平戸瀬戸を見下ろす高台に「空に向かう宇宙船」とも表現され尖鋭屋根と十字架が特徴の教会「平戸ザビエル記念教会」はある。カトリック平戸教区の主管教会である。ザビエルと名がつくように宣教師フランシスコ・ザビエルが天文19年(1550)ここ平戸で布教を始めて以来、入信、迫害、潜伏、復活という希有のキリスト教史を代表する教会で昭和6年(1931)に建設された。鉄筋コンクリート造りのゴシック様式で全長32.7m、全幅10.9m、塔高は36.3mである。聖堂の正面中央に大塔、左にだけ小塔を配したアシンメトリーな外観・壁面は柔らかな印象漂うモスグリーンの美しい教会である。教会敷地内には献堂40周年を記念して白亜の「聖フランシスコ・ザビエル像」が建てられている。堂内は淡いクリーム色に統一され、高度建築技術を窺わせる柱頭のマーブル模様、15mの天井、ステンドグラスや内部の家具や調度品は思いのほか質素な印象である。「瑞雲禅寺」、「光明寺」、「正宗寺の」3つの寺院の瓦屋根と「平戸ザビエル記念教会」の屋根(十字架)が一緒に見える「寺院と教会が見える風景」のシンボリックな存在の一つとなっている聖堂である。(1611)
長崎県平戸市に浄土真宗本願寺派寺院「龍渓山光明寺」はある。文禄元年(1592)柴田勝家の三男の空性により創建。慶長年間に領主の松浦鎮信が浄土真宗弘布を禁じたため一時廃寺となるも、元和元年(1615)に再興。本尊は阿弥陀如来である。瑞雲禅寺の隣にあり教会の尖塔と寺の白壁や瓦が重なっている風景や石畳の階段と坂道は「寺院と教会が見える風景」の一つとして欠かせない存在となっている。現在ある堂宇は江戸時代の後期、弘化から文久年間に建てられたもので四枚屋根がすべて三角形状の宝形造りの「経堂」、火灯窓を六つ持つ「鐘堂」、「山門」は市文化財に指定されている。平戸を代表する魅力的な風景の一つにいつまでも留まっていたい心地よい場所である。(1611)