伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

就業不能 「働けないリスク」に企業はどう向き合うか

2008-02-04 08:06:33 | 実用書・ビジネス書
 心身の傷病によって長期間働けなくなった場合の所得保障保険「GLTD」の導入のメリットを説明した本。保険代理店会社の販促本ですね。
 現在の日本の社会保障と生命保険が、死亡の場合と短期の入院等には手厚いのに対して長期の労働不能の場合には収入の保証がほとんどなく生活が破綻するリスクがあること、十数年来日本の企業が推進した成果主義の導入やリストラが従業員の忠誠心を失わせるとともに従業員の孤立化と過剰な業務負担を招いてうつ病を中心とする精神疾患の増大を生じていることなどの日本のセイフティネットの貧困と労働環境に関する指摘は頷けます。
 長期の就業不能に対して保険で所得保障をすることで従業員が安心して働くことができ、従業員の忠誠心を回復し優秀な人材を獲得することができるとか、うつ病でも安心して治療に専念できる環境を作ることで重篤化を防ぎ人材の有効活用を図れるとともに訴訟リスクを減らすことができると、この本は述べていますが、そのあたりはセールストークとして割り引いて読んだ方がいいでしょう。うつ病による人材喪失と訴訟リスクを強調するわりに精神疾患の場合の所得保障期間は2年間に限定されています(108頁)し、保険料は導入する企業の考え次第で労使の負担が変えられ、標準的なケースでも従業員の負担の方が多くなっている上全額従業員負担にもでき(171~172頁、207~208頁)、従業員に本当にメリットがあるのかの判断は簡単ではないと思います。


鳥越慎二 ダイヤモンド社 2007年12月6日発行
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