伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

視聴率の正しい使い方

2007-06-14 08:11:14 | ノンフィクション
 日本ではビデオ・リサーチ1社が独占して調査提供しているTVの視聴率についての解説。
 冒頭で視聴率に対する神話の間違いを指摘していますが、少なくともサンプルが少なすぎることと「数」はわかっても「質」はわからないということは正しい批判のはず。それをサンプルを増やすとコストがかかりすぎるとか、本来「質」がわかる調査ではないと言って批判の方が間違っているというのは(34~39頁)、ビデオ・リサーチの商売としてはそうかもしれないけど理屈として反論になっていません。ずいぶんと偏った書き方をと思ったら、著者は元ビデオ・リサーチ社員。そのあたりで読む意欲半減・・・
 同じく冒頭でサンプル数から見て視聴率10%は95%信頼値で±2.4%の誤差付きの数字と説明していて(22~23頁)、それはなるほどと思うのですが、自分が視聴率を使って議論するときは平気でその誤差の範囲内のことを差があるかのように書いていたり(例えば111頁で大阪国際女子マラソン14%が別府大分毎日マラソン12.2%を上回ったと言ってみたりとか)しているのはちょっとねえ。
 今の調査方法が世帯視聴率なのでテレビが複数ある世帯で別々の番組を見ていると両方の番組でそれぞれ1世帯見ているとカウントされる(だから絶対視聴率を合計して総世帯視聴率を超えることもあり得る:視聴率って複数回答の統計と同じだったんですね)というのは(56~61頁)初めて知りました。


藤平芳紀 朝日新書 2007年4月30日発行
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受験勉強は役に立つ

2007-06-14 07:34:25 | 実用書・ビジネス書
 受験勉強は、自己の学力を客観的に評価し、志望校の試験システムと傾向に応じて対応策を考え、必要なレベルの能力をいかにつけていくかという工夫が要求され、そのような思考と訓練こそ社会で役に立つというのが著者の主張の基本線。受験勉強がなければそのような能力が身に付かないし、逆に内申書重視の推薦入学は自分で工夫することなく教師の言うことだけを聞く使えない秀才を作るとも。
 受験秀才への批判はまとはずれで、むしろ数学的思考なしでは解けない問題や多くの読書をしなければ解けない問題を入試で出せば数学的思考ができ読書量の多い学生ができるのにそれをしない大学側にこそ問題がある、現に英語だけは社会の変化にあわせて入試にリスニングを入れたから学生の英語力はアップしたではないかという指摘は考えさせられます。
 弁護士の業界も、経済界と大学の圧力の下、「厳しい」司法試験一発選考からロー・スクール(法科大学院)+ゆるい試験に移していくことになりましたが、同じような批判が当てはまりますでしょうか・・・


和田秀樹 朝日新書 2007年4月30日発行
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