ロシア革命前後の混乱の中を地主の息子から盗賊になりはてた主人公が略奪と殺戮を繰り返す小説。
前半は主人公が地主の息子としてやりたい放題のことをしながら、まわりの貧乏人たちが革命への道を歩むのを軽蔑しながら描いています。革命戦士も志が低く盗賊同然だと、作者も言いたいように見えます。まあ、地主連中も、白軍も軍閥も同じように描かれていますが。
後半は、主人公自身、親と兄を失い親代わりの地主・共同経営者を殺して放浪し盗賊となって略奪と殺戮を繰り返します。最後の最後までひたすら無意味な暴力が繰り返されます。
むき出しの暴力でやりたい放題の快感を書きたかったのでしょうか、権力の空白・無秩序がいかに悲惨な暴力を呼ぶか(弱者がいかに悲惨な目に遭うか)を書きたかったのでしょうか。
最後に主人公は、人間を人間たらしめているものは何かと自問し、屋敷や故郷、近親者を挙げています。人間は自分の信念やプライドでは人間たり得ないのでしょうか。
この内容からすれば、別に舞台は革命期のロシアでなくても、日本の戦国時代でもよかったのではないでしょうか。日本人作家にしてはどこか翻訳調に感じる文章も含めて、重苦しく、違和感を持ち続けました。

佐藤亜紀 講談社 2007年5月10日発行
前半は主人公が地主の息子としてやりたい放題のことをしながら、まわりの貧乏人たちが革命への道を歩むのを軽蔑しながら描いています。革命戦士も志が低く盗賊同然だと、作者も言いたいように見えます。まあ、地主連中も、白軍も軍閥も同じように描かれていますが。
後半は、主人公自身、親と兄を失い親代わりの地主・共同経営者を殺して放浪し盗賊となって略奪と殺戮を繰り返します。最後の最後までひたすら無意味な暴力が繰り返されます。
むき出しの暴力でやりたい放題の快感を書きたかったのでしょうか、権力の空白・無秩序がいかに悲惨な暴力を呼ぶか(弱者がいかに悲惨な目に遭うか)を書きたかったのでしょうか。
最後に主人公は、人間を人間たらしめているものは何かと自問し、屋敷や故郷、近親者を挙げています。人間は自分の信念やプライドでは人間たり得ないのでしょうか。
この内容からすれば、別に舞台は革命期のロシアでなくても、日本の戦国時代でもよかったのではないでしょうか。日本人作家にしてはどこか翻訳調に感じる文章も含めて、重苦しく、違和感を持ち続けました。

佐藤亜紀 講談社 2007年5月10日発行