伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

ゲリラ流最強の仕事術

2007-06-19 19:14:34 | 実用書・ビジネス書
 大組織で仕事中毒になって働くよりも小組織で短時間働いて利益を得ようと提唱するビジネス書。
 著者はいろいろなことを言ってはいるのですが、この種のビジネス書にありがちなように抽象的スローガン的なものが大部分を占めています。
 印象に残ったこととしては、著者が商品よりも人を重視する姿勢。自分しかできないこと以外は人に任せろ、そのためにも従業員の採用を重視しろという点。新規顧客の開拓よりも既存の顧客の情報収集と綿密なフォローアップで感動させようという点。
 著者の言うとおりにすれば、著者が言うような週3日の労働で家族と過ごす時間や趣味の時間を十分取って利益を上げて暮らせるかどうかは疑問があります。
 今時の視点からはそれほど珍しいことをいっているのではないのに「ゲリラ」と強調し続けるのも違和感があります。原書が書かれた10年前はまだ珍しかったのかもしれませんが。


原題:The Way of The Guerrilla
ジェイ・C・レビンソン 訳:大西純子
フォレスト出版 2006年7月29日発行 (原書は1997年)
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大統領特赦(上下)

2007-06-19 08:45:16 | 小説
 某国が秘密裏に築き挙げた軍事衛星システムを意のままに操るソフトを書き上げた天才ハッカーたちの依頼でそのソフトを巨額の金で売りつけようとして20年の刑に処せられたロビイストの弁護士ジョエル・バックマンを主人公に、大統領に特赦をさせて誰がバックマンを殺害するかを監視して軍事衛星問題の真相を見極めようとするCIA、大統領特赦をめぐる収賄を捜査するFBI、中国・イスラエル・サウジアラビアの諜報機関のせめぎ合いを描いた小説。
 主人公が刺客との追いかけっこをする組立は、「法律事務所」「ペリカン文書」などでおなじみとも言え、グリシャムの得意技なのでしょう。
 CIAがトップの首のすげ替えで情報能力が緩み計画がガタガタにあるあたりは、イラク戦争のときの醜態でグリシャムの評価が下がったんでしょうね。
 初期の頃の作品に比べて主人公が金持ちで傲慢で強欲な人物にシフトしているのは、グリシャム自身の変化でしょうか。
 それはさておき、久しぶりの白石訳のグリシャムが読めたのはリーガル・サスペンスファンとしてはうれしい限り。この作品自体は、主人公が弁護士だというだけで法廷シーンもなく、リーガル・サスペンスとは言いにくいのですが。解説でそのあたりを「グリシャムの新作がこの新潮文庫で紹介されるのは久々のことだが、この本来あるべき形での翻訳紹介を待ち望んだ読者は少なくなかったに違いない」(下巻352頁)と書かせるのはあまりに大人げない。私も繰り返し言うように白石訳のグリシャムを待ち望んだ1人ですし、超訳のグリシャムには違和感がありましたけど、新潮文庫が「本来あるべき形」というのはバックマン並みの傲慢さじゃないでしょうか。


原題:The BROKER
ジョン・グリシャム 訳:白石朗
新潮文庫 2007年3月1日発行 (原書は2005年)
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