今年の3月、立川勤務から日本橋勤務に舞い戻ってから、読書の習慣が復活しました。前の日本橋勤務の時は仕事関連の本を読むことが多かったのですが、今の職場は精神面での環境が良くないので、ついつい現実逃避で小説を読むことが多くなっています。管理人は、気に入った作家が見つかると、その作家の本をはしごする傾向があり、ここのところ重松清を結構読んでいます。
重松清は、管理人より二歳年上の岡山出身で、ほぼ一貫して「家庭」をテーマにした小説を書いています。そして、自分が住んできたニュータウンを舞台にしていることが多く、京王線沿線を舞台にした短編集もあり、八王子だとすぐに分かる作品もあります。
そして、この『定年ゴジラ』を読んでいると、思わず「んんん?」。舞台となる東京の西のはずれの武蔵電鉄が開発したニュータウンの名前が「くぬぎ台」。二階ベランダから眺める富士山、建坪率が制限され最低でも60坪ある区画、切通しの中にある駅、商業施設の規制で飲み屋もパチンコ屋も映画館もない駅前、駐車場が併設されていないスーパー。これって、もしや「めじろ台」のこと?と思ってしまいました。もちろん、ディテールは違う部分がありますし、めじろ台自体それ以外にこれといった特徴がないので、断定はできないまま読み進めたのですが、ウィキペディアで調べたら、重松清はめじろ台に住んでいたことがあり、やはりめじろ台をモデルしているとのことでした。とはいえ、登場人物である会社を定年した「くぬぎ台」住民たちは、くぬぎ台を出ることはなく、散田町が登場することはないんですけどね…。
気が向いたら読んでみてください。ちなみに、同じ重松清の『流星ワゴン』という小説で、主人公が不思議な親子と出会う駅もやはり切通しの中にある駅であり、ここもめじろ台だと思われます。