伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

うつつ・うつら

2007-06-22 08:42:52 | 小説
 表題作はほとんど客のいない場末の寄席で下の映画館の映画の音声や九官鳥に邪魔されながら漫才・漫談を続けながら壊れていく売れない芸人の人間模様を描いた作品ですが、ちょっと情念がこもりつつ観念的になっていき、わかりにくい。
 セットの「初子さん」の方が、京都の古びた商店街で貧しいながらに苦労しながら生きていく人々や夫に先立たれて苦労しながらもたくましく生きぬく母親の姿が描かれていて好感が持てました。
 「初子さん」の方が文体や文章の運びも新人(といっても当時30歳)にしてはこなれていて、読み応えがあります。
 後から書かれた表題作の方が、ちょっと小難しくなっているのが気がかりですが、今後に期待したい気もします。
 それにしても「文學界」2004年12月号と2005年10月号掲載作品が今頃単行本化されるのは何故?


赤染晶子 文藝春秋 2007年5月10日発行
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うつくしい私のからだ

2007-06-22 07:20:01 | 小説
 体の部分を表題にした雑誌連載短編作品集。
 どこかしらコンプレックスを持った20代終わり間際の女性が主人公のお話が続きます。年齢設定が20代終わりに集中しているのは雑誌の読者層がその辺なんでしょうか。
 主人公のコンプレックスが、解消されたり、それでいいやって開き直ったり、やっぱりだめだったり、話の持って行きようは様々です。
 それなりのウィットなり味は感じますが1つ十数ページですから、掘り下げはありません。作品間につながりがあるわけでもない十数ページの短編は、雑誌の中でさらっと読むにはいいでしょうけど、まとめて通し読みするのには辛いなあと改めて思いました。


筒井ともみ 集英社 2007年4月30日発行
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