今、「脳」に関する本を読んでいます(『脳はこんなに悩ましい』新潮文庫)。脳学者池谷裕二と中村うさぎの対談形式で、かなり過激な表現もあるので、小中学生にはお勧めできませんが、内容的にはまともな科学的知見に基づくものです。その中で、脳は身体の形状を正確に把握しているわけではなく、筋肉や皮膚の感覚や視覚から得られた情報をモニターすることで、身体の輪郭を作り出しているという話がありました。
ですから、インプットされる情報によって、身体感覚は容易に変わりうるということです。例えば、車を運転している時には、車全体に身体空間が拡張されているので、車が運転できるということです。車幅感覚と言いますが、車を買い替えたり、人の車に乗ると、最初は戸惑いますが、慣れてくると、車をあたかも自分の身体のように感じるようになり、狭い場所でも通れるか通れないか分かるようになりますよね。
スキーやスケート、テニスや卓球、サーフィン、剣道、フェンシングなど、道具を使うスポーツも同じでしょうね。自分の身体からこれらの道具まで自分の身体を拡張した身体感覚を持って、道具と一体化することで、これらのスポーツが成り立つということです。
ここまで言えば、もう分かりますよね。野球も当然そうだということです。グラブは、自分の手が拡張したものですし、バットも自分の手の延長線上に捉えられるくらい一体化すれば、野球も上達するというものです。
しかし、いつまで経っても車の運転に慣れずに、横をこすってしまう人がいるように、なかなか道具と一体化できない人がいるのも事実です。もともと持っている能力によるということももちろんありますが、あとはどれだけ慣れるかということでしょうね。慣れるには、どれだけ時間を費やすかということでしょうね。
散ドラ諸君を見ていると、グローブも全然自分の身体の一部になっていなければ、バットと身体もまったく別物という部員が大勢います。何とかグラブやバットと友達になるくらい、仲良くなってほしいものですね。
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