文化逍遥。

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2019年イギリス映画『フィッシャーマンズ ソング』

2020年01月18日 | 映画
 1/16(木)、千葉劇場にて。監督は、クリス・フィギン。原題は「Fisherman's Friends」。





 イングランド南西部のコーンウォール地方にある港町ポート・アイザック。ケルトの伝統を色濃く残し、地元の漁師たちはボーイズバンドを世代を超えて受け継いできた。この映画は、そんなボーイズバンドがひょんなことからメジャーデビューに至るという実話を基にしたサクセスストーリーだ。楽しめる作品だが、ストーリーに安易さがあるようにも感じた。
 むしろ興味深かったのは、イングランドという限定された地域に今も残る地域性だった。映画の中で、ロンドンから来た音楽プロデューサーにバンドのメンバーである漁師が「川を超えたら別の国だ」と言い放つ場面がある。ロンドンから車で数時間のところに位置する場所なのだが、私が聞き取った限りでは、かなり古い英語やケルト訛りが話し言葉に含まれていた。実際、コーンウォール県とイングランド本島の境に当たるテーマー川を渡るシーンが象徴的に何度も出てくる。少し調べてみたところ、コーンウォールでは、ケルト語派の独特の言語があり、1777年頃には話す人がいなくなったと考えられていたが、実際には、細々と語り継がれ、今では学校で選択科目として学習されている、という。

 余談だが、原題の「Fisherman's Friends」は、実際のバンドの名前でもあるらしい。また、「Fisherman's Friends」という漁師向けの「のど飴」商品もあるらしく、邦題では「Fisherman’s Song」となった経緯もあるようだ。

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