伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

一瞬の風になれ2 ヨウイ

2007-03-19 07:51:21 | 小説
 2年生になりインターハイ予選などを経てライバルや後輩ともつれたり、連の故障があったりで、タイムを順調に上げ力をつけながら県大会は通過できても関東大会では惨敗の春野台高校陸上部4継チーム。陸上部の部長になった新二が練習を積み、秋の関東大会は善戦して決勝に進みますが、新二の兄の交通事故の報で動揺して決勝は惨敗、新二は兄の右足の重症を見て陸上部から逃亡というあたりまでが2巻のお話。
 でも、読んでいて、兄のけがで新二が陸上部から逃亡する経緯が今ひとつしっくり来ません。試合会場から病院に駆けつけた新二に「そんな、チームジャージ着て、何してるんだ?」「そんな格好で病院に来るなっ。帰れ!」(235頁)という台詞は、それまでの兄の性格設定からすれば、私には「部長のお前が戦場から逃亡してきたのか」という流れに見えたんですが、その後の話からはそうじゃなくてサッカーができない俺の前でユニフォームを見せつけるなという意味のようなんですけど。兄が死んだわけでもなし、生活に影響のある事態でもなし、ましてや陸上部に関係ないことだし、それでこうなるのかなあ・・・って思いますけど。


佐藤多佳子 講談社 2006年9月21日発行
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

一瞬の風になれ1 イチニツイテ

2007-03-19 07:43:19 | 小説
 陸上競技のスプリント(短距離)と4継(100m×4リレー)に挑む高校生の青春小説。
 主人公の神谷新二はサッカーのスーパーエリートの兄とスプリントの天才の友人一ノ瀬連の陰で目立たないサッカー選手だったのを高校進学を機に陸上競技に転向、そこからめきめきと力をつけていくという設定です。
 友人の連が天性の素質で練習嫌いで体力もないのに美しいフォームで走り中2で全国大会7位の結果を出しながら、中3では陸上をやめたり、高校でも合宿から逃走したり国体予選をすっぽかしたり、でも飄々と現れて練習不足でも新二より上の成績を出したりする中、新二は不公平だとぼやきながらハードな練習を積み重ねて行きます。ただ新二は凡人だと言いながら、サッカー選手時代の走り込みの成果か、素質はあると評価され、陸上の練習を始める前から陸上部では連に次ぐタイムをたたき出しますから、ひたすら努力でたたき上げってことはなくてやはりエリートの闘い。
 新二はあがり体質で大試合の本番前には腹を下すとか、そういう設定も含めて、暗い根性物にしないで軽いコミカル路線がとられています。元不良の天然パーマボサボサ髪の陸上部顧問三輪先生が、いい味出しています。


佐藤多佳子 講談社 2006年8月25日発行
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする