King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

本白根へ

2017年12月27日 23時55分53秒 | スキー

政府の働き方改革といいつつ、年末年始と旧お盆とゴールデンウィークとに集中する民族大移動をみると何も変わっておらず、何の改革もできていないことを知ります。驚くのはこの繰り返される渋滞を見て喜び、それに参加すると称してラジオなどで中継までしています。つまり、混むことを喜んでいるわけです。私はまるでそんな向きとは逆で人が群がるところよりひっそりとのんびりする方を選びます。昨年、年内の草津は行かないという教訓を得たのにもかかわらず、今年は寒波やら爆弾低気圧やらが早くやってきて昨シーズンは風で止まることの多かったリフトやロープウェイも今年は頑張ってるらしく、早々に本白根の壁さえオープンしたというのをネットでみると昨年の教訓は一旦おいてとにかく行かなくてはという気にさせました。というわけで予約したのはひとりでも予約できるホテルでいつものヴィレッジよりスキー場に近い森の中のホテルということでした。ホテルのサインに見覚えがなく名前もあまり聞かないもののいつでも予約できる感じのホテルで昨年失敗を踏まえつつそのコスパが高いとする森の中のホテルというのにしました。予約は二日前とぎりぎりでしたが、まだネットからいくつか選択肢があり、ひとり利用も以前より利用しやすくなったかという感じです。天気予報は寒気がやってくるので不要の外出は控えましょうなどと言っていましたが、私が望む本白根の壁に立つという希望は叶いやすい環境がたったと言えます。宿を予約してからスキー場のホームページを確認すると風によりロープウェイは止まっています。しかも天狗クワッドも動いておらず、本当に緩斜面のリフトしか動いていません。とはいえ、なぜか昨年とは違うような思い込みを抱きつつ、ロープウェイが止まっていても最初からあきらめることなく、二日券を買い二日とも滑るつもりでした。昨年は最初の日に下のリフトだけであきらめて雪道をドライブして今までにない草津の過ごし方をしたのですが、今年はスキーと温泉に徹すると最初から決めていました。朝出かけるときに風が強くこれは危険水域だと感じましたが、かまわず出発するといつもの通り上里サービスエリアで色々と情報収集とクーポン券やらを仕入れあとはひたすら草津を目指します。八ッ場ダムの辺りから雪が舞いだし対向車は雪を積んだ車が多くなります。ほどなく吹雪状に降り出し、道路は圧雪状態になりました。駐車場はかなりの量の車で埋め尽くされ、でも昨年から比べればまあまあかという感じの込み具合です。いつものところに止め、滑り出します。かろうじてお昼前に滑り出しましたが、券を買うときにロープウェイが動いているのは確認しました。ただ、クワッドが動いていないので次のリフトまで滑って移動となりロープウェイに辿り着きました。こんな吹雪状な状態ながらよく動かしたものだとうれしさとともに乗り込んだら、やはりゴンドラはひどく揺れこれはいつ運休になってもおかしくないととにかく滑れるだけ滑ろうと心して降りると山頂駅はまだ雪付きの悪い感じで本白根ロマンスは止まっています。となるとどこを滑ればいいのかと思いつつ、もしや本白根の壁はクローズなのかと確かめに行くとなんとクローズになっておらず、誰も滑った跡すらありません。しかし、堅い凍ったバーンの上に雪が積もるという状況で、そこをずっと雪が風で流されていくという厳しい状況です。体は移動でかなり温まっており、そこでゴーグルの中の水蒸気がすぐに凍り付き視界が極端に悪い中、念願の本白根に立つという思いはあっけなく果たされました。ただ、余りコンデションはよくないと予測して古い方の板サロモンデモテンを持ち込みましたが、保護用の手塗したワックスが雪に合ってないのが解るほど滑りが極端に悪い中、それがはがれるまで板は走らず、最初の壁滑走は一度回避して違う斜面から降りました。降りてしまえば繰り返し壁に行くのにロープウェイを乗らなくてはなりません。その効率の悪い回転を繰り返し、最終のロープウェイ3時50分までリフトのように乗り回しました。そうさせたのはベストシーズンの雪質とは違うもちっとした湿ったザラメのような雪ながら大量のまだ踏まれていない雪の壁がとても気持ちよく、いつものふわっとした感覚とはまた違う不思議な感覚でした。踏まれていない新雪は止まれば途端にずぶずぶと沈んでしまい、身動きができなくなり雪に埋まってしまいます。ですから、崖の様な斜面に臆せずまっすぐに突っ込んでただ板を沈めずに真っ直ぐに降りていく以外できません。これがパウダー用の板ならどうにかなるものの今回のショートターン用の曲がりやすい短い板ではただ板を沈ませないように浮かせて小刻みなターンぐらいしかできません。しかし、その意を決した崖の先には不思議な今までに感じたことのないような感覚が待っていてただふわふわというような生易しいものでなく、無重力感も体中の血が泡立ち全部脳みそに上がって脳内麻薬に変わったかのような快感の渦です。まるで、クンダリーニヨガにより覚醒したチャクラのごとく体中のプラーナが宇宙のそれとつながったかのような今までにない感覚でした。これはかつて八海山の深雪やニセコのどこまでも続く新雪などとも違うもので、今まで一番心地よい体験のように思えました。これが来月末くらいには雪が研がれたふわふわサラサラの上質なものに変わりまた心地が変わるのでしょうが、今回のモチモチとした感じの雪はそれはそれでその誰も踏んでいない降りたてを味わえたのでまさに奇跡のタイミングのたまものと言えます。動いているリフトも時間も短い間でしたが、これが滑れて本当に良かったと感じ、ロープウェイが止まるともう滑るところもないので下に降りると下のリフトも終了のアナウンスが流れていました。駐車場にも15センチくらいの新雪が積もり、車は除雪が必要でした。宿に向かうためにナビを入れると電話ではヒットせず予約した時に見た地図を思い出しつつ向かいました。電信柱に巻き付いた宿の案内を頼りに宿に着くとたったの三階しかないこじんまりとしたホテルで駐車場はガラガラでした。昨年は建物が五階建てなのにエレベーターがなく、名前だけホテルで中は寒くて値段は高級ホテル並みという感じでした。今回は同じ値段で、量は多いもののなんか冷え切った料理ばかりの宴会料理みたいでなんかサービスは整っているとは言えないものを感じました。いつもスキーと温泉の旅では宿にチェックインするときに浴衣のサイズとチェックアウト後の入浴について尋ねるのですが、今回も昨年と同様お風呂は有料ですと言われこんなけち臭いことを言われると全体の印象が悪くなるのにどうしてそういうシステムなのかと訝ります。お風呂自慢の宿ほどスキーの後も入ってから帰れと逆に勧められることの方が多く、別料金ですよというのはもう来なくていいと言われているのと同じです。そんなサービスながらあまり気分も悪くせずすぐに寝入ったのは全てあの雪のせいでした。

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