大阪市中央区難波(千日前)に水掛不動尊にある浄土宗寺院「天龍山法善寺」はある。創建は寛永14年(1637)。かつて京都宇治にあった浄土宗天龍山法善寺は開山の専念法師によって「金毘羅天王墾伝」の故事に基づき難波の地に移転した。本尊は阿弥陀如来・西向不動明王・金毘羅天王・お初大神。大阪ミナミの法善寺一帯の地域が「千日前」と呼ばれるのはこの専念法師が行った「千日念仏回向」に由来する。かつて包丁一本で始まる歌謡曲の舞台にもなった。法善寺横丁のシンボル法善寺境内は辺りに線香の香りが漂い、風情ある石畳、提灯の灯り、右手に全身苔むした「水掛け不動尊」、本堂、金毘羅堂、庫裏がある。当寺は大阪新四十八願所阿弥陀巡礼 第48番の札所である。大阪ミナミの繁華街、賑やかな道頓堀商店街から一歩路地に足を踏み入れるとそこには古き良き浪花情緒あふれる静寂な寺域となっている。(1911)
源頼朝公が創建して以来、昔も今も鎌倉の象徴として最も人気のある観光スポット「鶴岡八幡宮」の境内には国の重要文化財である本宮など歴史を今に伝える建造物が点在している。その中でも「舞殿」、「祈祷受付」の右側、「若宮」から「直会殿」と「白旗神社」の間にある「柳原神池」と「鎌倉国宝館」が鶴岡の紅葉スポットである。ここ一帯は今、鮮やかに色づいた数十本「モミジ」や「カエデ」、「イチョウ」の木々が赤、黄、橙のグラデーションとなって美しく紅葉ベールを纏っているようだ。柳の名所だったことから付けられた「柳原神池」の水面には神秘的な紅葉が映し出されえも言われぬ美しさである。当池では6月上旬には「蛍放生祭」、9月の「鈴虫放生祭」の祭場でもある。(1912)
鎌倉市山ノ内に鎌倉五山第二位、鎌倉幕府八代執権・北条時宗が弘安五年(1282)に創建した臨済宗寺院で円覚寺派総本山「瑞鹿山円覚興聖禅寺」はある。鎌倉時代の後半北条時宗が中国より無学祖元禅師を招いて弘安5年(1282)に創建。本尊は釈迦如来を祀る。室町から江戸時代幾たびかの火災に遭い衰微、江戸末期に僧堂・山門等の伽藍を復興、今の円覚寺の基盤が築かれた。鎌倉の紅葉は如何かと円覚寺がある「北鎌倉」に降り立つ。円覚寺の玄関口「山門」に上がる石段は少し色褪せはじめているがまだ赤く、橙に色づき紅葉回廊を創り出していた。重厚な造りの「総門」から「仏殿」、その奥に「唐門」を有する美し庭園がある「大方丈」、左側の「居士林」、「寿徳庵」、「舎利殿」付近の紅葉はまだ鮮やかな彩りを残し華やかである。今年の紅葉撮影巡りもいよいよフィナーレを迎えようとしている。(1912)