京都市左京区大原(千有余年前より魚山と呼ばれ仏教音楽発祥地、比叡山の北西麓、高野川上流部位置)に皇子皇族が住職勤めた官門跡として知られた大原の里に天台宗の三門跡寺院の一つ「魚山三千院」(別称=三千院門跡、梶井門跡、梨本門跡)はある。創建は延暦年間(782-786)、当院は8世紀、傳教大師最澄上人が比叡山延暦寺建立の際、草案-円融房を結ばれたのが起源、後に比叡山東麓の坂本に移され、度重なる移転のあと明治4年1871現在地へ。本尊は阿弥陀三尊、薬師如来。呂川沿いに土産物店が軒を連ねた赤黄橙の葉で覆われた紅葉回廊を進むとやがて左手に寺号標(門)が構えられている。「御殿門」から受付を通り宮中御千櫼法講義を伝える道場「宸殿(本堂)と客殿」がある。。ここより自然の傾斜を活かし作庭された境内には阿弥陀三尊を安置する「往生極楽院」、写経場の「円融房」と収蔵庫兼丹治施設の「円融蔵」があり、上部奥に「金色不動堂」と「観音堂」の堂宇が配置されている。庭園は「宸殿=本殿」と「往生極楽院」の間に池泉回遊式の「有清園」、下段に池泉観賞式の「聚碧園」の2つが繋がるように造られている。折しも紅葉真っ盛り見頃とあって2つの庭園は杉木立とカエデが織りなす紅葉美、敷き詰めた苔に散り落ちた赤や橙の色模様はまるで絵のような美しさその見事さに見惚れシャッターを押すのを忘れてしまいそう。当院は西国薬師四十九霊場第45番、近畿三十六不動尊霊場第16番の札所である。ほぼ山麓一帯を広大な寺域は、今まさに紅葉に彩られた中に重厚なそして荘厳な堂宇の数々溶け込む様はいかにも官寺らしい。(1911)