心が蝕まれていったのだった。ちなみに、今ではおしゃれ着のようになっている「トレンチコート」は、この頃防寒・防水のために考案されたものだ。
 過去にも「西部戦線異常なし」などの作品があったが、自然豊かなフランスの田舎の農夫が召集され、塹壕戦という特殊な状況に置かれたことを通して、第1次世界大戦を知る一助にはなる作品、と感じた。

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