表題作はほとんど客のいない場末の寄席で下の映画館の映画の音声や九官鳥に邪魔されながら漫才・漫談を続けながら壊れていく売れない芸人の人間模様を描いた作品ですが、ちょっと情念がこもりつつ観念的になっていき、わかりにくい。
セットの「初子さん」の方が、京都の古びた商店街で貧しいながらに苦労しながら生きていく人々や夫に先立たれて苦労しながらもたくましく生きぬく母親の姿が描かれていて好感が持てました。
「初子さん」の方が文体や文章の運びも新人(といっても当時30歳)にしてはこなれていて、読み応えがあります。
後から書かれた表題作の方が、ちょっと小難しくなっているのが気がかりですが、今後に期待したい気もします。
それにしても「文學界」2004年12月号と2005年10月号掲載作品が今頃単行本化されるのは何故?

赤染晶子 文藝春秋 2007年5月10日発行
セットの「初子さん」の方が、京都の古びた商店街で貧しいながらに苦労しながら生きていく人々や夫に先立たれて苦労しながらもたくましく生きぬく母親の姿が描かれていて好感が持てました。
「初子さん」の方が文体や文章の運びも新人(といっても当時30歳)にしてはこなれていて、読み応えがあります。
後から書かれた表題作の方が、ちょっと小難しくなっているのが気がかりですが、今後に期待したい気もします。
それにしても「文學界」2004年12月号と2005年10月号掲載作品が今頃単行本化されるのは何故?

赤染晶子 文藝春秋 2007年5月10日発行