弱小広告プロダクション勤務の三十路寸前女性コピーライターが、恋人が他の女とできちゃった婚して振られてから紆余曲折を経て新しい恋人ができて前向きになるまでを描いた小説。
元恋人の相手、会社の後輩、妹、母・・・の生き様に反発を覚えていたけど、どこかなりたくてもなれなかったもうひとりの自分を見いだし、連帯感につなげていく流れは、ちょっといい感じ。
「愛って感情じゃなくて概念なんじゃないかしら。つまりね、感情のように明快な生理的現象ではなく、頭の中で創り上げた抽象概念だからこそ、人によって定義が違ったり、言葉で説明しなくちゃコンセンサスが取れなかったり、肉体レベルで共有できなかったりするんじゃないのかな。でも、あたしたちは愛を、概念じゃなくて感情だと思いこんでいるから、ついつい相手に説明しなくても通じてるものだと錯覚してしまう」(113頁)という下りも言い得て妙。
HP連載からの小説のせいか、少しぶつ切り感があるのと、結局のところキャリアウーマンの主人公には自分を出さずに徹底的に相手にあわせる年下ハンサム男をあてがってハッピーエンドというあたりの安直というか都合よすぎ加減が、ちょっとね。

中村うさぎ 中央公論新社 2007年2月25日発行
元恋人の相手、会社の後輩、妹、母・・・の生き様に反発を覚えていたけど、どこかなりたくてもなれなかったもうひとりの自分を見いだし、連帯感につなげていく流れは、ちょっといい感じ。
「愛って感情じゃなくて概念なんじゃないかしら。つまりね、感情のように明快な生理的現象ではなく、頭の中で創り上げた抽象概念だからこそ、人によって定義が違ったり、言葉で説明しなくちゃコンセンサスが取れなかったり、肉体レベルで共有できなかったりするんじゃないのかな。でも、あたしたちは愛を、概念じゃなくて感情だと思いこんでいるから、ついつい相手に説明しなくても通じてるものだと錯覚してしまう」(113頁)という下りも言い得て妙。
HP連載からの小説のせいか、少しぶつ切り感があるのと、結局のところキャリアウーマンの主人公には自分を出さずに徹底的に相手にあわせる年下ハンサム男をあてがってハッピーエンドというあたりの安直というか都合よすぎ加減が、ちょっとね。

中村うさぎ 中央公論新社 2007年2月25日発行