相模原市緑区小原、昭和感が漂う相模湖に程近い甲州街道沿いにある里山に囲まれた宿場町、江戸時代に参勤交代の折に大名行列をしながら江戸と領国を往復する際に大名が泊まった江戸から9番目の宿「小原宿本陣」はある。「小原宿本陣」は神奈川県下に東海道と甲州道中で合わせて26軒あったが現在残っているのはここ「清水家の建物」1軒のみで大変貴重な建造物として平成8年に県重要文化財に指定された。この本陣を利用したのは信州の高島藩、高遠藩、飯田藩の大名と甲府勤番の役人で、家来たちは脇本陣や旅籠に分かれて宿泊した。清水家は江戸時代は本陣・庄屋、そして問屋を兼務していた。本陣の役割を果たす傍ら養蚕農家としても使われていて、農家の生活も窺い知れる。建物の概要は定紋のついた敷居の高い玄関がある純日本風の豪壮な建物である。建造物の建造年代は不詳ながら19世紀初期(江戸時代後期)と推定され約200年経過していると思われる。構造は4層の兜造りの入母屋風建物で規模は間口13間、奥行7間、91坪。部屋数は15畳が2間、12.5畳が1間、8畳が3間、6畳が3間、4畳が3間、2畳が1間の間取りとなっている。大名が泊まった15畳の部屋がそのまま残り、他に台所、堀こたつ部屋、昔のかご、什器、衣類、箪笥、機織り、二階は物置のようで農作業用の機具、養蚕に用いたような棚が保存されている。本陣の前に「小原宿高札場」と墨書きされた看板が復元されている。街道沿いには昔ながらの小原宿古民家6軒残っている。往時の面影が残る町並みはまるで江戸時代にタイムスリップしたかのようである。(1811)
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