藤沢宿発祥の地に開山700年の寺暦をもつ時宗総本山の「藤沢山無量光院清浄光寺」はある。時宗の上人が「遊行上人」と呼ばれていたことから「遊行寺」で親しまれている。宗祖は勿論一遍上人。創建は呑海上人が鎌倉時代末正中2年(1325年)。本尊は阿弥陀如来。創建以降幾たびかの戦火、藤沢宿火災、関東大震災により倒壊の憂き目に遭い古い建築物は全消滅、100年近く廃寺同様であったが天正19年(1591)徳川家康から寺領百石の寄進を受けた後、時宗の総本山となった。藤沢駅より旧街道へ進むこと十数分「藤沢橋」を渡ると、遊行寺への入口である「黒門」と言われている「惣門」がある。黒門から山門跡に向けて石段が48段のなだらかな「いろは坂」がある。途中に塔頭の筆頭「真浄院」と本山役僧の宿泊所であったやはり塔頭の「赤門 真徳寺」がある。坂を上りきると正面に樹齢300年と700年とも言われている「大銀杏」が青々と茂り聳えている。秋に真黄色に色付いた景色は筆舌しがたい美しさである。大銀杏の奥に木造としては東海道随一といわれる重厚感溢れる建造物「本堂」が建っている。本堂前に建つ「一遍上人像」が寺域・境内を静かに見守っている。(1605)
藤沢市藤沢に鎌倉比企谷の妙本寺末寺の日蓮宗の寺院「長藤山妙善寺」はある。創建は永正元年(1504)、本尊は日蓮上人である。 もとは「真蔵院」という真言宗の寺であったが、伝えによれば文永8年(1271)、流罪となった日蓮上人が佐渡に赴く途中、真蔵院に立ち寄られた後に弘安3年(1280)日蓮宗に改宗した。旧街道の途中を左折するといらか屋根「山門」を潜ると正面に大きい「本堂」が威風堂々と建つ。境内一角には本陣職を務めた「蒔田家」の墓がある。「山門」左側には「正宗稲荷大明神」が鎮座する。御神体は延暦21年(802)伝教大師(最澄)作といわれ比叡山延暦寺に安置、その後鎌倉、そしてここ藤沢に移されたという謂れがある。(1605)