蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

オノマトペ 2  (bon)

2022-12-24 | 日々雑感、散策、旅行

   今日はクリスマスイブ・・私にとっては、若い頃か子供がまだ小さい頃のイベントでしたね。

 

 英語のオノマトピア( onomatopoeia)およびフランス語のオノマトペ( onomatopée)
からの言葉で、擬声語のことだそうです。具体的には、人や動物が発する声(キ
ャーキャー
など)を「擬声語」、物が発する音を字句で模倣した(ポタポタなどの)
「擬音語」、そし
て状態や感情などの音を発しないものを字句で模倣した(シク
シクなどの)擬態語などの総称とあります。

 拙ブログ2013.6.15に「オノマトペ」としてまとめていましたが、このほど手元
に届いた会報
に『日本語の世界~オノマトペ~』(山口仲美氏、埼玉大学名誉教授)
なる講演録が載って
いましたので、先のブログ記事と取り混ぜてもう一度記事投
稿しました。

          (ネット画像より)

 オノマトペは日本語の特色だそうです。英語では、350種類あるそうですが、日
本語のそれ
は1200種類もあり、英語の3倍以上もあり、さらに辞書で比較すると5倍
以上にもなるという
のです。フランス語、ドイツ語、中国語などは英語と同じくら
い少ないそうです。

 講演録では、このオノマトペは日本語で重要な役割を果たしていることが明ら
かになったと述べられています。つまり、この役割には7項目あり、①語源になっ
ている ②文化史を明らかにする ③創造的な表現を作る ④リズム感をつくる 
⑤掛詞をつくる ⑥滑稽語のオチをつくる ⑦輸出文化を担っている と研究され
ていました。

 講演では、具体的に細かく述べられていますが、ここでは簡潔に要点だけに絞っ
て記述することにしましたが、その前に、拙ブログから、オノマトペについても
う少し具体的にどう
いうものなのかをおさらいしてみたいと思います。

 拙ブログ記事は、この当時のテレビ「クローズアップ現代」に取り上げられて、
最近急増
殖中で特に若者の間に急速に広がっているとありました。

 オノマトぺによる表現は、古くからあったが、ここにきてより感情豊かな表現、
より直観的
な表現として若者の間にも急速に広がっていて、この時の番組の印象
に『オノマトペが増殖
しているコンビニから国会、さらには医療現場からロボット
研究の最先端まで訪ね、オノ
マトペ大増殖の謎を検証。浮かび上がってきたのは、
<音の爆弾>とも称されるオノマトペ
がわたしたちの脳に働きかける“ドキッ”
とするような不思議な力が、そして、複雑化する社会
のなかで、自分が感じてい
る思いを表現するコトバが圧倒的に足りないと感じている人たち
の姿を映し出し
ていた』とありました。

 例えば、スポーツ選手の育成に、短距離走のスタートダッシュで、“もっと、
グイ グイと
いう感じで・・”などとコーチが指示していましたが、この“グイ、
グイ”という言葉を使わな
いで、このような状況を指導するとすれば、もっと長っ
たらしい言葉になる上うまく言い表
せないという。製品開発の場面でも、プラス
チック製で表面が金属に見える材質を作るとき
の試作品に対する見た感想を擬態語
で、ぎらぎら、てかてか、ぴかぴか などと評価を繰り
返し、完成品が出来上がっ
ていました。
 「あの人どんな風に笑ってたの?」という質問に対して、“にっ
こり”とか“くすっと”とか
“ガハハ”という言い方で答えが返ってくるとイメ
ージがわきやすい。


 オノマトペは、普通の言葉とは比べ物にならないほどの豊かな情報量を持って
いますが、
脳の活動を調べると、オノマトペを処理している時の脳は、“副詞”や
“動詞”等の単語を処理す
る時に比べ、脳の全体が活動していることがわかった
とあります。

                

 具体的に、オノマトペはどんなものか?(ウイキペディアより転載しました。)
 擬音語では、メーメー(羊の鳴き声)、ブーブー(豚鳴き声・ブーイング)、
ドキドキ(心
臓の鼓動)、ガチャン(ガラスの割れる音)、ドカン(爆発音、衝
撃音)、カリカリ(サク
サク)(スナック菓子の咀嚼音)、トントン(肩たたき)、
ドン(花火・衝突など)、バタン
(ドアの閉まる音など)、ピッ(ポチッ)(機
械のボタン動作音など)、ガタン(ガタコン)
(電車など)、ジュワー(油がは
ねる音)、パチパチ(拍手や焚き火)、プシュー(空気・
炭酸の抜ける音など)、
ズルッ(滑って転んだ時)ビリビリ(ベリベリ)(紙が破ける音など)・・通常
カタカナで表記される。

自然物の擬音語の例としては、シトシト(雨)、ソヨソヨ(穏やかな風)、メラ
メラ(火)、
モクモク(煙)、ゴロゴロ(雷)、ピカピカ(光)、サワサワ(草)、
コンコン(湧き水)
など・・
擬態語は、状態や感情などの音を発しないものを字句で模倣したものであり、通
常ひらがなで表記される。
しいん(静寂)、ばらばら(散らばっている様)、め
ろめろ(惚れ込んでいる様)、たっぷり
(豊かで余裕のある様)、ちょうど(刀
が鞘に収まる擬態語、または擬音語。「丁度」は当
て字)

 これら擬声語は、そもそも、言語学的には実際的な使用面よりも抽象的な理論
形成を主眼
においていたことと、擬声語は言語体系の中心を離れた周辺的なもの
とされていて、その表
現が子供っぽいものと見なされ、学術論文などにはまず登
場して来なかったのです。

 しかし、物事の声や音・様子・動作・感情などを簡略的に表し、情景をより感
情的に表現
させることの出来る手段として重要性が高く評価され、多方面に活用
されているのです。

 また、他の国の言語に比して日本語にはオノマトペが多い理由として、日本語
は一つの動詞
は動作の基本な意味しか持たず、副詞を加えることによって表現を
増やしていく傾向がある
のだと・・。たとえば“見る”は、英語ではsee, look,
watchなど複数の単語があり、その使い
分けによって表現や状況を表しますが、そ
れに対し日本語は、“ジロジロ見る” “さっと見る”
など、副詞を使って表現
の幅を広げているのです。 しかし、この事だけではなく昔から日本
人特有の感
受性?みたいなことから自然発生的に擬態語、擬音語が存在していたとも考えら

れる、とあります。

              

 以上のようなオノマトペが、詳しく研究されると7項目もの役割を持っていると
いうのです
ね。少し長くなりますが、順に簡潔にご紹介したいと思います。

 ①語源になっている どういうことかといえば、「たたく」「ふく」「すう」と
いう動詞は、
「タッタッ」「フー」「スー」という擬態語が基で作られたという
のです。末尾の「く」や
「う」は動詞化するための接辞だとありあます。「うざい」
「むかつく」「しょぼい」なども
「ウザウザ」「ムカムカ」「ショボショボ」と
いう擬態語が出身。「とっくり」も「トクトク」
から。「カラス」も鳴き声「カー」
で、「ス」は鳥を示す接辞だと。「ウグイス」「ホトト
ギス」 
 ②文化史を明らかにする というのは、ちょっと難しいですが、犬の鳴き声を
に考えてみると、犬の鳴き声は「ワンワン」ですがいつの時代でもそうだった
わけではなく、
現代でそのように思っているだけだというのです。江戸初期の狂
言の台本に「ワンワン」を
見つけることが出来るが、それ以前には、例えば平安
時代には犬は「びよ」と鳴いていた。
大鏡には「ひよ」とあり、当時は濁点を付
けなかったようで、「びよ」と言っていた。

 江戸時代初期から中期にあっては犬は「びよ」または「わん」が共存していた
ことが分か
ってきたとあります。その昔、犬が家畜化されるまではオオカミに近
い「びよ」と鳴いてい
た。英語では「bow-wow」ドイツ語では「bau」でどちらも
バ行で始まっています。野生化
した犬の声を「びよ」「びょう」と聞き、江戸時代
から綱を着けて飼われ始めた犬は、縄張
りも安定し「わん」と鳴いたと。 つまり、
犬の環境変化で鳴き声が変わるということから、
犬と人間の関係が読み取れるの
だとあります。

 ③創造的な表現をつくる とは、 新しい言葉を次々と作ることができるといっ
ています。
萩原朔太郎の詩に、『こんもりとした森の木立の中で・・白い蝶類が
飛んでいる・・群がり
て・・てふ てふ てふ てふ・・』 無数の蝶が羽を打
ち震わせて飛んでくるような擬態
語ですね。 幸田文さんも「どぎどぎ」や「ぬ
るりと奇麗だった」など、新鮮な使い方をさ
れていると。
 ④リズム感をつくる は、宮沢賢治の『雪渡り』の「キックキックトントン」と

雪靴を履いて野原を歩く音はこの童話のリズム感を作りだしているなどがあり、 
 ⑤の掛
詞をつくる では、『女郎花 なまめきたてる 姿をや うつくしよしと
蝉の鳴くらん』で、
「うつくしよし」は、ツクツクボウシの声を映した擬音語で
すね。
 ⑥では、滑稽語のオチ
をつくる。 神社の社殿に本物の狐がいて、それを見た
ご婦人方は、「この狐さんの毛皮は
黄色ね」「いやすす竹色よ」 奥の狐は正解
を言いました。「紺色」。 もう一つ、狂言竹
生島から・・。「いやぁ、私は今
までスズメとカラスは別の鳥と思っていたが、親子関係に
あったんですね。」
「スズメがカラスの傍らの枝にとまって、“ちちちち”と鳴くと、カラスの
奴めは
“こかぁこかぁ”といったんですよ。(おあとがよろしいようで~)

 最後の ⑦輸出文化を担っている というのは、漫画を含むコミックの世界です。 
むしろ
オノマトペがないと成り立たないかもしれません。とくに、スポーツやア
クションものに至
ってはオノマトペ使用率がぐっと上がっています。次の図に、
オノマトペの一例をならべて
いますが、これらは、普通の言葉と違って発音が意
味に直結しているために画面に音と感覚
を与えることが出来るからだとあります。

         (ネット画像より)

 日本語コミックは世界中に輸出されていますが、これらのオノマトペをどの様
に表現され
ているのでしょうか? 大略3つの方法があるといいます。 日本のオ
ノマトペに近い名詞や
動詞で代用する。ボールを蹴ろうとして靴が脱げる時、「スポ」
と表現されているところを
「slip」で置き換えたり、「シ~ン」は「SILENCE」な
どに。 2つ目は、日本語のオノマトペ
部分を空白にしてしまう。3つ目はオノマ
トペの音を似たアルファベットで表すやり方です。
「ンゴー」という響きは「NGGGRRR」
などに置き換えていたりするのですね。

 フィルムコミックなどでは、日本の文字のまま輸出されます。足音の「ザクザク」
はそのまま画面に出ているそうです。

 かなり長い記事になってしまい、お疲れさまでした。オノマトペについて、深い
研究がな
されていることが分かりました。

 

 

もしも日本語にオノマトペがなかったら?

 

 

 

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